1 / 6
"かくれんぼ"
しおりを挟む
夏は毎年、お父さんのおじいちゃん、ひいじいちゃんのおうちに遊びに行く。
ひいじいちゃんのおうちは田舎にあって、広い畳のお部屋がいくつもつながり、とっても大きい。離れに納屋に、蔵まである。
朝は小鳥、昼はセミ、夜はカエルの声がず――っと聞こえ続けるくらい、周りは田んぼや山、竹林、それに川。自然がいっぱいだ。
ひいじいちゃんのおうちで、滅多に会えないイトコたちと一緒に遊ぶことを、僕はいつも楽しみにしていた。だって僕には兄弟がいないから。
だけど、今年の夏はちょっと違った。
「"お城山"で、"かくれんぼ"して遊ぼうぜ」
年上のソウくんの言葉に、えっ、と思う。
"お城山"。ひいじいちゃんのおうちの裏から、つながるみたいにあるお山。
おじいちゃんのお山だって聞いてる。昔はお城があったらしく、登ると"お城跡です"って看板が立ってる。
だけど。
「"お城山"での"かくれんぼ"は、絶対やっちゃダメ、って言われてるよ」
ソウくんの弟、ケイちゃんがそう言うと、他のイトコたちも口々に言い出した。
「むかぁし、ご先祖さまが、悪いヤツを閉じ込てるままだからって」
「うん。"かくれんぼ"に誘い出して、隠れさせてるんだよね? ず――っと」
それを聞いたソウくんが、呆れたような顔をして僕たちを見下ろす。
「だから間違って、"そいつ"を見つけちゃいけないから、"かくれんぼ"は禁止なんだろ? そんなの、"お城山"で迷子にさせないための大人たちの嘘だよ。テキトー言ってるんだよ」
…………。
迷子になりそうなら、もっとやめといたほうがいいと思うんだけど……。
「大体、悪いヤツってなんだよ。そんなのもう死んでるだろ、昔の話なのに」
「お……おばけ、とか?」
「おばけが昼に出るかよ」
で、でも"お城山"は木が多くて暗いし、出るかもしれないじゃないか。
「お庭でやろうよ」
「大人たちが座敷で宴会してるんだぞ? 神様としてお祭りしたご先祖様の、何百年目かの節目の年だってお祝いで。うるさくて、気が散るよ」
提案をきっぱりと否定されて、僕は口をつぐんだけど。ダメって言われてる事やっちゃ、ダメなんじゃないかな。
僕と同じ思いの子は何人もいたはずなのに。
気がついたら、ソウくんの言葉通り、遊びは"お城山"での"かくれんぼ"に決定していた。
ひいじいちゃんのおうちから、少し上ったお山の社で。
うん、お社なら近くて、ひいじいちゃんのおうちもすぐ見えるし、大丈夫? 山の上の方でも、奥でも、ないもんね。
それにお社なら……。きっと神様がいるから、悪いヤツとかいないよね?
運悪く、ジャンケンで僕は"鬼"役が当たってしまった。
隠れた皆を、あちこち走って見つけていく。広いから、大変だ。
あとはひとり。アッくんだけ。
お社の裏に回ってみよう。
足にまとわりつく長い草を気にしながら、アッくんを探す。木が重なる山は、葉っぱのせいでお昼なのに薄暗い。流れる汗が、気持ち悪い。
帰ったら、涼しいお部屋で冷たいおやつが食べたいなぁ。
アッくんを、見つけたら。
あっ!!
ひいじいちゃんのおうちは田舎にあって、広い畳のお部屋がいくつもつながり、とっても大きい。離れに納屋に、蔵まである。
朝は小鳥、昼はセミ、夜はカエルの声がず――っと聞こえ続けるくらい、周りは田んぼや山、竹林、それに川。自然がいっぱいだ。
ひいじいちゃんのおうちで、滅多に会えないイトコたちと一緒に遊ぶことを、僕はいつも楽しみにしていた。だって僕には兄弟がいないから。
だけど、今年の夏はちょっと違った。
「"お城山"で、"かくれんぼ"して遊ぼうぜ」
年上のソウくんの言葉に、えっ、と思う。
"お城山"。ひいじいちゃんのおうちの裏から、つながるみたいにあるお山。
おじいちゃんのお山だって聞いてる。昔はお城があったらしく、登ると"お城跡です"って看板が立ってる。
だけど。
「"お城山"での"かくれんぼ"は、絶対やっちゃダメ、って言われてるよ」
ソウくんの弟、ケイちゃんがそう言うと、他のイトコたちも口々に言い出した。
「むかぁし、ご先祖さまが、悪いヤツを閉じ込てるままだからって」
「うん。"かくれんぼ"に誘い出して、隠れさせてるんだよね? ず――っと」
それを聞いたソウくんが、呆れたような顔をして僕たちを見下ろす。
「だから間違って、"そいつ"を見つけちゃいけないから、"かくれんぼ"は禁止なんだろ? そんなの、"お城山"で迷子にさせないための大人たちの嘘だよ。テキトー言ってるんだよ」
…………。
迷子になりそうなら、もっとやめといたほうがいいと思うんだけど……。
「大体、悪いヤツってなんだよ。そんなのもう死んでるだろ、昔の話なのに」
「お……おばけ、とか?」
「おばけが昼に出るかよ」
で、でも"お城山"は木が多くて暗いし、出るかもしれないじゃないか。
「お庭でやろうよ」
「大人たちが座敷で宴会してるんだぞ? 神様としてお祭りしたご先祖様の、何百年目かの節目の年だってお祝いで。うるさくて、気が散るよ」
提案をきっぱりと否定されて、僕は口をつぐんだけど。ダメって言われてる事やっちゃ、ダメなんじゃないかな。
僕と同じ思いの子は何人もいたはずなのに。
気がついたら、ソウくんの言葉通り、遊びは"お城山"での"かくれんぼ"に決定していた。
ひいじいちゃんのおうちから、少し上ったお山の社で。
うん、お社なら近くて、ひいじいちゃんのおうちもすぐ見えるし、大丈夫? 山の上の方でも、奥でも、ないもんね。
それにお社なら……。きっと神様がいるから、悪いヤツとかいないよね?
運悪く、ジャンケンで僕は"鬼"役が当たってしまった。
隠れた皆を、あちこち走って見つけていく。広いから、大変だ。
あとはひとり。アッくんだけ。
お社の裏に回ってみよう。
足にまとわりつく長い草を気にしながら、アッくんを探す。木が重なる山は、葉っぱのせいでお昼なのに薄暗い。流れる汗が、気持ち悪い。
帰ったら、涼しいお部屋で冷たいおやつが食べたいなぁ。
アッくんを、見つけたら。
あっ!!
1
あなたにおすすめの小説
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
ローズお姉さまのドレス
有沢真尋
児童書・童話
*「第3回きずな児童書大賞」エントリー中です*
最近のルイーゼは少しおかしい。
いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。
話し方もお姉さまそっくり。
わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。
表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
稀代の悪女は死してなお
朔雲みう (さくもみう)
児童書・童話
「めでたく、また首をはねられてしまったわ」
稀代の悪女は処刑されました。
しかし、彼女には思惑があるようで……?
悪女聖女物語、第2弾♪
タイトルには2通りの意味を込めましたが、他にもあるかも……?
※ イラストは、親友の朝美智晴さまに描いていただきました。
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる