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30話
しおりを挟む「一体何がどうなっていますの?」
「さぁ?ただ王妃様がとんでもないことを沢山したことは確かだ」
「そ、そんなバカな話ある訳が......」
「でも王弟殿下が証拠も全て揃っていると言っていたぞ?」
黙ってしまった王妃の代わりに、傍聴席で話を聞いていた貴族達がザワザワし始めました。
多分、王妃を庇っているのは王妃派閥の方々なんでしょう。
まぁ、そんな人なんてこの中の10数名くらいなんですけどね。
王太子...いや、もう王太子ではありませんね。
ヤンヌ様は陛下の話を聞いて唖然としていますわ。
王妃は何も教えていなかったんですね。
ハッと我に返ったヤンヌ様が
「父上!では俺の本当の父は誰なんですか!?俺は誰の子供なんですか!?」
と言ったことで、また周りが静かになりました。
皆、王妃は誰の子を産んだのか興味深々という感じでしょうか?
「そ、そうですわ!一体誰の子だと言うんですの!?私が陛下を愛しているのは皆が知っているはずですわ!浮気なんて...そんなこと出来ません!」
ヤンヌ様に便乗して、王妃がそう叫ぶと陛下はバツ悪そうに顔を顰めました。
確かに王妃が陛下のことを慕っているのは有名らしいです。
陛下が私のお母様を想っている、という話と同じくらいに。
そんな人が愛する人と結婚できたのに浮気をしたとは普通は考えられません。
まぁ、普通はの話ですけどね?
あ、そういえば私もヤンヌ様のお父様が誰なのか、聞いていませんわ。
まぁ......聞かなくても顔がそっくりな方がいらっしゃるのですぐにわかりましたけどね?
「そこまで言うなら相手が誰なのか言ってみてくださいませ!」
「父上!」
王妃とヤンヌ様が2人で陛下を責め立てていますわ。
全く......こんなことになったのも自分のせいですのに陛下が可哀想で仕方ありません。
ですが、陛下は一向に口を開く気配がありません。
言いずらいですよね。あの人が父親だ、なんて......。
そう思って眺めていると、陛下の斜め後ろ辺りから
「私だ......!ヤンヌ殿下の本当の父親は......私なんだ...っ!」
泣き叫んだような、そんな声が会場に響き渡りました。
叫んだのはナルジェンダ国の宰相でした。
そうですよね。だって、そっくりですもの。
ヤンヌ様が歳をとったら宰相様と瓜二つになるでしょうね。
一応妻子持ちで、真面目で誠実、というのが貴族たちからの評価ですが......なんでこんなことになってしまったんでしょうね?
まぁ、私の考えでは王妃が宰相を誑かして......とかだと思いますが......。
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