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美味しい海鮮料理
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取り敢えず、あの人はいない。12階層は水没してるフィールドで、足元を良く見ないと、いそぎんちゃくに捕まる。捕まると抜けられなくて、普通の運動靴だったりすると、簡単にボロボロにされる。
その前に息の根を止めれば靴も助かるけど、ダメージは避けられない。
一応倒せば魔石を落とすけど、妙に生命力が高かったりする。
作ってもらった革靴だって、多少長くもつ程度だから、長靴をいくつか買って対応するのが正解。
魔石を売っても長靴にお金を取られてたら、あんまり意味はない。
だから不人気階層。私は迷路状になっていないし、人の気配もないからと、氷の直線道路を作った。
「やっぱり魔法って、ちょっとズルだよね」
「え?今更?…ていうか、これだけの魔法を扱えるようにする為に、色々頑張ったんだよな…」
「思うように魔法の技術が上がらない?」
「それは、これからの努力で頑張ればいいんだけどさ、僕は前衛向きだし、攻撃魔法にはそこまで拘らなくてもいいかな…なんて」
「使えるようになった時はあんなに喜んでいたのに」
「攻撃には使わなくても、収納庫とか、亜空間とか…そっちは頑張る」
時空魔法か…前世では上位魔法だったから、使いこなせるようになる前に、他の属性魔法が早く上達してそうだな。
お陰でこうして、足を取られる事なく進める訳だし、結界より滑らない。
今日中に13階層まで行けそうだ。
途中で水分だけ補給して、休まず進む。
「よし!1日で制覇出来たな!」
13階層は、それなりに人が多い。ここには珍しい、茹でると殻が青くなるブルーシュリンプがいる。
鑑賞用の小さな物じゃなくて、ガチで食用。車海老より大振りで、身は少し硬め。でもそこが美味しいらしい。
(また美優ちゃんはズルして…でも僕にも分けてよね)
一々戦わずに、ポイポイと空納に入れている。ザリガニ釣りと一緒で、棒を挟んだ所でヒョイと入れる。
(知恵を使って効率的と言って欲しいな。それに、今日はあんまり時間ないから)
夜更かしは絶対しない。いつもの時間に食べて、寝る。その約束だけはちゃんと守る。
まあ、眠くて起きてられないだけだけど。
まだまだ動こうとしない大人の冒険者達を後目に、魔法石に触れて転移する。
いつもの音楽が、大きな音で鳴っている。
近くの販売機で、いつもの炭酸ジュースを買って飲む。しゅわしゅわが喉を刺激して、それが心地よい。水分も、体に染み渡る気がする。
「はあ…やっぱり冒険の後は炭酸がいいよね」
「あんまり飲むと、太るぞ?」
「残念。これはカロリーゼロです」
「ふうん…まあ、僕は水が一番いいと思ってるけど」
自分でコップに水を入れて、氷も作る。
自分で魔法を覚えてから、いつもそうしてる。
「なんかさ…自分の魔力で作った物を飲むって、自分の何かが染みだしている気がしない?」
こう、でろでろと…
「ホラー系苦手なのに、たまにそういう変な事考えるよね」
「映像化してないからいいの!効果音もないし」
ホラーの何が怖いかって、あの、来るぞ来るぞと言わんばかりの音楽に、叫びとかの効果音が怖さを倍増している。
「ん…あ!皆さん!」
一際強い存在感を放つのは、まっちゃん。その周囲には、東京防衛隊のみんなもいる。
「おー!ミュウちゃん、久しぶりだな」
「おおー!噂の東京防衛隊の皆様…格好いい…あの、握手して頂けますか?」
憧れの冒険者パーティーを前に、まるでアイドルを前にしたような態度を取っている。
もっとおかしいのは、ゲンさんとマシューさんだ…気のせいか、拝まれてる気がする。
「まさか2人だけで?電車を乗り継いだら半日はかかりそうなのに」
「まあ…ちょっと色々あって。丁度夏休みもあるし」
「今は何階層にいるの?」
「ここにはなかなか来られないから、今日13階層に入った所です」
「それでもそんなに進んでいるのは凄いと思うよ」
「なあ、今の時間に出てきたなら、泊まる所は決めてるのか?良かったら、俺達のパーティーハウス来ない?な、まっちゃん。いいだろ?」
「構わないけど、マシュー…ゲンさんに毒され過ぎてるぞ」
「いや!俺にはゲンと違って、そんな変な属性はないからな!」
「認めた方が、楽になれるぞ」
