(完結)逆行令嬢の婚約回避

あかる

文字の大きさ
4 / 11

教養とマナー

しおりを挟む
    キルヴィス殿下と婚約した事でお母様はすっかり怒ってしまわれて、わたくしは戸惑いました。

「どうして私に黙って婚約してしまうの?アベル殿下の事、何も知らないでしょう?どうしてアベル殿下じゃだめなの!」

「サリア、なら逆に聞くが、何故キルヴィス殿下では駄目なのか」
    お母様は、黙ってしまった。
「どの道、婚約は結ばれた。今更理由なくこちらから破棄する事など出来ない」

「女性嫌いのキルヴィス殿下なんて、向こうから婚約破棄されるのに決まっているわ」

「とにかく、殿下の婚約者として恥ずかしくないよう、スカーレットには教師を付ける」
「ほら。それだって、アベル殿下の婚約者なら王子妃教育で習えるはずなのに」

「サリアは少し黙っていなさい。サリアには負担をかけないよう、教師の選定も私が行う」

「娘の教育は、母親である私の仕事です!」
「いや。スカーレットは次期公爵でもあるから、これは私の仕事だ」

    確かにここ最近のお母様の言動を聞いていると、不安に思ってしまう事は確かだわ。
    昔から少々ヒステリー気味な所はあったけど、ここまで酷くなかった気がするわ。
    お父様もそう思ったからこそ、お母様に任せる事はなかったのかもしれない。

    お母様の性格には、お父様も手を焼いているみたい。いつもよりもため息が多いわ。

    一月も経たないうちに教養とマナーの教師も決まり、質の高い教育が始まる。
    王子妃教育を受けていたわたくしは余裕だろうと、少し舐めていましたわ。前は教わらなかった政治経済に関する深く掘り下げた教育。マナーに至っては、立ち姿だけで1日終わってしまいました。

    聞いてみると、王太子教育もなされた方だとか。それに、分かっているつもりでも、あの苦しい年月を過ごしたわたくしとは違うので、身についていないようです。

    でもお陰様で、キルヴィス殿下の振る話題にもついて行けて、キルヴィス殿下も嬉しそうです。
    勿論、わたくしも嬉しいですわ。アベル殿下と違ってキルヴィス殿下はちゃんと褒めて下さるのですもの。

    アベル殿下には褒められた記憶なんて全くなく、どころか殿下の稚拙な話しに辟易してました。

    多分そんな所もわたくしが嫌がられる原因だったのでしょう。
    真面目過ぎて面白くないとは、よく言われてましたから。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

死に戻るなら一時間前に

みねバイヤーン
恋愛
「ああ、これが走馬灯なのね」  階段から落ちていく一瞬で、ルルは十七年の人生を思い出した。侯爵家に生まれ、なに不自由なく育ち、幸せな日々だった。素敵な婚約者と出会い、これからが楽しみだった矢先に。 「神様、もし死に戻るなら、一時間前がいいです」  ダメ元で祈ってみる。もし、ルルが主人公特性を持っているなら、死に戻れるかもしれない。  ピカッと光って、一瞬目をつぶって、また目を開くと、目の前には笑顔の婚約者クラウス第三王子。 「クラウス様、聞いてください。私、一時間後に殺されます」 一時間前に死に戻ったルルは、クラウスと共に犯人を追い詰める──。

自称地味っ子公爵令嬢は婚約を破棄して欲しい?

