巻き込まれ召喚された私は、ペットと共に穏やかに過ごしたい

あかる

文字の大きさ
17 / 35

ダンジョン

しおりを挟む
 この街の北、馬車で2日程の距離の所にダンジョンと、その周囲に小さいながらも街があるらしい。
 チョコの羽根を織り込んで作った私の服は、柔らかいながらも風魔法の効果が付いていて、スピード上昇、魔法防御の付与が付いている。しかも一時付与じゃない。
 元々、チョコの羽根に付いている物だから、効果も絶大。
 自分の駆け足が速くなったと勘違いしそうになるけど、チョコのお陰だからね。

 ダンジョンと聞いたら勿論、チョコもマシロも黙っていない。
「ダンジョンの一階層はスライムだから、核を集めるのに丁度いいし、サヤカが戦いに慣れるのにもいいと思う」
「むう…」
 モチと同じ魔物を倒すのは、ちょっと気が引けるかも。

「いっその事、小さな馬車を引いて貰った方がいいかもね」
 確かにチョコのとっとこスピードを乗りこなすのがやっとだけど、普通の馬車よりは速いと思う。
「うにゃ!」
「え?マシロに乗るの?私位余裕で乗せられる?いや…確かにレベルも上がって頼もしくなったけど、どっちにしろ、私が怖いのはスピードだからね」

 チョコも最近はかなり気を使って揺れないようにしてくれてる。それを否定したらただの我が儘だ。
 乗り合い馬車を追い越して、結局その日のうちに町の側まで来た。町の門は夜には閉まってしまう。今夜はゆっくり休んで、明日の朝に入れるようにしよう。

 町は盆地のような地形で、ダンジョンの入り口は少し低くなっている。その入り口を囲うように塀が作られ、宿屋、屋台、武器防具等を売るお店が建ち並び、民家は少ない。民家かと思われたのは貸家で、パーティーを組んだ冒険者が借りている所だとか。
 宿の数はかなり多い。素材を集める冒険者や、それを買い付けに来る商人達が大勢いる。

 それと、子供達?何故かダンジョン前に籠を背負った子供達がたくさんいて、どうやら荷物持ちは要らないか、と聞いているようだ。
 清潔とは言えない格好。

「多分孤児達だろうね。仕事をする代わりに食事を貰ったり、あとは低い階層では戦ったりもするんじゃないかな」
「でも…まだ冒険者にはなれないよね?」
「この国はまだいい方だよ。ちゃんと孤児院もあるし、奴隷制度もしっかりした物があるから。それに、別に冒険者の資格は無くても、ダンジョンには入れる。一階層にはスライムしかいないし、季節関係なく薬草が生えるからね」
 それは、凄い…

 冒険者登録しなくても、素材は買い取りしてもらえる。ただ、ポイントも上がらないし、依頼という形で受ける事は出来ないと。

「あれ…アッシュさんはスルーされた?」
 籠を背負った子供が、近寄ろうとして、何故か諦めたように去って行った。
(ボク達が怖かったかな?)
 いやいや、可愛いよ?もっふもふだよ?
「多分サヤカが荷物持ちに見られたんだろうね」
…むう。
 アイテムボックスがあるから必要はないし、子供達を守る自信もないから、雇う事は出来ないけど。

 一階層は本当にスライムがいて、確率は低いけど、核を残して消える。子供達も本当に簡単に倒している。木の棒でつつけば消えるけど、たまに酸を飛ばしてくる。
 モチは鞄の中に入れているけど、間違って倒されたら不味いので、出していない。

 扉の前には何人か冒険者が並んでいる。
「この先は中ボスの部屋だよ。スライムしか出ないけど、他のパーティーは入れないから、モチのレベルを上げるのもいいね。それと、サヤカもスキル上げね」
 へえ…でもモチ、戦えるかな?スキル上げは…でも水スキルは、そこそこいい感じに上がってるんだけどな。
 並んでいる人の中には、扉が開いたらそのまま抜けていく人がいる。

「階層転移の石があっても、結構魔力が必要だから、使う人って意外と少ないんだよね。それに、ちゃんとその都度石に触れて魔力登録しないとならないんだ」
 結構並んでいても、中ボス復活迄の時間を利用して抜ける人がいるからサクサク進む。
 やっと私達の番だ。チョコがさっとアッシュさんの前に出て、蹴り開ける。
「にゃう…にゃっ!」
チョコに抗議してるけど、チョコは知らん顔。
 スライムだらけ!流石ボス部屋?と思ったら、開ける人のレベルによって魔物の数は増えるらしい…うん。チョコが開けたらめちゃくちゃ増えるよね。床も壁も、天井までお構い無しにスライムがへばりついている。流石にこれだけいたら、ちょっと気持ち悪い。

 モチが嬉々として鞄から飛び出してきた。風魔法でスライムを散らしていたアッシュさんが、魔法を止める。

 モチに当たったら大変だ。多分、アッシュさんにはモチとスライムの区別がつかないんだろう。私には何故か分かる。見かけはほぼ一緒だけど。チョコ達にも分かっているみたいで、マシロが私に結界を使いながら、石を飛ばしてスライムを潰している。
 モチも、酸を飛ばして潰している。レベルも上がっているみたいだ。

 スライムの中に上位種が混じり始めた。モチが苦戦している。
「モチ!戻って!」
「サヤカ!スキルだけじゃなくて、剣も使って!」
 振り下ろす瞬間にだけ魔力を乗せる。これがかなり難しくて、未だに私は出来ない。

 やっとの事で、倒し切った。一番小さくて、同じ形の核は一括でアイテムボックスに入っていく。
「いや…まさかこんなにスライムが出るなんて…レベルは幾つか聞いても?」
(あの辺にはそんなに強い魔物は出ないから、大した事はないよ)

 ん?鑑定で見てないのかな?それともレベル差で見られないとか?
 私もアッシュさんの事は鑑定で覗いた事はない。個人情報だし、見るんだったら亜空間内のスマホの方が見られる気がする。

「そういえば、アッシュさんは鑑定のスキル持ってないって言ってたっけ」
「それ、結構なレアスキルだから、あんまり他の人には言わない方がいいよ?俺の場合は、別の判断方法がね」
「それは、どんな?」

「んー…ハイエルフには、精霊が見えるんだ。普通のエルフでも見える人はいるけど」
(ボクも見えるよ。サヤカもそのうち見えるんじゃないかな?)

 ファンタジーだな…魔物だけじゃなくて、そんな物までいるんだ。

「その精霊も、今は瘴気のせいで数が減ってしまっているけど…」
 でも、異世界からという形だけど、聖女が来てくれた。

 これは一時でも救いとなるのか。未だ未知数ではあるけど。

     
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

聖女を怒らせたら・・・

朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

1人生活なので自由な生き方を謳歌する

さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。 出来損ないと家族から追い出された。 唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。 これからはひとりで生きていかなくては。 そんな少女も実は、、、 1人の方が気楽に出来るしラッキー これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。

義妹がピンク色の髪をしています

ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。

スラム街の幼女、魔導書を拾う。

海夏世もみじ
ファンタジー
 スラム街でたくましく生きている六歳の幼女エシラはある日、貴族のゴミ捨て場で一冊の本を拾う。その本は一人たりとも契約できた者はいない伝説の魔導書だったが、彼女はなぜか契約できてしまう。  それからというもの、様々なトラブルに巻き込まれいくうちにみるみる強くなり、スラム街から世界へと羽ばたいて行く。  これは、その魔導書で人々の忘れ物を取り戻してゆき、決して忘れない、忘れられない〝忘れじの魔女〟として生きるための物語。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...