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27話
しおりを挟む「それでは裁判を始める。罪状は王妃に対しての名誉毀損。ではまず原告側からの発言を許す」
さぁ、始まりましたね。
王妃様はなんて言って始めるんでしょうか。
だって、名誉毀損とか言ってますけど、なんて言われたからなのかを説明しなければなりませんよね。
あ、裁判長を務めている方はどこの派閥にも入っていない人を厳選して選ばれているらしいですよ。
お金を積んで判決を変えようとする人もいるみたいなので、お金もそこそこ持っていて、権力も持っている人が選ばれるみたいです。
今回は王族関係なので王弟殿下が行うらしいです。
真面目で不貞を許さないと評判の人らしいので安心ですよね。
裁判長の言葉で王妃様は自信たっぷりの姿勢を崩して
「私はありもしない罪を着せられ、王妃に相応しくない、と言われました。流石に初めて言われましたのでショックで仕方なかったですわ......相応しくない、と言われるのは仕方のないことだと思いますが、冤罪を着せられるのは流石に見逃せませんでした」
そう言って目に涙を浮かべました。
凄いです。王妃様は演技派ですね。
リリアーナそっくりです。
「君の妹にそっくりだね。凄い演技派だ」
レオンハルト様も同じことを思ったみたいで、コソッと私に耳打ちしてきました。
私以外にもそう思った人がいるなんて...少し笑ってしまいそうになりましたわ。
「裁判長、発言の許可をお願い致します」
あ、伯父様が発言するみたいです。
手を挙げてそう言うと、発言の許可がおりました。
早速始まるんでしょうか?
「ありもしない罪、と言いましたが、その罪は一体なんでしょう?ここにいる人はそれを知りたがっていると思いますが......」
確かに。王妃様はなんて言われたのか言いませんでしたね。
そんなの、私たち以外の人は知らないことですからちゃんと言わないといけませんよね。
すると王妃様は
「...あんな酷いこと......私の口からは......」
としおらしく、周りに同情を誘う形で話を持っていこうとし始めました。
これだけを見れば余程酷いことを言われたと思うでしょうね。
周りから、伯父様を非難するような声が聞こえてきましたもの。
多分、声を上げた人は王妃様派閥ですね。
でも伯父様はそんなことでは怯みませんよ。
「わかりました。では私から説明させてもらいますね。よろしいでしょうか?」
伯父様が裁判長に聞くと頷いたのが見えました。
あら、王妃様の表情が少し変わりましたね。
伯父様を軽く睨みつけています。
表情は被告の後ろに座っている人にしか見えませんが、何事か、と皆首を傾げていますよ。
まさか、裁判を起こしたくせに何をされたか言わないつもりだったんですか?
いや、裁判がどういうものかもわかっていないんですかね?
もしそうだとしたら王妃教育をやり直した方がいいと思いますよ?
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