ユグドラシルより~異世界に召喚されたので、とりあえず最後の精霊軍団を作ります~

ずんだもち

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第1章 異世界転生と魔の森

1-3 魔法と書いてロマンと読みます。

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 魔法の試し打ちをするために、俺はルクスに導かれて、聖域内の湖へとやってきた。
 そこには、日本ではあまり見ることのなかった、幻想的な湖畔の風景が広がっている。
 改めて自分は異世界に来たのだなあと痛感するよ。

 前世に未練が全くないと言ったら嘘になるけど、折角ルクスがくれた命だ。精一杯、一緒に楽しませてもらおう。

「わお……。世界樹も凄かったが、ここもなかなかにいい景色だな…。北欧の観光地に来たって感じ。地理の教科書でみたわ」
『よし!!今からこの湖に向かって魔法をぶち込みまくるよ!』
「情緒のかけらもねえな!」

 少しぐらい景色を楽しませてくれとも思ったが、それ以上に俺も初めて使う魔法に興味津々である。
 とはいっても、何をすればいいのか全くわからないのだが……。

『まずは一発ぶち込んでみて、魔法を打つ感覚をつかんでみよう!右手を前に出してみて!』

「ん?ほい。出したよ」

『それじゃあいくよ…!そおおおおおい!!!』

 俺はルクスの言うとおりに、湖に向かって右手を向けてみた。

 すると、前世では感じることのなかった“魔力”の流れが、自分の身体で動いている感覚がする。なんか感動。
 そして、魔力が右手の方に集中し始めたところで、その塊がみるみるうちに火の塊に変化していくではないか。

 あ、発射された…

ドカーーーーーーーーーーン!!!

「………」

『んじゃもういっちょ!そおおおおおい!!!』

ドカーーーーーーーーーーン!!!

『んじゃ次!連射いk「まてまてまてまて!!」』
「待って待って!一旦落ち着いてくれ!魔法初心者の俺にはちょっと刺激が強すぎる!」
『えーー。これでもめちゃくちゃ手を抜いたよ。全然魔力減ってないし』
「手を抜いてこれなのか!?そうか…魔法ってこの規模なのか……。
 メ〇だと思ったらメ〇ゾーマだったぐらいの衝撃だわ…」

 いや焦った。そしてビビった。初心者の魔法でもここまでのモノになるのね……。
 てっきりピンポン玉くらいの大きさの火から始まるのかなと思って舐めてたわ、本当に。

 もしかしてこの世界って結構ハードモード?
 子供でもこのくらいの威力になるのなら、自衛能力は徹底的に身につけないとまずいな……。

『あー。そうだね、確かに今のはメ〇ゾーマくらいだね』

 ……ん?なんでルクスがそれを知っているんだ?

「え?なんでメ〇ゾーマを知ってるの?」
『今ね、セレーネの記憶を解析していたんだよ!セレーネが前世の地球で得た知識や経験を絶賛解析中!
 名づけるならそうだね……。固有能力【解析】ッッ!!』

 ふーん。そうなんだ。
 なんかよくわからないや。

 あ、でも俺の黒歴史を掘り起こしたりもできるのか。まずくね?

「それは俗に言うチートというやつかな?
 凄いじゃんルクス。ちょっと見直したよ」
『まあ僕は聖域から外に出られないから使う機会なかったけどね…』
「宝持ち腐れ過ぎて風化してるな」
『悲しいこと言わないで…』

「でも、今ので魔力と魔法を打ちだす感覚を何となく感じたと思う」
『実際に使ってみるとわかりやすいよね!んじゃもっと魔法打ってみよう!』

 その後は、何発も火の玉を打ち出したり、それを水や風、氷といった他の属性魔法への変換を試した。

 魔法はエネルギーとなる魔力ももちろん、イメージと思考性がかなり重要ってことがわかった。

 あとは、魔法を連発しても魔力が切れるって感じはしない。
 ルクスが言うには、たとえ俺の魔力は底を尽きても、ルクス分の魔力も使えるらしい。
 まあ、比較対象がないんじゃ自分の魔力の量が多いのか少ないのかわからない。調子に乗らずに謙虚にいくよ。


