3 / 8
2話
しおりを挟む帰ってきてから1時間くらい経ったでしょうか?
お父様達が帰ってくるまで休んでいようと思っていたらだいぶ時間が経っていました。
多分、婚約破棄の話が長引いているんでしょう。
そう思っていると
「スカーレット!」
バンッと大きな音をたてて私の部屋扉が開きました。
部屋に入ってきたのはお兄様、『ハロルド・バルドトール』でした。
「お兄様、おかえりなさいませ!」
そう言って微笑むとお兄様は
「ただいま!スカーレット!今日のドレスも似合ってたよ!」
と言いながら抱きしめてきた。
この様子を見てわかるように、お兄様は私のことをとてつもなく溺愛しています。
婚約者もいるんだから、もう少し抑えてもらわないとお義姉様も私も大変なんですけどね。
あ、でもお義姉様の方も私をとてつもなく可愛がってくれますよ。
そりゃあもう、お兄様に負けないくらいに。
と言っても、お兄様が私を可愛がってくれる人とじゃないと結婚しない、なんて言ったからなんですけどね。
でも、最近家に来る理由が、スカーレットちゃんに会いたくて...とか言うようになってきてますので困ったものですわ。
お兄様はやっと抱きしめていた腕を緩めたと思ったら
「いやー、スカーレットは今日も可愛いね!.........あんの、クソ王太子!うちの天使に婚約破棄するなんて100万年早いんだよ!」
そう言って怒りだしてしまった。
今までの上機嫌だったのはどこに行きましたの?
といいますか、ついさっきまで王宮で殿下達相手にブチ切れできたはずなのに、まだ怒っているんですか。
え!?殿下相手にブチ切れなんて出来るの!?
なんて思いましたよね。
出来るんですよ。我が家だけですけども。
我が家は、私が言うのもなんですが、この国を支えていると言ってもいいくらいの資産と能力があります。
最終的決定権があるのは陛下ですが、その決定には大体の確率でお父様が関わっていますのよ?
この国は我が家が居なくなったら即傾く、ということは貴族だったら誰もが知っていることです。
もちろん、それを面白く思っていない方々も居ますが、我が家がどれだけ重要なのかも知っているので何も言ってきません。
だから、少しくらいあのバカ殿下に対して粗相をしても何も言われないんです。
いなくなる方が困りますからね。
まぁ、あの殿下がここまでバカじゃなければ話は違いますけどね。
いや、それ以前にバカじゃなければ誰も怒らないですよね。
そんなことを考えながら、お兄様の怒りを収めていると
「スカーレット!ついに我々の願いが叶うぞー!」
そう言って満面の笑みのお父様が部屋に入ってきた。
その後ろには上機嫌のお母様も一緒です。
家族だから何も言いませんが、皆で私の部屋に入ってくるとは何事ですか。
話をするなら他にも沢山場所があるというのに......。
まぁ、皆それだけ私と話をしたかったんでしょう、とでも考えておきましょう。
細かいことを気にしすぎたらキリがありませんからね。
私は1つ深呼吸をしてから、
「お父様、お母様、おかえりなさいませ!本当ですか!?」
と満面の笑みを返した。
やっと願いが叶うのですね!
長かったですわ!
でも、よく陛下が許可してくれましたね?あぁ、でも今回の件で脅したか何かしたんでしょうか?
