【第二章完結!】妹?義妹ですらありませんけど?~王子様とは婚約破棄して世界中の美味しいものが食べたいですわ~

井上 佳

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第二章 外国漫遊記

第十四話 幕間④ 好き??

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「グ、グイスト…さま…」

「あ、ああエリシャ。今のは、ほんとうか?」

「えっ! 今の、とおっしゃいますと?」

「その、す、………好きだと、言っただろう」

「えっ? ああ、グイスト様のことを?」

「ああ……」

「ええ、もちろん。(どちらかと言われれば)好きですわ」

「ふあぁぁ~……」

「あっ、グイスト様? えっ?」


ふわぁ~と飛んで行きそうになっているグイスト様を、なんとか現実に引き留めます。


「お待ちになってください。落ち着いて。陛下とのお話は終わりましたの?」

「ああ、ああそうだった。ホジェリオ殿のことは伝えてきた。もう出れるが……」

「そうでしたのね。行き先は決まりましたわ。モッラーロです」

「モッラーロ? 王妃の出身国ではないか」

「ええ、そうです。マゴールパティシエが、いらっしゃるという情報をミサトからいただきました」

「まご、……そうか。では、変更は不可能だな」

「もちろんです!」


側妃がお産みになられた元第二王子と婚約していた私は、言うなればモッラーロ王国から嫁いでいらした王妃様の唯一の息子である第一王子の敵対勢力に与する者。もちろん、第一王子が優秀だったため、第二王子派がどうこうする動きがあったわけではありませんけれど、傀儡の王に、などと言い出す者がいたとしたらどうなっていたかわかりません。

そんな私が、冒険者として行動していても、モッラーロに足を踏み入れればもしかしたら危険があるかもしれないけれど、それでも食べたいお菓子があるのです。

行く以外の選択肢は、ありませんわ!


「では、本日は家族でゆっくり過ごすといい。明日、出発しよう」

「ええ、ありがとうございます」

「城でエーレンデュースに会ったから、エリシャの帰宅を伝えておいたぞ」

「まあ! では、エレン兄様にもお会いできるのですね!」

「楽しんでおいで」

「はいっ」


優しい笑顔で頭をポンと撫でてくださるグイスト様。
ヒューヒューと冷やかしてくるミサトとヒューラにも、ボルティ土産のギャロを渡してお別れの挨拶をしました。
このギャロは、お菓子ではなく置き物です。ボルティ名産の木彫りの鳥の置き物です。





「ああ、その、エリシャ?」

「はい」

「先ほどの話だけど…」

「先ほど」

「ああ、その――」

「エリシャ」

「エレン兄様!」

「おかえり」

「ただいま帰りました。今日はエストルム邸にお戻りに?」

「ああ。夕飯を共にしよう」

「嬉しいですわ、兄様」

「エリシャ……」


昨日の朝旅を終えて解散するまで一緒にいたグイスト様より、一か月ぶりに会った家族に駆け寄るのは……仕方ありませんわよね?

我が家の次男、エーレンデュース・エストルム宰相補佐です。母方の祖父が現宰相なのですが、近くエレン兄様にその地位を引き渡し引退なさるそうです。
引継ぎでご多忙の中、団欒の時間を取ってもらえて嬉しいですわ。


「ではグイスト様、また明日」

「ああ…………、朝迎えに行くよ…」


そして、旅に出る前の家族団欒を楽しむため、エストルム邸に戻りました。




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