「そういえばさ、魔法に名前ってないの?」
『僕の魔法は全部適当に試したやつしかないからね。
 というか敵が侵入してきたこともなかったから使ったこともほとんどない!』
「んじゃあ名前を決めつつ、カテゴライズも進めていくか。ある程度基準があったほうが捗りそうだ」

 魔法の名前も必要だし、属性分けも必須だろう。難易度によるカテゴライズも必要かね?初級、中級、上級……みたいな。
 まずは初めに打った火の玉の魔法。あれは火属性魔法の【火弾】とでも名付けようか。シンプル・イズ・ザベスト。
 あとはその後に試した属性。水、氷、風は試したから、それぞれ【水弾】、【氷弾】、【風弾】って感じ。
 他にもまだまだ再現できそうだ。手札は大いに越したことはないと思う。
 
『ふむ……。マンガってのはすごいね!ロマンがあふれるね!』
「え……、俺が必至こいて魔法研究している間、お前は漫画呼んでたのか……?」
『いやっっ!これも立派な研究さ!
 僕は今からバン〇―ガムの再現をするんだッッ!』

 うわっっ。日本の文化に毒され始めたぞコイツ。
 しばらくしたら名前書いたら相手を倒せるノートを作りたいとか言い出すぞ。

『え!? 名前を書いたら相手を倒せるノートなんてあるのかい!?』

 ほらね?






________________________________________






 あれからも毎日、魔法の研究をルクスと励んでいる。

 聖域内には果実が生っている木が結構あったので、食事にはあまり困っていない。
 本当はお肉や白米が食べたいのだが、お肉は外の魔物を狩らなくちゃいけないし、米はそもそもこの世界に実在するのかわからない。

 あとは、日本人なら大好きなお風呂ね。欲を言えば温泉に入りたいんだが、土属性魔法で浴槽を作って、火と水の合わせ技でお湯を張る。
 細かい温度の調節は魔力操作の練習にもなるから、かなり長風呂になる。
 今は一日中の疲れを癒すように、お風呂でくつろいでいる途中だ。

『セレーネ!僕とんでもない発見をしたよ!』
「どうしたどうした……。というかさっきから結構魔力使ってね?」
『固有能力の【解析】による記憶解析なんだけどね、記憶の一部に僕が入り込むことに成功したんだ!』
「ん……?どゆこと?」
『例えばさっきね、セレーネが前世に図書館で勉強している記憶の中に入り込んだんだ!するとそこにある他の本の情報も解析することができたんだよ!!』

 つまり、過去の記憶に遡って解析することもできるってことか?
 例えば前世で得ることが無かった化学の知識とか解析したら、もっと色々な魔法が打てるんじゃないか?

「ルクス、ちなみに解析した情報って俺と共有できたりするのか?」
『待ってね、ちょっと試してみる。今なら何でもできそうなんだ!』

 すると、俺が前世で一度も読んだことない本の情報が頭の中に入り込んでくるような、不思議な感覚を覚えた。既に何度もその本を読んだことがあるかのように、鮮明に。

 え?これ前世で使えたら試験ヌルゲーじゃん。あんなに受験前に追い込んだのに全部無駄じゃねえか。
 試験前にエナドリ買ってやってる感出すけど、結局効果でてるのかよくわからないよね。

 まあ、これで魔法の研究がさらに加速するってわけだ。
 とても楽しみである。






________________________________________






~Side ???~


 私は生まれてから、ずっと彷徨い続けている。


 何のために存在しているのかはわからない。


 自分が何者かということもわからない。


 ただ……この先に私は今、導かれている気がする。


 豊潤で魅力的な、私が行くべき何かが、この先にある。


 どうか、待っていてください。


 もうすぐ、あなた様に出会えます。





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