巻き込まれ召喚された私は、ペットと共に穏やかに過ごしたい

あかる

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色々な付与

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 ドラゴンのブーツは、とにかく重い…
 軽量化の付与を付けたから少しはましになったけど、スニーカーみたいに手軽には履けない感じだ。
 膝上までを覆う形だから、ちょっと転んだ位じゃ怪我もしないだろう。それだけの安心感はある。

(仕方ないな…ボクの羽を使ってよ。少しは動きがましになると思う)
 後付けで頼んでいたら、風の精霊が加護まで付けてくれた。
 それでなくてもチョコの羽根は風魔法と相性がいいのに、お陰で風のように軽いブーツが出来た。

「やられたね…まあ、それで慣れるようにするしかないね」
 軽く動ければいいという物ではない…後日、思い知る事となった。

「私の事を思っての事だと分かるし、それについては感謝してるけど、これからは何かする前に一言欲しいな」

『分かったー!』『私達に何でも言って欲しいのー!』『聖女様の為に頑張るの!』

 分かってない気がする。

「儘ならない存在だからね」
 アッシュさんには、同情のたっぷりこもった視線を向けられた。

 防御の面ではこの上なく安全なブーツだけど、履くと危険なブーツになった。

 そっと移動しないと動き過ぎてしまう。そして私の運動神経では、それに対応出来ない。

 軽くジャンプしただけで、高い木も飛び越せてしまうのだ。

 あとは、自分のレベルを上げて反射神経が上がる事を期待するしかない。
 それまでこの、疾風のブーツは封印だ。

 でも、支援と付与の魔法は練習したい。
 属性の伴わない付与なら、精霊さん達も手が出せないみたいだから、色々と考えてみた。

 念の為、武器や防具への付与も止めた方がいいだろう。付与して戦えなくなったら本末転倒だし、自身の強化には、外部に魔力の出ない身体強化だけにしておく。

 身体強化も慣れないと、後で筋肉痛になるから程々にしないとならないけど、そこで回復魔法を使うと、いい筋肉に育たないらしいけど、…痛みが勝手に消える神様の加護は大丈夫だよね?

 とにかく、折角のブーツが要らない子にならないように、自身は鍛えていくとして、練習は…調理器具とか?

 ふと、台所スペースを見ると、鍋掴み用のミトンがあった。
 魔石から魔力を抜きつつ、熱遮断の付与をかけていく。

 効果は…今日は鍋料理にして、使って確かめてみよう。

 鑑定    聖女のミトン
 熱遮断の効果が火の精霊の加護により効果が上げられている。ドラゴンブレスの熱も遮断する。

 いや…手が熱くならなくても、ドラゴンに出会ったら普通に死ねると思う。

 戦闘にミトンを使う事はないし、いいんだけどね。

 そういえば、あの火を吹く牛…水蒸気爆発で頭が吹っ飛んだから牛タンは食べられなかったけど、なかなか美味しかったな…
 あんな事故早々見られないと思うから、次にあの牛が出ても同じ事をしようとは思わないけど。

 妖精さんの管理する畑は、季節関係なく色々な野菜を育ててくれるから、非常に嬉しい。春になった今でも、冬野菜が手に入る。

 雪が溶けて春になったとはいえ、夜はまだ寒い。
「今日はぼたん鍋だよ」
 薬味もたっぷりと入った身体にも嬉しい鍋だ。

「いつもありがとう、サヤカ」

 うわ…本当に熱くならないんだ。
 無駄に高性能になってしまったミトン。そして、お玉や菜箸等の調理器具。

 鑑定を覚えてしまったアッシュさんに見られたら、色々と突っ込まれる気がする。

 ペーパータオルにも、クリーンの付与をつけてあるから、汁が落ちたテーブルも、さっと拭くだけで、油の染みも残らない。

 手軽に便利効果が使えて、私にとっては魔道具と同じ位に便利だ。

 さて、減った分の魔石位は補充しないとね。

 本当は誰にも迷惑かけないように一人で来ようと思ったけど、マシロに見つかった。
「にゃう!」
「一人じゃ危ないって…私が行きたいのは、あのスライムのダンジョンだよ?子供の遊び場が危険な訳ないじゃん」

 仕方ないから、尻尾をピンと立てて歩くマシロに付いていく。

 この縄梯子がせめて頑丈な梯子なら、もっと安心なのに…

「何やってんの?聖女のねーちゃん」
「うわっ?!」
 足を踏み外して、落ちてしまった。
「いたた…エンジュ君か…」
「ねーちゃん、さすがにどんくさ過ぎ…」
 自覚してるから、そっとしておいて欲しい。

「薬草取りに来たの?それとも魔石?」
「魔石だけど、前回は薬草なんて見てる暇なかったから、ちょっと見たいかな」

 一つずつ確認していくと、結構種類が豊富だ。
「ねーちゃんは、ポーションも作れるのか?」
「まあ、一応…かな。でも、魔石を使って色々な付与を練習したい」
 変な効果は付いても一応ポーションだ。

「おー。俺は魔力操作がダメダメだから、やらせて貰えないんだよなー。エルフの癖に、な」

「何かやらかしたとか?」
「まあ…いきなりの攻撃に驚いて、隣にいたマルスまで半分氷浸けにした…威力を抑えて魔法を使うのが出来なくて」

「エンジュ君は魔力量が多いんだね。私も魔法が使えるようになったのはほんの一年前だから、魔力操作は下手だよ。アッシュさんは厳しいから、手抜き出来ないし」

「あ、分かる。でも自分にも厳しい人だから、何も言い返せないっていうか…」
 確かにそうかも。アッシュさんの崩れた顔はモチに座った時限定で、普段は結構ストイックな感じだし。
 余所行きの顔の時は近寄り難く感じる。

 もし、私が何も教わる事がなくなったらどうなるんだろう?それか、教えても無駄と判断されたら…

 ううん!諦めたら終わりだよね!飄々としてて、何も気にしてないように見えるけど、何かにつけてお世話になってるんだから、少しでも、恩返し出来たらいいな…

 マシロとエンジュ君と一緒に、魔石集め。一番数が多かったのは、やっぱりマシロだ。そして、高威力のエンジュ君の魔力も凄い。
 マシロの髭が凍ってしまったりと、ハプニングはあったけれど、負けていられないなとも思う。
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感想 1

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みんなの感想(1件)

Taka多可 (お米)

まだ途中までしか読んでいませんが面白かったです。
気になる点があるので意見させてください。
サヤカ視点以外、ハイエルフさんなどの視点になるシーンがたびたびあるようですが、突然切り替わるので、一瞬あら?っとなることがあります。
注意して読むとわかるのですが、出来れば区切りがあるとわかりやすいと思います。
★☆★☆(ここだけ○○視点)みたいになにかしらのマークで区切りをつけてやると良いのではないかなと。
ご検討ください。

2024.08.16 あかる

読んで頂いてありがとうございます。一応分かりやすいように、口調等で工夫してるつもりですが、読み返して分かりにくいような所は何か対策してみようと思います。これから登場人物も増えると思うので

解除

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