殿下が探しているシンデレラは貴方の嫌いな私です

榎夜

文字の大きさ
39 / 49

38話

しおりを挟む

マーランナ国から手紙が届いた、という報告を受けて、私とレオンハルト様、伯父様、陛下が集められました。

「はぁ......リリアーナとアレックス様が、ですか......」

「あぁ。許可も取らず勝手に向かってきているらしい」

手紙の内容はアレックス様とリリアーナがナルジェンダ国に向かっている、ということでした。

「手紙が速達で今日届いたから、明後日くらいには到着すると思う」

と陛下に言われて思わず

「相変わらず、ですね」

そう呟いてしまいました。

相変わらず自分勝手で、何も考えていない人達です。

大体、隣国に王太子が向かうんですから、迎え入れる側は準備をする必要があるのは当然です。

それなのに、こちらの都合を聞くこともせず、自分達の都合だけで来るなんて、迷惑なも程がありますわ。

そう思っていると

「それで、奴らが到着する前に聞いておきたいんだが、ミアはどうしたい?会って話しをしたいか、会わずに追い出すか...」

そう伯父様に聞かれました。

「......出来れば会いたくない、というのが本音ですね」

もちろん会いたくないですよ。

顔を見るのすら嫌です。

あんなことをされて、リリアーナ達には嫌な思い出しかありませんもの。

だけど......

「でも、会って話をしなきゃ終わらない、という思いもあります」

何も言わずに出て行ったのは私ですからね。

急にアレックス様と婚約破棄をして、リリアーナ達との家族の縁も切って......。

まぁ...私としては話すことは何もないんですが会わないと、また同じことをするでしょう。

「そうか」

と伯父様が小さく頷きました。

伯父様はどう思っているんでしょう?

私の思いは伝えましたが、伯父様やレオンハルト様がどう思っているのか知りたいですわ。

そう思っていると、レオンハルト様が

「俺としては、どうしたいかはミアに任せたいけど、会う前に奴らがやらかしてきたら、流石に会わせるのを止めなきゃいけないと思っている」

そう言いました。

その言葉に伯父様も頷いているのを見ると、同じ意見ということですね。

リリアーナ達が大人しくしているとは思いませんが.......。

.........あれ?そういえば

「なぜ向かっているのか書いていなかったんですか?」

2人が向かっていることしか聞いていませんでしたわ。

なぜナルジェンダ国に来る必要があるんでしょう?

そう思って聞くと、陛下が

「それが......ユーフェミアを助けに行く、と書き置きだけ残していた......としか」

書き置き?たったそれだけですか?

多分、自分の仕事も放棄して向かっているんでしょうね。

どれだけの人に迷惑がかかるとか考えなかったんでしょうか?

はぁ......やっぱり自分勝手ですわ。

「何も起こらなければいいですが.........」

私がそう呟くと、皆苦笑していました。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

【完結】時戻り令嬢は復讐する

やまぐちこはる
恋愛
ソイスト侯爵令嬢ユートリーと想いあう婚約者ナイジェルス王子との結婚を楽しみにしていた。 しかしナイジェルスが長期の視察に出た数日後、ナイジェルス一行が襲撃された事を知って倒れたユートリーにも魔の手が。 自分の身に何が起きたかユートリーが理解した直後、ユートリーの命もその灯火を消した・・・と思ったが、まるで悪夢を見ていたように目が覚める。 夢だったのか、それともまさか時を遡ったのか? 迷いながらもユートリーは動き出す。 サスペンス要素ありの作品です。 設定は緩いです。 6時と18時の一日2回更新予定で、全80話です、よろしくお願い致します。