バナナマヨネーズ
恋愛
アメジシスト王国の王太子であるカウレスの婚約者の座は長い間空席だった。 カウレスは、それはそれは麗しい美青年で婚約者が決まらないことが不思議でならないほどだ。 そんな、麗しの王太子の婚約者に、何故か自称地味でメガネなソフィエラが選ばれてしまった。 ソフィエラは、麗しの王太子の側に居るのは相応しくないと我慢していたが、とうとう我慢の限界に達していた。 意を決して、ソフィエラはカウレスに言った。 「お願いですから、わたしとの婚約を破棄して下さい!!」 意外にもカウレスはあっさりそれを受け入れた。しかし、これがソフィエラにとっての甘く苦しい地獄の始まりだったのだ。 そして、カウレスはある驚くべき条件を出したのだ。 これは、自称地味っ子な公爵令嬢が二度の恋に落ちるまでの物語。 全10話 ※世界観ですが、「妹に全てを奪われた令嬢は第二の人生を満喫することにしました。」「元の世界に戻るなんて聞いてない!」「貧乏男爵令息(仮)は、お金のために自身を売ることにしました。」と同じ国が舞台です。 ※時間軸は、元の世界に~より5年ほど前となっております。 ※小説家になろう様にも掲載しています。

光の王太子殿下は愛したい

葵川真衣
恋愛
王太子アドレーには、婚約者がいる。公爵令嬢のクリスティンだ。 わがままな婚約者に、アドレーは元々関心をもっていなかった。 だが、彼女はあるときを境に変わる。 アドレーはそんなクリスティンに惹かれていくのだった。しかし彼女は変わりはじめたときから、よそよそしい。 どうやら、他の少女にアドレーが惹かれると思い込んでいるようである。 目移りなどしないのに。 果たしてアドレーは、乙女ゲームの悪役令嬢に転生している婚約者を、振り向かせることができるのか……!? ラブラブを望む王太子と、未来を恐れる悪役令嬢の攻防のラブ(?)コメディ。 ☆完結しました。ありがとうございました。番外編等、不定期更新です。

好き勝手されるのは癪なので、貴様らは絶対に許しません ~という令嬢の報復~

こまの ととと
恋愛
いわゆる、婚約破棄というものを言い渡されたランブレッタ家の令嬢コルニーは、その責任を取らされる形で家を追い出される。 元々、一般人との混血児である彼女は、その運命を受け入れて町で住み込みの仕事を行う。 そんなある日、彼女の耳に魔導院主導による魔物退治の話が聞こえてきて……。

売られたケンカは高く買いましょう《完結》

アーエル
恋愛
オーラシア・ルーブンバッハ。 それが今の私の名前です。 半年後には結婚して、オーラシア・リッツンとなる予定……はありません。 ケンカを売ってきたあなたがたには徹底的に仕返しさせていただくだけです。 他社でも公開中 結構グロいであろう内容があります。 ご注意ください。 ☆構成 本章:9話 (うん、性格と口が悪い。けど理由あり) 番外編1:4話 (まあまあ残酷。一部救いあり) 番外編2:5話 (めっちゃ残酷。めっちゃ胸くそ悪い。作者救う気一切なし)

とある婚約破棄の事情

あかし瑞穂
恋愛
「そんな卑怯な女を王妃にする訳にはいかない。お前との婚約はこの場で破棄する!」 平民の女子生徒に嫌がらせをしたとして、婚約者のディラン王子から婚約破棄されたディーナ=ラインハルト伯爵令嬢。ここまでは、よくある婚約破棄だけど……? 悪役令嬢婚約破棄のちょっとした裏事情。 *小説家になろうでも公開しています。

婚約破棄は踊り続ける

お好み焼き
恋愛
聖女が現れたことによりルベデルカ公爵令嬢はルーベルバッハ王太子殿下との婚約を白紙にされた。だがその半年後、ルーベルバッハが訪れてきてこう言った。 「聖女は王太子妃じゃなく神の花嫁となる道を選んだよ。頼むから結婚しておくれよ」

悪役令嬢とバレて、仕方ないから本性をむき出す

岡暁舟
恋愛
第一王子に嫁ぐことが決まってから、一年間必死に修行したのだが、どうやら王子は全てを見破っていたようだ。婚約はしないと言われてしまった公爵令嬢ビッキーは、本性をむき出しにし始めた……。

処理中です...