巻き込まれ召喚された私は、ペットと共に穏やかに過ごしたい

あかる

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林檎の挿し木と孤児院

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 亜空間内の林檎は立派に育って、たくさんの実をつけた。
「ええと…まだ一週間経ってないのに、どうしてこんなに立派に育ったのかな?」
「精霊達みんな、サヤカの役に立ちたくて、張り切ってるからね」
「そうなんだ…精霊さん達、ありがとう」

『初めてお言葉を頂けたのじゃ!』
『土のも水のも狡いや…ボク達もお役に立ちたいのに』

 頑張った土と水の精霊の格が上がり、一回り大きくなって、亜空間の外で力を振るうようになる。
 とはいえ、土と水の精霊がいなくなる事はない。聖女の周囲でまた生まれるからだ。
 無自覚に精霊を増やし、精霊は瘴気を抑えて魔素を生み出す。
 そうする事で土地は活性化し、多くの恵みをもたらす。

 とはいえ、ユグドラシル周囲でもついぞ見る事のなかった景色だよな…精霊があんなに自己主張が激しくて、お喋りだとは思わなかった。

 大きく育った林檎の木。これは挿し木で充分増やせるだろう。何しろ種からここまでの状態になるなんて、予想もつかなかった。
「精霊さん、苗木になるまでお願いします」
 気候とか良く分からないし、春じゃないけど、精霊さんが協力してくれるなら、外でも育つだろう。

 孤児院の先生に苗木の事を説明し、一角に植えさせて貰う。

(そのリンゴの木は、大丈夫なの?)
 確かに金色リンゴの種から大きくなった木だけど、今亜空間に生えてる木の実は、普通に赤いリンゴだ。

 まあ一応?鑑定

 聖女のリンゴの苗木

 瘴気浄化効果があり、精霊の宿り木にもなる。実は呪い除去効果もあり、体力回復も促す

 あー…まあ、鑑定が使える人は少ないし、大丈夫だよね?

「多分平気だよ。大体、鑑定を使える人は少ないし、精霊が見える人も少ないんだから」

「聖女を害そうとすれば、神罰が下るからね。それに精霊達も黙っていない」
 私には見えないのが、何だか申し訳ない。そのうちが私にも見えるようになるらしいけど、未だに自分が聖女だって信じられない私からすると、自信がない。

 しかも思うように生きていい、なんて。
 もし、精霊さんと会えたら少しは信じるかもだけど。
 リリーは、姿はない。言葉だけだからね。


 流石に亜空間のように一気に成長する事はないが、若干速い気がする。

 私達は、最下層の40階層までクリアして…勿論私は途中から戦闘には一切関わらせて貰えなかった。
 アッシュさんでさえ、初撃に沢山の矢を叩き込むだけだった。
 あとは全部、チョコが蹂躙した。流石にアースドラゴンとか、ワイバーンでさえ魔法でも傷つける事が出来なかった。
 海のステージでは巨大な二枚貝が襲ってきたりと、驚いた。大変美味しく頂いた。

 ちょっと悔しいのが、規格外なチョコは別として、マシロとアッシュさんがいい感じの相棒として戦えていた事。
 信じられない位、マシロは強くなっていたのだ。

 私はただ、ドロップアイテムを回収する係だ。たまにチョコが私を鍛えてくれようとするけど、魔法なら少しは…な私は、正直冒険者には向いてないと思う。

 ワイバーンのお肉は凄く美味しくて、一時期填まった。
 肉質も柔らかくて、何の味付けもしなくても食べられる位美味しい。
 勿論大量に採れたので、みんなでバーベキューした。

 もうすぐ冬だ。かなり気温も下がってきて、異世界通販で買えたウニクロの暖か下着が手放せない。
 そして、ベッドではマシロが手放せない。
 いつもクリーンで綺麗にしてるので、獣臭くもない。
 チョコは自分の羽根に頭を突っ込んで鳥特有の眠り方をしている。

 チョコも暖かいけど、ベッドで一緒に眠るのは無理だ。残念。モチは今の季節冷たいし。
 とはいえ、亜空間内はいつも一定の温度なので寒くはない。いつでも快適温度だ。

 いつもは今の季節、唇と手が酷い事になるのに、今年はまだ大丈夫そう…加えて冷え症。夜は靴下無しでは眠れないのに、これももふもふ効果だろうか?
 と、思ったけど違うみたいだ。創造神様の加護がある私は、自分の身体を自動で最適化してるみたいだから、怪我だってすぐに治るし、そもそも悪い状態にはならない。

 凄い…じゃあ大人になってお酒を飲んでも酔わない?かというとそうではなく、良い気分にはなる。ただし、二日酔いはない。

 無双は出来ないけど、かなりチートだ。
「でもアッシュさん、今までの聖女様はみんなそんな風にチートだったんですか?」

「かなり間は空いたし…でもだからこそ、権力者に狙われやすくて。サヤカは慎重な方だと思うけど、変に抜けてる所あるから注意して」

 確かに、食べると付与みたいな効果が付く私のご飯は、役に立つか…それに、亜空間で育てた野菜はどれも一級品で、大きくて美味しい。魔素が多く含まれていて、他の野菜よりも美味しい。私の下手な料理でも、みんな喜んでくれる。

「よし!…リンゴのシャーベット出来たんですけど、食べます?」
「頂くよ」
 金色じゃないけど、味は同じだから、美味しいと思う。

「ん~!寒い時に暖かい部屋で冷たい物を食べるのって、贅沢な気分になりますよね!」
 暖房の魔道具、一つで居間全体が暖かくなるなんて、凄いな。

「口の中がさっぱりするね…?あれ…」
 アッシュさんが周囲を見回している。どうしたんだろう?

「鑑定を、覚えた…欲しいと思っていたスキルだから嬉しいな」
 これでサヤカがうっかり生み出してしまった物を事前に知る事が出来る。

「あ、そうなんですね?便利ですよね!薬になる草も簡単に見つけられて!」
「それは、ギルドでも図鑑があるよ?覚えた方がいい」

「あはは…そうですね」

 これだけ聖女の作った物を食べていれば、スキルがつくのも当然かな。…サヤカを鑑定する事は、やはり出来ないか…レベルは俺の方が勝っていても、聖女だもんな。

 サヤカの管理する畑では、魔素の多く含まれる野菜が生産される。チョコ殿やマシロが大きくなっているのも頷ける。モチも丈夫になっているし…そのうち進化するかな?

「サヤカ、リンゴの苗木は増やせるなら、なるべく増やしておいて」
「?あ、はーい…確かに美味しいですもんね!リンゴを使ったお菓子にも挑戦してみたいですし、頑張ります!」

「いやサヤカ…欲しいのは苗木ね」
「?了解です」
 あんまり大っぴらにはしない方がいいと思うけどな…でも瘴気を浄化出来るなら、必要なのかも。
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