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31話
しおりを挟むまさか、宰相が王妃の浮気相手なんて誰が想像できたでしょう?
顔が真っ白になっている宰相は
「これ以上......黙っているのがしんどいんだ...」
そう言って膝から崩れ落ちてしまいました。
王妃もまさか自分からバラすなんて思いませんよね。
あら、ヤンヌ様は唖然としています。
改めて見ると、宰相のメガネを外すとそっくりですね。
髪の毛の色は王妃と同じですが......
今まで陛下の隣にいたのによくバレなかったなって思います。
「......王妃の処罰はーーー」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
「叔父様、お疲れ様でした」
裁判が終わって伯父様のところに向かうとなんとも言えない表情を浮かべて椅子に座っていました。
いくら妹を殺されたとはいえ、自分の手で他人を陥れたようなものですからね。
こんな顔になってしまうのも仕方ないと思います。
王妃は奴隷落ちとなりました。
この国では一番重い処罰です。
最後の最後まで自分の罪を認めなかった王妃は兵士に連れていかれる時もずっと無罪を強調していました。
その姿は誰が見ても哀れで、 思わず目を逸らしたくなりました。
そう思っていると、コンコンと扉をノックする音が聞こえてきました。
誰でしょう?と思っていると、部屋に入ってきたのは陛下でした。
「バーランド公爵......ご苦労だったな」
椅子に腰をかけた陛下が一番最初に言ったのは労いの言葉ですが、表情に疲れが出ているのがわかります。
大丈夫でしょうか?
伯父様は椅子から立ち上がって
「ハーレミアはこんなこと望まなかったとは思いますが、私自身が王妃を裁きたいと思ったんです。このような大事になってしまって申し訳ございません」
そう言って頭を下げました。
すると陛下は何か吹っ切れたように
「いや、あのような者を王妃として国のトップに立たせるのは危険だ。それに気付けず結婚してしまった私の責任だ。そなたには感謝している」
そう言って笑った。
陛下は良い人ですね。
普通ならこんなことになってお礼を言える人は少ないですよ?
伯父様も驚いて、いえ...しか言えなくなっていますわ。
すると、ずっと黙っていた伯母様が
「それで、王太子はどうなりますの?」
と陛下に訪ねました。
そういえばそうでした。ヤンヌ様ですね。
あの後どうなったんでしょう?
一応ヤンヌ様は王妃から何も聞かされずに王子として育てられていた、まぁ言ってしまえば被害者ですよね。
だから処罰するにも重すぎると皆からの反感が来るでしょう。
とはいえ、何もしない訳にもいきませんからね。
「ヤンヌは宰相に...いや、もう宰相ではないな。ローファス男爵家に行くことになった」
陛下によると、ローファス侯爵家...宰相の家ですね。
そこは男爵家に降格。
夫人に相談したところ、責任をもって育てると言ってくれたみたいです。
夫人がいい人で良かったですが、ヤンヌ様が肩身狭い思いをしなければいいですね......。
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