"かくれんぼ"は、やっちゃダメ

みこと。

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その子は僕?

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 あっ!!


 木の後ろ、石の横、しゃがみこんでる黒い影!!


 「みぃつけた!!」

 勢いよく声をかけて、すぐに後悔した。
 ちがう、アッくんじゃない??

 えっ、でも、誰? こんな子、知らな――……。

 「ふふっ、やっと見つけて貰えた。ず――っと、待ってたんだ。次はキミがかくれる番だよ」

 その子が立ち上がった途端。
 ゾクリ。冷たい何かが背中をのぼった。

 あ゛っ……。あ゛っ……。

 どうしよう、この子、なんか怖い。足がすくむ。そんなとき。

「おーい、ミツキー!!」

 うしろから、ソウくんの声がした。
 僕のこと呼んでる。

 ほっ、として、振り返ろうとしたら。

「は――い」

 目の前の。さっき会ったばかりの知らない子が、返事をした。
 僕の名前なのに。僕より先に。僕みたいに?
 そして、さっと僕の横を通り過ぎて、ソウくんの元にけていく。ソウくんが、とても自然に話しかけてる。

「様子見に来たおばさんに"かくれんぼ"してるのバレて、叱られちゃった。おやつだって。帰ろうぜ」

 待って、待って、ソウくん。
 違うよ? その子、僕じゃないよ?

 僕じゃないのに。

「悪いヤツ、ちょっと見つけてみたかったよな?」なんて言いながら、ソウくんは、見たことない子を親し気に、肩に手まで回して、ふたりでひいじいちゃんちに向かう。


 どうしよう、声が出ない。呼び止めなきゃ、行っちゃう。


 ソウくんの横で、その子が振り返り、僕を見て、にやりと笑った。その顔が。


 ――――僕??!!



 それからあたりはすっかり暗くなって、「寝なさい」って言われるくらいの夜になっても、誰も僕を迎えには来てくれなかった。
 探しに来て、もらえなかった。

 きっとあの子に、僕の場所、取られちゃったんだ。
 あの子が ミツキ になっちゃったんだ。
 そういうコワイ話、読んだことある。

 もしかして、あの子が話に聞いてた"悪いヤツ"?
 だとしたら、僕はこれから、どうなるの?

 止まらない涙をふいた服は、すっかりぐしょれで。

 見えてるのに。ひいじいちゃんのおうち。お部屋の明かりも見えてるし、笑い声さえ聞こえてきそうな距離(キョリ)なのに。
 なんで僕は、あっちに行けないの?

 どうしてだか、暗い暗い木の間で、ひざを抱えてうずくまってる事しか出来ない。
 行こうとすると、身体がギュッと固くなって、全然、動けなくなる。

 お腹空いた。おうちに帰りたい。お父さんとお母さんにギュッてしたい。暗いし、怖いよ……。

 "かくれんぼ"なんて、するんじゃなかった。「やらない」って、ちゃんと反対してたら良かった。



 誰か……。誰か、僕を見つけて…………。




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