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40話 俺、契約する
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「姉貴、この礼は必ずするから」
「いいですよ、でしたらわたしと家族水入らずで今度デートしましょう」
「わかった、約束だ」
「約束です」
「どうかユリアナのことも頼む」
「任せてください」
会話が終わり次第、俺と姉ちゃんは海洋都市アトランティアに姉貴とユリアナはアズルレーン王国に向かった。
しばらく歩くと、遠くに見えてきたのは列に並んだ兵たちが行進している姿。今から戦場に向かうのだろう。
数を見るに100とかそういう次元じゃない。
数千、いや数万はくだらないだろう。
そんなにも大きな戦に発展しているのだ。
「不安だよねネオ君。今からお姉ちゃんと一緒に行こうか」
「どこに? 今から行くのはイザベル教団の――」
「もっと戦力が欲しいでしょ? それに守りたいんでしょ大切な人たちを」
「この際だから聞くけど姉ちゃん何を企んでる?」
「べっつに~企んでないよ。もしネオ君がお姉ちゃんの提案を拒否するなら、それはそれでいいけど。でも大変なことになっちゃうよ。後悔だけはしちゃダメだからね。それがどんな結果であっても」
「一体、姉ちゃんは何を知って……」
「さあ……どうでしょう。お姉ちゃんはあくまで提案をしただけ。悪魔だけにね」
確かに俺たちだけで解決できる域は超えているのかもしれない。やっぱり俺が考えていたような単純な話じゃないのか戦って……。
だとするなら、姉ちゃんの提案に乗るしか方法がない。
「ネオ君は受け入れるって言うだけでいいからね。これは悪魔とのお姉ちゃんとの取り引き。悪魔は契約に従い、その分の対価をいただく、それが鉄則なの」
「わかった」
「哀れな人族」
「い、今、俺のこと哀れって」
「だってそうでしょ? その力も元はお姉ちゃんのもの。学費もお姉ちゃん、食費も屋敷もぜんぶぜ~んぶお姉ちゃんの。それなのにカッコつけちゃってさ」
「悪いかよ! 俺にはこのぐらいののとしかできないから」
「カッコいいよ。だからお姉ちゃんは――いいえ、始めましょ。汝は力を求め、その対価としてお姉ちゃんにすべてを捧げるか?」
「受け入れる」
契約はあっさりとしたものだった。
特に変化が起きたわけでもない。今さらながら契約内容って……しまった! 俺、確認するの忘れてる。
ろくでもない契約内容だったら破棄だ、破棄。
「姉ちゃん契約内容って……」
「知りたい? 仕方ないな。お姉ちゃんと結婚すること。魔国の王としての資格を譲渡することよ」
「はあ!? 何て契約してくれたんだ! 俺が王になれるわけないだろ。それに結婚って何だよ!? 俺と姉ちゃんは家族みたいな――」
「うん、本当の家族になるの……これから」
「おいおい、顔を赤くするな!」
だと思ったよ。
ヤバい雰囲気を漂わせて置いて結局は姉ちゃんの願望を契約内容に盛り込まれただけの話だ。
結婚に王ってもうイヤだ。ここから逃げ出したい。
姉ちゃんは地面に魔法陣を書き始めた。
そして俺の手を引くと、白い光に包まれる。
目を開けると、そこに広がっていたのは異様なオーラが漂う亜人というのか、耳が長いエルフ、ダークエルフだったり、背丈は低いが年配に見えるドワーフ。
全身が毛で覆われたウルフ。
身体の大きさはそれぞれ違うが、肌の色は緑と統一されたゴブリンやオークなどなど。
他にも様々な種類の亜人、所謂魔族と呼ばれる者たちがいた。ても見た感じ平和に暮らしているようで、女子供はもちろん年寄りまでもが笑顔に満ち溢れていた。
「すっげ~な! いや、それよりも姉ちゃん」
「むっ、もうちょっと驚いてくれると思ったのに。離れずに付いてきてね」
と、姉ちゃんは言ってるが、思いっきり手を繋いでるんですけど。
この歳になって手を繋ぐとか恥ずかし過ぎる。
姉ちゃんだから余計だ。
「あれは……魔王様!」
「でも見た目が人間?」
「いや横を見ろ! 第一王女のリリス様だ」
「ああ、あの方がこの国に招く者といえば魔王様しか有り得ん」
えらく注目を浴びる俺と姉ちゃんだが、案外堂々とできるもんだな。
同じ種族の者同士じゃないってこともあるだろうけど、俺からしたら未知の生き物が話してるって感じで逆に興味が湧いてくる。
それに案外女性もいるし……種族によっては人間より美人なんじゃね!
