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4話 レオンハルトside
しおりを挟むスカーレットが立ち去った後も、俺はあの笑顔が頭から離れないでいた。
あんないい笑顔をすることが出来るなら、最初からすればいいじゃないか!
今更あんな笑顔を向けられたって......しかも、婚約破棄されてあんな笑顔を見せただと!?
スカーレットは俺の事を好きなんじゃなかったのか!?
父親に頼んで、無理やり俺の婚約者になったと母上が言っていたのに...。
だから、俺から婚約破棄すれば、無表情も砕けて、スカーレットが泣きながら惨めに縋って来ると思っていたのに...話と違うじゃないか......っ!
そう悪態をつきながらも、頭の中はあの満面な笑顔をしたスカーレットが可愛らしいなんて思うとは...。
それに......スカーレットの笑顔は子供の頃とあまり変わらないのだな。
そう思うと、今更ながらスカーレットを愛おしく思えてきた。
チラッと俺の隣にいるアンナを見ると
「殿下ぁ~?」
と首を傾げている。
俺の様子がおかしいことに気付いたのだろう。
でも、何故だ?あんなに可愛らしいと思っていたアンナすら、あのスカーレットの笑顔の後では霞んで見えてしまう。
そう思いながら視線を下に逸らすと、アンナのドレスが目に入ってきた。
そして、それを見て驚愕した。
なんだこのドレスは!?
スカーレットの飾りっけのないが、地味すぎず、派手すぎずで大人っぽく見える、その場に合ったドレスとは正反対にゴテゴテにリボンやらフリルやらをつけまくった気持ちの悪いドレス。
しかもこのドレスは俺とアンナの意見を聞いて作らせたと考えると頭が痛くなる。
いや...これが届いたときは高かったけどアンナにとても似合いそうな可愛らしいドレスだ、と思っていたのも確かだ。
クソっ!こんなドレスを買うために国庫に手をつけるほどの高いものを用意したのか......。
今更でしかないが、なんでこんなドレスを作ったんだ!
そう考えると、隣で笑っているアンナがどんどん憎らしく見えてきてしまった。
そういえばスカーレットには1度もドレスを送ったことがな......いや、あいつとは婚約破棄したんだ。
もう俺には関係がない。
頭の中で葛藤を繰り広げていると父上とスカーレットの父親が現れた。
父上は顔を真っ赤にして怒っているが、スカーレットの父親はなぜか機嫌が良さそうだった。
2人とも息が少し切れている、ということは、この騒動のことを聞いて急いで来たんだろう。
父上は俺の前に来るなり、
「こんの馬鹿息子が!来い!」
と俺の腕を引っ張って、奥にある別室に連れていかれた。
まだパーティーの途中だったけど、アンナの着ているドレスを見るのも嫌になっていたから今の俺にとってはありがたかった。
「貴様は、元から馬鹿だとは思っていたが大変なことをしてくれたな」
別室に入るなり、父上は俺を睨みつけてそう行ってきた。
あぁ、多分国庫を使ってあんなドレスを作ってしまったから怒っているんだな。
そりゃあそうだよな。俺だって、今みると最悪なドレスだって、わかっている。
だから
「申し訳ございません、国庫を使ってあのようなドレスを作ってしまうなんて......反省しています」
と素直に頭を下げると想定外の返事が返ってきた。
「馬鹿者が!国庫を使っただと!?しかも言っているのは隣にいた令嬢の馬鹿みたいなドレスのことか!?」
父上は顔を真っ赤にさせて、俺にそう怒鳴りつけてきた。
いや......え?
父上が言っているのは国庫を使った事じゃないのか?
だったら、なぜそんなに怒っているんだ?
なぜ怒られているのかわからなくて首を傾げていると、父上は大きなため息をついてからこう言った。
「儂が怒っているのは、スカーレット嬢の婚約を勝手に破棄したことだ!なんてことをしてくれたんだ!」
.........は?
いやいや......あんな無表情な女と婚約破棄しただけでなぜこんなに怒っているんだ?
確かに顔はそこそこ良いし、一つ一つの動作も洗練されているが、それは王妃になるんだから当たり前だろ?
なんで父上がスカーレットにこだわるのかサッパリわからない。
......あれ?...え?それよりも、父上は国庫のことには気付いていなかったってことか?
それなのに、俺が勝手に自白したのか?
そう考えると自分でも顔が真っ青になるのがわかるくらい、一気に血の気が引いていった。
ヤバい...母上に国庫を使ったらバレないようにしろ、と言われていたのに自分でバラしてしまった......っ!
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