「や、止めろ!俺は…この戦いが終わったら結婚するんだ」
「死亡フラグ止めろ。それと、俺は私生活まで口出ししない。相手がいるなら止めないぞ?」
「ちょっと!そこでどうして私を見るのよ!私にはまだ、結婚願望はないわ!」
相変わらず楽しい人達だな…
「でも、ここでキャンプ料払って寝た方が早くないですか?」
「いや、カセットコンロじゃ火力が足りないんだよ」
あー、確かに。まっちゃんは特に拘りそうだし。
「…て事で、君はどうする?ミュウちゃんのお友達?」
「あ…か、カイです!僕もいいんですか?!」
カイって…私は人の事は言えないか。
「ご迷惑でなければ」
「ないない!ミュウちゃんには世話になったし」
電車で帰る道すがら、私は主にカナタさんと話してた。海人君も皆さんと話せて嬉しそうだった。
そんなに経ってないけど、チョ懐かしいパーティーハウス。
早速料理にかかったまっちゃんを置いて、私達とゲンさん、カナタさん、白猫さんで買い物に出る。
何故か畏れられる白猫さんに、海人君は不思議そうだ。
大人達は、主にアルコールを買い込む。
「カナタはやっぱり要らないの?」
「うん。止めておく。明日楽しく冒険したいから」
そう。色々話してるうちに、一緒に14階層まで冒険しようという話しになった。
「タルタルソースのエビフライ、リーダーにたくさん作ってもらおう!」
「牡蠣フライもね!」
それは楽しみだな。
海鮮づくしの夕食に舌鼓を打ちながら、冒険や、魔法の話しで盛り上がる。
「へえ、カイはミュウちゃんのお陰で魔法が使えるようになったんだ?」
「誰かの影響でそういう特殊スキルが生えるなんて、珍しいわね…興味深いわ」
「だとしても、美優ちゃんみたいに自在には操れません」
「だよねー、ミュウちゃんの魔法は本当に凄いから」
「褒めても、何も出ませんよ?今日のエビ位」
そういえば、まだ息の根を止めてなかったな。あとでこっそりやろう。
「それは明日からのダンジョンで、たくさん手に入るだろ」
「まっちゃん、質問。マグロとかカニもダンジョンで手に入るの?」
テーブルの上にはしっかりと、刺身と綺麗に花開いたようになってるカニ足がある。
「ああ…けど結構下だし、あんまり無茶するなよ」
「しませんよ。そもそも、広過ぎるせいで長い休みの時じゃないと攻略出来ないんですから」
ああ…楽しみ!マグロもカニも大好きだから!
その前に息の根を止めれば靴も助かるけど、ダメージは避けられない。
一応倒せば魔石を落とすけど、妙に生命力が高かったりする。
作ってもらった革靴だって、多少長くもつ程度だから、長靴をいくつか買って対応するのが正解。
魔石を売っても長靴にお金を取られてたら、あんまり意味はない。
だから不人気階層。私は迷路状になっていないし、人の気配もないからと、氷の直線道路を作った。
「やっぱり魔法って、ちょっとズルだよね」
「え?今更?…ていうか、これだけの魔法を扱えるようにする為に、色々頑張ったんだよな…」
「思うように魔法の技術が上がらない?」
「それは、これからの努力で頑張ればいいんだけどさ、僕は前衛向きだし、攻撃魔法にはそこまで拘らなくてもいいかな…なんて」
「使えるようになった時はあんなに喜んでいたのに」
「攻撃には使わなくても、収納庫とか、亜空間とか…そっちは頑張る」
時空魔法か…前世では上位魔法だったから、使いこなせるようになる前に、他の属性魔法が早く上達してそうだな。
お陰でこうして、足を取られる事なく進める訳だし、結界より滑らない。
今日中に13階層まで行けそうだ。
途中で水分だけ補給して、休まず進む。
「よし!1日で制覇出来たな!」
13階層は、それなりに人が多い。ここには珍しい、茹でると殻が青くなるブルーシュリンプがいる。
鑑賞用の小さな物じゃなくて、ガチで食用。車海老より大振りで、身は少し硬め。でもそこが美味しいらしい。
(また美優ちゃんはズルして…でも僕にも分けてよね)
一々戦わずに、ポイポイと空納に入れている。ザリガニ釣りと一緒で、棒を挟んだ所でヒョイと入れる。
(知恵を使って効率的と言って欲しいな。それに、今日はあんまり時間ないから)
夜更かしは絶対しない。いつもの時間に食べて、寝る。その約束だけはちゃんと守る。
まあ、眠くて起きてられないだけだけど。
まだまだ動こうとしない大人の冒険者達を後目に、魔法石に触れて転移する。
いつもの音楽が、大きな音で鳴っている。