「ネオ君気をつけてね。中にはサキュバスやインキュバスもいたりするから」
「それ忠告?」
「大人になっても女遊びは禁止って意味です。だってお姉ちゃんとネオ君はもう……」
「うん、言いたいことはわかるよ。けどそれは姉ちゃんが勝手に――」
「へぇ~、そういうこと言うんだ。大切な人たちが――」
「ごめんって。まさか姉ちゃんが脅してくるとは」
「脅してないよ。事実を言っただけだよ。幸せになろうね! 末永くよろしくお姉ちゃんの旦那様」
争いどうこういうよりこっちも相当ヤバい展開に話が進んだ気がする。
「いいですよ、でしたらわたしと家族水入らずで今度デートしましょう」
「わかった、約束だ」
「約束です」
「どうかユリアナのことも頼む」
「任せてください」
会話が終わり次第、俺と姉ちゃんは海洋都市アトランティアに姉貴とユリアナはアズルレーン王国に向かった。
しばらく歩くと、遠くに見えてきたのは列に並んだ兵たちが行進している姿。今から戦場に向かうのだろう。
数を見るに100とかそういう次元じゃない。
数千、いや数万はくだらないだろう。
そんなにも大きな戦に発展しているのだ。
「不安だよねネオ君。今からお姉ちゃんと一緒に行こうか」
「どこに? 今から行くのはイザベル教団の――」
「もっと戦力が欲しいでしょ? それに守りたいんでしょ大切な人たちを」
「この際だから聞くけど姉ちゃん何を企んでる?」
「べっつに~企んでないよ。もしネオ君がお姉ちゃんの提案を拒否するなら、それはそれでいいけど。でも大変なことになっちゃうよ。後悔だけはしちゃダメだからね。それがどんな結果であっても」
「一体、姉ちゃんは何を知って……」
「さあ……どうでしょう。お姉ちゃんはあくまで提案をしただけ。悪魔だけにね」
確かに俺たちだけで解決できる域は超えているのかもしれない。やっぱり俺が考えていたような単純な話じゃないのか戦って……。
だとするなら、姉ちゃんの提案に乗るしか方法がない。
「ネオ君は受け入れるって言うだけでいいからね。これは悪魔とのお姉ちゃんとの取り引き。悪魔は契約に従い、その分の対価をいただく、それが鉄則なの」
「わかった」
「哀れな人族」
「い、今、俺のこと哀れって」
「だってそうでしょ? その力も元はお姉ちゃんのもの。学費もお姉ちゃん、食費も屋敷もぜんぶぜ~んぶお姉ちゃんの。それなのにカッコつけちゃってさ」
「悪いかよ! 俺にはこのぐらいののとしかできないから」
「カッコいいよ。だからお姉ちゃんは――いいえ、始めましょ。汝は力を求め、その対価としてお姉ちゃんにすべてを捧げるか?」
「受け入れる」
契約はあっさりとしたものだった。
特に変化が起きたわけでもない。今さらながら契約内容って……しまった! 俺、確認するの忘れてる。
ろくでもない契約内容だったら破棄だ、破棄。
「姉ちゃん契約内容って……」
「知りたい? 仕方ないな。お姉ちゃんと結婚すること。魔国の王としての資格を譲渡することよ」
「はあ!? 何て契約してくれたんだ! 俺が王になれるわけないだろ。それに結婚って何だよ!? 俺と姉ちゃんは家族みたいな――」
「うん、本当の家族になるの……これから」
「おいおい、顔を赤くするな!」
だと思ったよ。
ヤバい雰囲気を漂わせて置いて結局は姉ちゃんの願望を契約内容に盛り込まれただけの話だ。
結婚に王ってもうイヤだ。ここから逃げ出したい。
姉ちゃんは地面に魔法陣を書き始めた。
そして俺の手を引くと、白い光に包まれる。
目を開けると、そこに広がっていたのは異様なオーラが漂う亜人というのか、耳が長いエルフ、ダークエルフだったり、背丈は低いが年配に見えるドワーフ。
全身が毛で覆われたウルフ。
身体の大きさはそれぞれ違うが、肌の色は緑と統一されたゴブリンやオークなどなど。
他にも様々な種類の亜人、所謂魔族と呼ばれる者たちがいた。ても見た感じ平和に暮らしているようで、女子供はもちろん年寄りまでもが笑顔に満ち溢れていた。
「すっげ~な! いや、それよりも姉ちゃん」
「むっ、もうちょっと驚いてくれると思ったのに。離れずに付いてきてね」
と、姉ちゃんは言ってるが、思いっきり手を繋いでるんですけど。
この歳になって手を繋ぐとか恥ずかし過ぎる。
姉ちゃんだから余計だ。
「あれは……魔王様!」
「でも見た目が人間?」
「いや横を見ろ! 第一王女のリリス様だ」
「ああ、あの方がこの国に招く者といえば魔王様しか有り得ん」
えらく注目を浴びる俺と姉ちゃんだが、案外堂々とできるもんだな。
同じ種族の者同士じゃないってこともあるだろうけど、俺からしたら未知の生き物が話してるって感じで逆に興味が湧いてくる。
それに案外女性もいるし……種族によっては人間より美人なんじゃね!
「ネオ君気をつけてね。中にはサキュバスやインキュバスもいたりするから」
「それ忠告?」
「大人になっても女遊びは禁止って意味です。だってお姉ちゃんとネオ君はもう……」
「うん、言いたいことはわかるよ。けどそれは姉ちゃんが勝手に――」
「へぇ~、そういうこと言うんだ。大切な人たちが――」
「ごめんって。まさか姉ちゃんが脅してくるとは」
「脅してないよ。事実を言っただけだよ。幸せになろうね! 末永くよろしくお姉ちゃんの旦那様」
争いどうこういうよりこっちも相当ヤバい展開に話が進んだ気がする。
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