365
あなたにおすすめの小説
婚約者に「愛することはない」と言われたその日にたまたま出会った隣国の皇帝から溺愛されることになります。~捨てる王あれば拾う王ありですわ。
松ノ木るな
恋愛
純真無垢な侯爵令嬢レヴィーナは、国の次期王であるフィリベールと固い絆で結ばれる未来を夢みていた。しかし王太子はそのような意思を持つ彼女を生意気だと疎み、気まぐれに婚約破棄を言い渡す。
伴侶と寄り添う幸せな未来を諦めた彼女は悲観し、井戸に身を投げたのだった。
あの世だと思って辿りついた先は、小さな貴族の家の、こじんまりとした食堂。そこには呑めもしないのに酒を舐め、身分社会に恨み節を唱える美しい青年がいた。
どこの家の出の、どの立場とも知らぬふたりが、一目で恋に落ちたなら。
たまたま出会って離れていてもその存在を支えとする、そんなふたりが再会して結ばれる初恋ストーリーです。
絶縁状をお受け取りくださいませ旦那様。~離縁の果てに私を待っていたのは初恋の人に溺愛される幸せな異国ライフでした
松ノ木るな
恋愛
アリンガム侯爵家夫人ルシールは離婚手続きが進むさなかの夜、これから世話になる留学先の知人に手紙をしたためていた。
もう書き終えるかという頃、扉をノックする音が聞こえる。その訪ね人は、薄暗い取引で長年侯爵家に出入りしていた、美しい男性であった。
婚約者を奪っていった彼女は私が羨ましいそうです。こちらはあなたのことなど記憶の片隅にもございませんが。
松ノ木るな
恋愛
ハルネス侯爵家令嬢シルヴィアは、将来を嘱望された魔道の研究員。
不運なことに、親に決められた婚約者は無類の女好きであった。
研究で忙しい彼女は、女遊びもほどほどであれば目をつむるつもりであったが……
挙式一月前というのに、婚約者が口の軽い彼女を作ってしまった。
「これは三人で、あくまで平和的に、話し合いですね。修羅場は私が制してみせます」
※7千字の短いお話です。
私から婚約者を奪うことに成功した姉が、婚約を解消されたと思っていたことに驚かされましたが、厄介なのは姉だけではなかったようです
珠宮さくら
恋愛
ジャクリーン・オールストンは、婚約していた子息がジャクリーンの姉に一目惚れしたからという理由で婚約を解消することになったのだが、そうなった原因の贈られて来たドレスを姉が欲しかったからだと思っていたが、勘違いと誤解とすれ違いがあったからのようです。
でも、それを全く認めない姉の口癖にもうんざりしていたが、それ以上にうんざりしている人がジャクリーンにはいた。
不貞の罪でっち上げで次期王妃の座を奪われましたが、自らの手を下さずとも奪い返してみせますわ。そしてあっさり捨てて差し上げましょう
松ノ木るな
恋愛
カンテミール侯爵家の娘ノエルは理知的で高潔な令嬢と広く認められた次期王妃。その隠れたもうひとつの顔は、ご令嬢方のあいだで大人気の、恋愛小説の作者であった。
ある時彼女を陥れようと画策した令嬢に、物語の原稿を盗まれた上、不貞の日記だとでっち上げの告発をされ、王太子に婚約破棄されてしまう。
そこに彼女の無実を信じると言い切った、麗しき黒衣裳の騎士が現れる。そして彼は言う。
「私があなたをこの窮地から救いあげる。これであなたへの愛の証としよう」
令嬢ノエルが最後に選んだものは…… 地位? それとも愛?
わざわざパーティで婚約破棄していただかなくても大丈夫ですよ。私もそのつもりでしたから。
しあ
恋愛
私の婚約者がパーティーで別の女性をパートナーに連れてきて、突然婚約破棄を宣言をし始めた。
わざわざここで始めなくてもいいものを…ですが、私も色々と用意してましたので、少しお話をして、私と魔道具研究所で共同開発を行った映像記録魔道具を見ていただくことにしました。
あら?映像をご覧になってから顔色が悪いですが、大丈夫でしょうか?
もし大丈夫ではなくても止める気はありませんけどね?
妹に幸せになって欲しくて結婚相手を譲りました。
しあ
恋愛
「貴女は、真心からこの男子を夫とすることを願いますか」
神父様の問いに、新婦はハッキリと答える。
「いいえ、願いません!私は彼と妹が結婚することを望みます!」
妹と婚約者が恋仲だと気付いたので、妹大好きな姉は婚約者を結婚式で譲ることに!
100%善意の行動だが、妹と婚約者の反応はーーー。
あなた方の愛が「真実の愛」だと、証明してください
こじまき
恋愛
【全3話】公爵令嬢ツェツィーリアは、婚約者である公爵令息レオポルドから「真実の愛を見つけたから婚約破棄してほしい」と言われてしまう。「そう言われては、私は身を引くしかありませんわね。ただし最低限の礼儀として、あなた方の愛が本当に真実の愛だと証明していただけますか?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる