20 / 42
第二章
世界樹の実
しおりを挟む
その後、ゲッターたちは村のパン職人たちと集まり、具体的な計画を練り始めた。
クコの実の確保、パンを焼くための新しい窯の設計、そして焼き上がったパンをどのように配置して世界樹の実を受け止めるか、さまざまな課題が山積みだった。
まずゲッターは気の弱そうなオークに「君に名前をつけていいかな?名前がないと仕事がしにくいから」と頼んだ。
気の弱そうなオークは困った顔をして「村で名前を持っていいのは村長だけです」と言ってグルドを見た。
グルドは気にした様子もなく「ゲッターはドライアドの遣いだ。ドライアドの頼みみたいなものだからつけてもらったらいいんじゃないか?」と言った。
ゲッターがうれしそうな顔をして「村長の許可が出たからいいですよね?」と言ったので気の弱そうなオークは「はい」と言うしかなかった。
ゲッターは少し考えると「ベルクはどうですか?古い神話の調和の神の名です」と言った。
ベルクは諦めた顔で「わかりました。ベルクでお願いします」と言った。
ゲッターはベルクに窯を見せてもらうことにした。
オークの村には大きなパン工房があった。
ゲッターはゴブリンとオークの暮らしの差がまだまだ大きいと実感させられた。
ゲッターは工房に入ると窯の造りを隅々まで確認した。
次に窯用の土がある古い畑に連れて行ってもらった。そしてそこに『加工』スキルで試しに新しい窯を作り、そのあと新しい窯の出来をベルクに確認してもらった。
オークたちはゲッターのスキルに驚いていて、ベルクは「実際にパンを焼いてみたい」と言った。
ゲッターは最初時間がもったいないと思ったが、使えないものを作っても仕方ないので許可を出した。
ベルクはうれしそうな顔をしてパンを焼き始めた。
しばらくしてパンが焼き上がるとベルクは目を輝かせて「とてもいい感じに焼けました。工房の窯よりいいぐらいです」とゲッターを賞賛した。
ゲッターが「このままもう少し大きい窯を作ることもできるけど」と提案したが「ただ大きくしたのでは火加減の調節が難しくなります。今回はこの窯でできるだけ大きいパンを焼きましょう」と言った。
それからゲッターはスキルでさらに3つの窯を作った。
村のパン職人たちは、ゲッターが作った新しい窯で次々とパンを焼き始めた。ゲッターたちは普段よりも大きめにパンを焼き、それらを積み重ねることでクッションのようにしようと考えていた。ゲッターたちはその様子を見守りながら、さらに効率よく焼くための工夫を凝らしていった。
オークの村では、毎晩が忙しい宴のようだった。パンを焼くために集まった人々は、仕事をしながらも互いに励まし合い、時折笑い声が聞こえるほどだった。
パンの焼ける香ばしい匂いが村中に漂い、村の子どもたちはその香りに誘われて、パンが焼き上がるのを楽しみに待っていた。
アイナは村の女性たちと協力してパン作りを手伝い、ガプロはオークの若者たちと一緒に資材を運んだり、窯の管理を手伝ったりしていた。
ゲッターはグルドと協力してパンを世界樹に運ぶ手配をしていた。
ゲッターはゴブリンの村にも連絡して手が空いている者を呼んだ。
グルドは村の若者たちを集め、焼き上がった順にパンを運ばせた。
時間との戦いの中、ゲッターたちは少しずつ成果を上げていった。最初は不安だったオークの職人たちも、ゲッターたちの情熱と献身に触発され、次第に自信を持つようになった。
そして、ついに、世界樹の実を受け止めるためのパンのクッションが完成に近づいていったのだった。
ゲッターたちが世界樹の下で作業を続けていると人間の姿をしたヴェルデリオンがエリーを連れてやって来た。
ヴェルデリオンは笑顔でゲッターたちの努力の成果を見ながら言った。
「こんにちはゲッター。なんとか間に合いそうだね」
ゲッターは「みんなのお陰で最大限の努力はできたよ。あとはいつ世界樹の実が落ちるかだな」と実を見上げながら言った。
「ぼくとエリーの見立てではもういつ落ちてもおかしくないかな。今日のうちか明日には落ちると思うよ」とヴェルデリオンが言うのでゲッターは「そんなに正確にわかるのか?」と尋ねた。
ヴェルデリオンはエリーと顔を見合わせると「聖なる力が実にどんどん貯まっていくのがわかるんだ。今までの経験でどれくらい貯まると落ちるか知っているから」と言った。
「それでもうすぐ予想の量の聖なる力が貯まりそうってことなのか?」とゲッターが尋ねると「そういうこと」とヴェルデリオンは答えた。
その時「お~い、ゲッター」と言ってグルドが近づいてきた。
グルドはヴェルデリオンたちに気づくと「ドライアドか?」と小声でゲッターに尋ねた。
ゲッターは2人をグルドに紹介した。
ヴェルデリオンを紹介した時グルドが「信じられない」と呟いたのでヴェルデリオンは「緑竜の姿になろうか?」と言ったがグルドは首をブンブン振って断っていた。
その後グルドも姿勢を正して礼儀正しく自己紹介をした。
挨拶が終わるとゲッターは「実が今日か明日には落ちるそうだ」と伝えるとグルドは「なら区切りのいいところで作業を中止して一応避難するか」と言った。
グルドのその言葉に「別に森から出るほど離れることはないよ。当たらないくらいの距離でみんなで実が落ちるのを見ようよ」とヴェルデリオンは言った。
エリーが笑顔で「仮にパンが上手く受け止められなくてもヴェルデリオンが守ってくれるそうですよ」と言うとヴェルデリオンは「へへへ」と照れた。
ゲッターは驚いて「いいのか?」と尋ねた。
ヴェルデリオンは何故か焦った様子で「それならすぐに実を取ってくれればいいとか言うのは無しだからね。君たちがここまでがんばったんだから、やっぱり結果が見たいじゃないか」と手を振って言った。
ゲッターはうれしそうに「そんなこと言うわけないじゃないか。ありがとうヴェルデリオン」と言って頭を下げるとグルドも「俺にも礼を言わせてくれ。本当にありがとう」と言った。
ヴェルデリオンはまた照れくさそうに「へへへ」と笑うと「ゲッター、アイナはどこ?」と尋ねた。
それを聞いてグルドが「アイナならこっちだ。女たちと焼けたパンを積んでいる」と言ってヴェルデリオンの案内をしていってしまった。
ヴェルデリオンを見送りながらエリーは「ヴェルデリオンはあなたたちと仲良くなれてうれしいのですよ」と呟いた。
エリーはゲッターの方を向くと「ヴェルデリオンは同じ趣味の人ととても仲良しになるって言ったでしょう?」と尋ねたのでゲッターは頷いた。
エリーは寂しそうな顔をして「ヴェルデリオンにも過去に多くの仲良くなった人がいました。でもヴェルデリオンは不滅の存在です。仲良くなってもその相手は必ず先に逝ってしまいます。だから最近のヴェルデリオンは他人に近づくのに臆病になっているようでした」と説明した。
ゲッターたちからすればヴェルデリオンとの出会いは僥倖とも言える素晴らしいものだ。これからもそれこそ一生いい付き合いを続けていきたいと願っている。
だが長久の時を生きるヴェルデリオンからするとそれは一瞬と言える時間なのかもしれない。そう考えるとゲッターにもヴェルデリオンの孤独が少しわかった気がした。
ふと「エリーはどうなんだ」とゲッターは聞いた。
エリーは遠くを見つめるような表情で「私は永遠の命を持つ者ではありません。もちろんあなたたちよりはずっと長生きですが、時が来ると世界樹の世話役を代替わりして消滅します」と言った。
ゲッターは「死ぬわけではないのか?」と聞いた。
エリーは「死ぬのと代わりないですが、代替わりの時に新しい世話役のドライアドに身体が吸収されて文字通り一体となるのです。だから死体も残らないので消滅です」と言った。
「そうして新しい世話役に知識と経験を引き継いでいくのです。以前にも言いましたが私たちはどこまでいっても世界樹の世話をするだけの存在なのです」と自嘲気味に言った。
ゲッターは「エリーも寂しいのだな」と感じた。
ゲッターも2人との距離を感じたがそれを振り払うように「それでも私たちの出会いはとても意味があるし、こうして一緒に過ごした時間は永遠になくならないよ。いつまでもいい思い出だ」と元気よくエリーに言った。
そのゲッターの元気の良さにエリーは一瞬驚いたようだったがエリーはうれしそうな表情になって「そうですね。私もそう思います」と笑った。
それからゲッターたちはパンを敷き詰める作業を中止した。
落ちてきた世界樹の実に当たらないように距離を取った場所にみんなで集まってその時を待った。
お酒はなかったがあるだけの食材を出してごちそうを作り宴を開いた。
最初はゴブリンを馬鹿にしていたオークたちだったが協力して作業を進めていくうちにゴブリンのことを見直していた。
ゴブリンたちも最初はオークたちを警戒して距離を取っていたがオークが気さくに接するようになったので打ち解けるようになっていた。
ゲッターは村での宴のようにこの場にいるみんなが家族になっていくような一体感を味わっていた。
宴はどこまでも盛り上がっていった。
その時はいきなり訪れた。
誰かが「あっ!」と言ったかと思うと「ズドン!」と大きな音がした。
それでも世界樹の実は上手くパンで作ったクッションに落ちたようで衝撃はほとんどなかった。
ゲッターたちは敷き詰めたパンをどかして世界樹の実のところへ行く。
世界樹の実は薄ぼんやりと光っている。形はリンゴに似ていたが大きさは直径2メートルくらいあった。
やはりパンのクッションは効いていたようで潰れたパンの上に傷一つ無く乗っかっていた。
それを見てゲッターが「大成功だ!」と叫ぶと周囲に大歓声が響き渡った。
ゲッターはガプロ、グルドと抱き合って喜びを分かち合う。
ゴブリンもオークも関係なく、みんな抱き合ったりハイタッチをしたりしていた。ヴェルデリオンとエリーも一緒に喜んでいた。
その日は夜を通してみんなで騒ぎあったのであった。
⭐️⭐️⭐️
❤️応援されるととても喜びますのでよかったらお願いします。
励ましのコメントもお待ちしてます。
クコの実の確保、パンを焼くための新しい窯の設計、そして焼き上がったパンをどのように配置して世界樹の実を受け止めるか、さまざまな課題が山積みだった。
まずゲッターは気の弱そうなオークに「君に名前をつけていいかな?名前がないと仕事がしにくいから」と頼んだ。
気の弱そうなオークは困った顔をして「村で名前を持っていいのは村長だけです」と言ってグルドを見た。
グルドは気にした様子もなく「ゲッターはドライアドの遣いだ。ドライアドの頼みみたいなものだからつけてもらったらいいんじゃないか?」と言った。
ゲッターがうれしそうな顔をして「村長の許可が出たからいいですよね?」と言ったので気の弱そうなオークは「はい」と言うしかなかった。
ゲッターは少し考えると「ベルクはどうですか?古い神話の調和の神の名です」と言った。
ベルクは諦めた顔で「わかりました。ベルクでお願いします」と言った。
ゲッターはベルクに窯を見せてもらうことにした。
オークの村には大きなパン工房があった。
ゲッターはゴブリンとオークの暮らしの差がまだまだ大きいと実感させられた。
ゲッターは工房に入ると窯の造りを隅々まで確認した。
次に窯用の土がある古い畑に連れて行ってもらった。そしてそこに『加工』スキルで試しに新しい窯を作り、そのあと新しい窯の出来をベルクに確認してもらった。
オークたちはゲッターのスキルに驚いていて、ベルクは「実際にパンを焼いてみたい」と言った。
ゲッターは最初時間がもったいないと思ったが、使えないものを作っても仕方ないので許可を出した。
ベルクはうれしそうな顔をしてパンを焼き始めた。
しばらくしてパンが焼き上がるとベルクは目を輝かせて「とてもいい感じに焼けました。工房の窯よりいいぐらいです」とゲッターを賞賛した。
ゲッターが「このままもう少し大きい窯を作ることもできるけど」と提案したが「ただ大きくしたのでは火加減の調節が難しくなります。今回はこの窯でできるだけ大きいパンを焼きましょう」と言った。
それからゲッターはスキルでさらに3つの窯を作った。
村のパン職人たちは、ゲッターが作った新しい窯で次々とパンを焼き始めた。ゲッターたちは普段よりも大きめにパンを焼き、それらを積み重ねることでクッションのようにしようと考えていた。ゲッターたちはその様子を見守りながら、さらに効率よく焼くための工夫を凝らしていった。
オークの村では、毎晩が忙しい宴のようだった。パンを焼くために集まった人々は、仕事をしながらも互いに励まし合い、時折笑い声が聞こえるほどだった。
パンの焼ける香ばしい匂いが村中に漂い、村の子どもたちはその香りに誘われて、パンが焼き上がるのを楽しみに待っていた。
アイナは村の女性たちと協力してパン作りを手伝い、ガプロはオークの若者たちと一緒に資材を運んだり、窯の管理を手伝ったりしていた。
ゲッターはグルドと協力してパンを世界樹に運ぶ手配をしていた。
ゲッターはゴブリンの村にも連絡して手が空いている者を呼んだ。
グルドは村の若者たちを集め、焼き上がった順にパンを運ばせた。
時間との戦いの中、ゲッターたちは少しずつ成果を上げていった。最初は不安だったオークの職人たちも、ゲッターたちの情熱と献身に触発され、次第に自信を持つようになった。
そして、ついに、世界樹の実を受け止めるためのパンのクッションが完成に近づいていったのだった。
ゲッターたちが世界樹の下で作業を続けていると人間の姿をしたヴェルデリオンがエリーを連れてやって来た。
ヴェルデリオンは笑顔でゲッターたちの努力の成果を見ながら言った。
「こんにちはゲッター。なんとか間に合いそうだね」
ゲッターは「みんなのお陰で最大限の努力はできたよ。あとはいつ世界樹の実が落ちるかだな」と実を見上げながら言った。
「ぼくとエリーの見立てではもういつ落ちてもおかしくないかな。今日のうちか明日には落ちると思うよ」とヴェルデリオンが言うのでゲッターは「そんなに正確にわかるのか?」と尋ねた。
ヴェルデリオンはエリーと顔を見合わせると「聖なる力が実にどんどん貯まっていくのがわかるんだ。今までの経験でどれくらい貯まると落ちるか知っているから」と言った。
「それでもうすぐ予想の量の聖なる力が貯まりそうってことなのか?」とゲッターが尋ねると「そういうこと」とヴェルデリオンは答えた。
その時「お~い、ゲッター」と言ってグルドが近づいてきた。
グルドはヴェルデリオンたちに気づくと「ドライアドか?」と小声でゲッターに尋ねた。
ゲッターは2人をグルドに紹介した。
ヴェルデリオンを紹介した時グルドが「信じられない」と呟いたのでヴェルデリオンは「緑竜の姿になろうか?」と言ったがグルドは首をブンブン振って断っていた。
その後グルドも姿勢を正して礼儀正しく自己紹介をした。
挨拶が終わるとゲッターは「実が今日か明日には落ちるそうだ」と伝えるとグルドは「なら区切りのいいところで作業を中止して一応避難するか」と言った。
グルドのその言葉に「別に森から出るほど離れることはないよ。当たらないくらいの距離でみんなで実が落ちるのを見ようよ」とヴェルデリオンは言った。
エリーが笑顔で「仮にパンが上手く受け止められなくてもヴェルデリオンが守ってくれるそうですよ」と言うとヴェルデリオンは「へへへ」と照れた。
ゲッターは驚いて「いいのか?」と尋ねた。
ヴェルデリオンは何故か焦った様子で「それならすぐに実を取ってくれればいいとか言うのは無しだからね。君たちがここまでがんばったんだから、やっぱり結果が見たいじゃないか」と手を振って言った。
ゲッターはうれしそうに「そんなこと言うわけないじゃないか。ありがとうヴェルデリオン」と言って頭を下げるとグルドも「俺にも礼を言わせてくれ。本当にありがとう」と言った。
ヴェルデリオンはまた照れくさそうに「へへへ」と笑うと「ゲッター、アイナはどこ?」と尋ねた。
それを聞いてグルドが「アイナならこっちだ。女たちと焼けたパンを積んでいる」と言ってヴェルデリオンの案内をしていってしまった。