婚約者の幼馴染って、つまりは赤の他人でしょう?そんなにその人が大切なら、自分のお金で養えよ。貴方との婚約、破棄してあげるから、他

猿喰 森繁
恋愛
完結した短編まとめました。 大体1万文字以内なので、空いた時間に気楽に読んでもらえると嬉しいです。

婚約者様への逆襲です。

有栖川灯里
恋愛
王太子との婚約を、一方的な断罪と共に破棄された令嬢・アンネリーゼ=フォン=アイゼナッハ。 理由は“聖女を妬んだ悪役”という、ありふれた台本。 だが彼女は涙ひとつ見せずに微笑み、ただ静かに言い残した。 ――「さようなら、婚約者様。二度と戻りませんわ」 すべてを捨て、王宮を去った“悪役令嬢”が辿り着いたのは、沈黙と再生の修道院。 そこで出会ったのは、聖女の奇跡に疑問を抱く神官、情報を操る傭兵、そしてかつて見逃された“真実”。 これは、少女が嘘を暴き、誇りを取り戻し、自らの手で未来を選び取る物語。 断罪は終わりではなく、始まりだった。 “信仰”に支配された王国を、静かに揺るがす――悪役令嬢の逆襲。

悪役令嬢として断罪? 残念、全員が私を庇うので処刑されませんでした

ゆっこ
恋愛
 豪奢な大広間の中心で、私はただひとり立たされていた。  玉座の上には婚約者である王太子・レオンハルト殿下。その隣には、涙を浮かべながら震えている聖女――いえ、平民出身の婚約者候補、ミリア嬢。  そして取り巻くように並ぶ廷臣や貴族たちの視線は、一斉に私へと向けられていた。  そう、これは断罪劇。 「アリシア・フォン・ヴァレンシュタイン! お前は聖女ミリアを虐げ、幾度も侮辱し、王宮の秩序を乱した。その罪により、婚約破棄を宣告し、さらには……」  殿下が声を張り上げた。 「――処刑とする!」  広間がざわめいた。  けれど私は、ただ静かに微笑んだ。 (あぁ……やっぱり、来たわね。この展開)

【完結】「妹が欲しがるのだから与えるべきだ」と貴方は言うけれど……

小笠原 ゆか
恋愛
私の婚約者、アシュフォード侯爵家のエヴァンジェリンは、後妻の産んだ義妹ダルシニアを虐げている――そんな噂があった。次期王子妃として、ひいては次期王妃となるに相応しい振る舞いをするよう毎日叱責するが、エヴァンジェリンは聞き入れない。最後の手段として『婚約解消』を仄めかしても動じることなく彼女は私の下を去っていった。 この作品は『小説家になろう』でも公開中です。

私は側妃なんかにはなりません!どうか王女様とお幸せに

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のキャリーヌは、婚約者で王太子のジェイデンから、婚約を解消して欲しいと告げられた。聞けば視察で来ていたディステル王国の王女、ラミアを好きになり、彼女と結婚したいとの事。 ラミアは非常に美しく、お色気むんむんの女性。ジェイデンが彼女の美しさの虜になっている事を薄々気が付いていたキャリーヌは、素直に婚約解消に応じた。 しかし、ジェイデンの要求はそれだけでは終わらなかったのだ。なんとキャリーヌに、自分の側妃になれと言い出したのだ。そもそも側妃は非常に問題のある制度だったことから、随分昔に廃止されていた。 もちろん、キャリーヌは側妃を拒否したのだが… そんなキャリーヌをジェイデンは権力を使い、地下牢に閉じ込めてしまう。薄暗い地下牢で、食べ物すら与えられないキャリーヌ。 “側妃になるくらいなら、この場で息絶えた方がマシだ” 死を覚悟したキャリーヌだったが、なぜか地下牢から出され、そのまま家族が見守る中馬車に乗せられた。 向かった先は、実の姉の嫁ぎ先、大国カリアン王国だった。 深い傷を負ったキャリーヌを、カリアン王国で待っていたのは… ※恋愛要素よりも、友情要素が強く出てしまった作品です。 他サイトでも同時投稿しています。 どうぞよろしくお願いしますm(__)m

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

処理中です...