(完結)逆行令嬢の婚約回避

あかる

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入学

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    そして、いよいよ学園に入学しました。これから三年間は、アベル殿下やその側近達。そしてアージェ様と学んで行きます。

    アベル殿下は、誰とも婚約していないようですわね。

    年齢の近い公爵令嬢はわたくし1人。侯爵令嬢は2人いますが、どちらにも婚約者はいらっしゃいます。うち1人が側近候補であるデイル    ゼノン侯爵令息の婚約者で、ミリア   カーネス様、他にも騎士団長の子息、カイル様がいらっしゃいます。婚約者は伯爵令嬢のフィーナ様。

    令息達は後にアージェ様の取り巻きとなり、アベル殿下と共にわたくしを責めるのですわ。

    でも今は、アベル殿下と婚約者でも何でもありません。どころか、直接話した事もないのですから、こちらから行かない限りは関係ありませんわね。

    あ、あのピンクの綿菓子のような髪は…アージェ様。
「ねえ、どういう事?あんた、アベル様の婚約者じゃないの?」
「…え?」
    今回は初めて会ったのだと思うのですが…
「え、じゃなくて、スカーレット…様?よね」
「ええ。スカーレットですわ。あの…初対面だと思うのですが」

「どうだっていいじゃない。あんたが悪役令嬢じゃないと起きないイベントもたくさんあるんだけど」

    何でしょう…悪役令嬢?イベント?前回もわたくしに対してはこのような喋り方でしたけれど。

「良く分かりませんが…人を指差して、あんた呼ばわりは失礼だと思いますわ」
「きゃっ!怖いですわ…私がマナーを知らないからって虐めてくるなんて!」

    …あの、勝手に状況も口調も変えて…何なんですの?

「まだ誰もいないけど…こんな感じかしらね?」
    ブツブツ呟きながら、どこかに行ってしまいました…本当に何なのでしょう?

    ミリア様とは家格も近く、お話も合うので、前の時も仲良しでしたわ。
    それに、婚約者のカルロ様もアージェ様に夢中で…共に不安を分かち合っていたのですわ。

    今のわたくしの婚約者はキルヴィス殿下ですが、仲良しには変わりありません。
    キルヴィス殿下が同じ年齢でなくて、良かったと思うべきでしょうね。
    ただ、不満があるとすれば、口説いては下さるものの、殿下はわたくしを子供扱いして、不必要な接触はなく、迷子防止の為に手を繋ぐ位しかない事。

    確かに七歳も下ですけれど、わたくしはそんなに子供では…嫌ですわ。はしたない。

    そういえば、もう一つ変わった事がありますわね。前回は床を離れる事も困難だった陛下が今回はご健勝であらせられる事。
    大変に喜ばしい事ですが、単純に時間が巻き戻っただけではないのでしょうか?

    前回はアベル殿下に近付き過ぎるアージェ様を諫める為に気を張って、注意したりもしましたが、今回はそれもなく、至って平和…だったのですが。

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