ヴェルデリオンを見送りながらエリーは「ヴェルデリオンはあなたたちと仲良くなれてうれしいのですよ」と呟いた。
エリーはゲッターの方を向くと「ヴェルデリオンは同じ趣味の人ととても仲良しになるって言ったでしょう?」と尋ねたのでゲッターは頷いた。
エリーは寂しそうな顔をして「ヴェルデリオンにも過去に多くの仲良くなった人がいました。でもヴェルデリオンは不滅の存在です。仲良くなってもその相手は必ず先に逝ってしまいます。だから最近のヴェルデリオンは他人に近づくのに臆病になっているようでした」と説明した。
ゲッターたちからすればヴェルデリオンとの出会いは僥倖とも言える素晴らしいものだ。これからもそれこそ一生いい付き合いを続けていきたいと願っている。
だが長久の時を生きるヴェルデリオンからするとそれは一瞬と言える時間なのかもしれない。そう考えるとゲッターにもヴェルデリオンの孤独が少しわかった気がした。
ふと「エリーはどうなんだ」とゲッターは聞いた。
エリーは遠くを見つめるような表情で「私は永遠の命を持つ者ではありません。もちろんあなたたちよりはずっと長生きですが、時が来ると世界樹の世話役を代替わりして消滅します」と言った。
ゲッターは「死ぬわけではないのか?」と聞いた。
エリーは「死ぬのと代わりないですが、代替わりの時に新しい世話役のドライアドに身体が吸収されて文字通り一体となるのです。だから死体も残らないので消滅です」と言った。
「そうして新しい世話役に知識と経験を引き継いでいくのです。以前にも言いましたが私たちはどこまでいっても世界樹の世話をするだけの存在なのです」と自嘲気味に言った。
ゲッターは「エリーも寂しいのだな」と感じた。
ゲッターも2人との距離を感じたがそれを振り払うように「それでも私たちの出会いはとても意味があるし、こうして一緒に過ごした時間は永遠になくならないよ。いつまでもいい思い出だ」と元気よくエリーに言った。
そのゲッターの元気の良さにエリーは一瞬驚いたようだったがエリーはうれしそうな表情になって「そうですね。私もそう思います」と笑った。
それからゲッターたちはパンを敷き詰める作業を中止した。
落ちてきた世界樹の実に当たらないように距離を取った場所にみんなで集まってその時を待った。
お酒はなかったがあるだけの食材を出してごちそうを作り宴を開いた。
最初はゴブリンを馬鹿にしていたオークたちだったが協力して作業を進めていくうちにゴブリンのことを見直していた。
ゴブリンたちも最初はオークたちを警戒して距離を取っていたがオークが気さくに接するようになったので打ち解けるようになっていた。
ゲッターは村での宴のようにこの場にいるみんなが家族になっていくような一体感を味わっていた。
宴はどこまでも盛り上がっていった。
その時はいきなり訪れた。
誰かが「あっ!」と言ったかと思うと「ズドン!」と大きな音がした。
それでも世界樹の実は上手くパンで作ったクッションに落ちたようで衝撃はほとんどなかった。
ゲッターたちは敷き詰めたパンをどかして世界樹の実のところへ行く。
世界樹の実は薄ぼんやりと光っている。形はリンゴに似ていたが大きさは直径2メートルくらいあった。
やはりパンのクッションは効いていたようで潰れたパンの上に傷一つ無く乗っかっていた。
それを見てゲッターが「大成功だ!」と叫ぶと周囲に大歓声が響き渡った。
ゲッターはガプロ、グルドと抱き合って喜びを分かち合う。
ゴブリンもオークも関係なく、みんな抱き合ったりハイタッチをしたりしていた。ヴェルデリオンとエリーも一緒に喜んでいた。
その日は夜を通してみんなで騒ぎあったのであった。
⭐️⭐️⭐️
❤️応援されるととても喜びますのでよかったらお願いします。
励ましのコメントもお待ちしてます。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる