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37話 アレックスside
しおりを挟むさっき、リリアーナが王宮に来たと報告があった。
最近はサボるどころか、王宮に来ることもなくなってしまっていたから久しぶりだな。
影からの報告によると、下町に出て男を誑かしているらしいんだが......あいつは状況をわかっているのか?
でも、まぁ、王宮に来たということは、自分が平民になるかもしれないと危機感を覚えたんだろう。
頼むから、大人しく勉強をしていてくれ......っ。
そう思いながら歩いていると
「アレックス様ぁ~」
と言う声が聞こえてきた。
......やっぱりそうだよな。
こいつが大人しくしている訳がない。
思わずため息をつきながら
「リリアーナ......王妃教育は...」
「そんなことより!これを見てください!」
俺が全てを言い終える前に、リリアーナが手に持っていたグシャグシャの新聞を押し付けてきた。
この新聞がなんだと言うんだ...と思いながら見ると、そこには銀髪の令嬢.........いや、ユーフェミアが載っていた。
写真は一時期、留学に来ていたレオンハルトとかいう奴と幸せな顔をして笑っているものだった。
こんな顔...俺には1度も見せたことがなかったのに......!
「お姉様がありもしないことを隣国で広めているんですぅ~!私、許せません!」
リリアーナにそう言われて記事を見ると、見出しに『義母と義妹が虐待!?婚約者を奪われる!』というのと『元婚約者にはなんの感情もありません!?』というのが大きく書かれていた。
虐待の話は聞いたが、俺に対してなんの感情もないだと......!?
俺の事を好いているのではないのか!?
だからあの靴を置いて行ったのかと......っ!
いや、この記事は嘘だ!
きっとレオンハルトとかいう奴に脅されているに違いない!
隣でリリアーナが何かを言っているが、それどころではない。
隣国に行く理由を考えなければ......。
今の俺の頭の中は、どうやって隣国に行くか。
ただそれだけだった。
するとリリアーナが
「だから、お姉様に会いに行きたいんです!でもお父様に言っても言うことを聞いてくれなくて......アレックス様しか頼れる人がいないんですぅ......一緒に隣国に行ってくれませんかぁ?」
なるほど......その手があったか。
ユーフェミアに会いたいとしつこく言ってきたから、仕方なくリリアーナを連れていくという理由にすればいい。
それなら俺が隣国に行っても何も問題がないし、ユーフェミアに確実に会える。
ユーフェミア...今迎えに行くからな!
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