近くの販売機で、いつもの炭酸ジュースを買って飲む。しゅわしゅわが喉を刺激して、それが心地よい。水分も、体に染み渡る気がする。
「はあ…やっぱり冒険の後は炭酸がいいよね」
「あんまり飲むと、太るぞ?」
「残念。これはカロリーゼロです」
「ふうん…まあ、僕は水が一番いいと思ってるけど」
自分でコップに水を入れて、氷も作る。
自分で魔法を覚えてから、いつもそうしてる。
「なんかさ…自分の魔力で作った物を飲むって、自分の何かが染みだしている気がしない?」
こう、でろでろと…
「ホラー系苦手なのに、たまにそういう変な事考えるよね」
「映像化してないからいいの!効果音もないし」
ホラーの何が怖いかって、あの、来るぞ来るぞと言わんばかりの音楽に、叫びとかの効果音が怖さを倍増している。
「ん…あ!皆さん!」
一際強い存在感を放つのは、まっちゃん。その周囲には、東京防衛隊のみんなもいる。
「おー!ミュウちゃん、久しぶりだな」
「おおー!噂の東京防衛隊の皆様…格好いい…あの、握手して頂けますか?」
憧れの冒険者パーティーを前に、まるでアイドルを前にしたような態度を取っている。
もっとおかしいのは、ゲンさんとマシューさんだ…気のせいか、拝まれてる気がする。
「まさか2人だけで?電車を乗り継いだら半日はかかりそうなのに」
「まあ…ちょっと色々あって。丁度夏休みもあるし」
「今は何階層にいるの?」
「ここにはなかなか来られないから、今日13階層に入った所です」
「それでもそんなに進んでいるのは凄いと思うよ」
「なあ、今の時間に出てきたなら、泊まる所は決めてるのか?良かったら、俺達のパーティーハウス来ない?な、まっちゃん。いいだろ?」
「構わないけど、マシュー…ゲンさんに毒され過ぎてるぞ」
「いや!俺にはゲンと違って、そんな変な属性はないからな!」
「認めた方が、楽になれるぞ」
「や、止めろ!俺は…この戦いが終わったら結婚するんだ」
「死亡フラグ止めろ。それと、俺は私生活まで口出ししない。相手がいるなら止めないぞ?」
「ちょっと!そこでどうして私を見るのよ!私にはまだ、結婚願望はないわ!」
相変わらず楽しい人達だな…
「でも、ここでキャンプ料払って寝た方が早くないですか?」
「いや、カセットコンロじゃ火力が足りないんだよ」
あー、確かに。まっちゃんは特に拘りそうだし。
「…て事で、君はどうする?ミュウちゃんのお友達?」
「あ…か、カイです!僕もいいんですか?!」
カイって…私は人の事は言えないか。
「ご迷惑でなければ」
「ないない!ミュウちゃんには世話になったし」
電車で帰る道すがら、私は主にカナタさんと話してた。海人君も皆さんと話せて嬉しそうだった。
そんなに経ってないけど、チョ懐かしいパーティーハウス。
早速料理にかかったまっちゃんを置いて、私達とゲンさん、カナタさん、白猫さんで買い物に出る。
何故か畏れられる白猫さんに、海人君は不思議そうだ。
大人達は、主にアルコールを買い込む。
「カナタはやっぱり要らないの?」
「うん。止めておく。明日楽しく冒険したいから」
そう。色々話してるうちに、一緒に14階層まで冒険しようという話しになった。
「タルタルソースのエビフライ、リーダーにたくさん作ってもらおう!」
「牡蠣フライもね!」
それは楽しみだな。
海鮮づくしの夕食に舌鼓を打ちながら、冒険や、魔法の話しで盛り上がる。
「へえ、カイはミュウちゃんのお陰で魔法が使えるようになったんだ?」
「誰かの影響でそういう特殊スキルが生えるなんて、珍しいわね…興味深いわ」
「だとしても、美優ちゃんみたいに自在には操れません」
「だよねー、ミュウちゃんの魔法は本当に凄いから」
「褒めても、何も出ませんよ?今日のエビ位」
そういえば、まだ息の根を止めてなかったな。あとでこっそりやろう。
「それは明日からのダンジョンで、たくさん手に入るだろ」
「まっちゃん、質問。マグロとかカニもダンジョンで手に入るの?」
テーブルの上にはしっかりと、刺身と綺麗に花開いたようになってるカニ足がある。
「ああ…けど結構下だし、あんまり無茶するなよ」
「しませんよ。そもそも、広過ぎるせいで長い休みの時じゃないと攻略出来ないんですから」
ああ…楽しみ!マグロもカニも大好きだから!
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