【第二章完結!】妹?義妹ですらありませんけど?~王子様とは婚約破棄して世界中の美味しいものが食べたいですわ~

井上 佳

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第二章 外国漫遊記

第三十四話 ふたりでごはん

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夜、アントワネット様のディナーをあまり口にすることができなかったので、お部屋で軽食をいただきました。ひとりで食べるのも味気ないので、続き部屋になっていたグイスト様のところへお邪魔しています。


「モッラーロの城も、腕のいい料理人を雇っているようだな」

「そうですわね。このビスクスープ、とても好みです」

「エビパンも美味いな」

「エビづくしですわね」


エビのすり身をパンに塗りつけて揚げたエビパンのほかにも、シュリンプサンドイッチがありました。今日はエビ祭りだったのでしょうか?

たまにあります。市井でお祭りがあると、そこに出店する料理を我が家でも手伝って、大量に仕入れたイモモが余ってしまった夜は、ディナーはイモづくしです。ギャベツのときもありましたわね。トンカツメインで、ギャベツのお替りが自由(ノルマは5回)でした。メンチカツが食べたかったですわ。


「明日は、レースを見てから出発するか?」

「そうですわね。モッラーロはあらかた周りましたから、もう次の国へ移動してもいいかもしれませんわね」

「フィレンセ?」

「いえ、それはまだやめておきましょう。ベジックさんもまだモッラーロに滞在するようですから」


モッラーロは国土が小さいので、横長に端から端まででも歩いて1時間ほど。ほとんどモンティ=ガイロに潜っていましたが、すでに観光できるところはこの16日間で行きつくしました。

この国に来て、大きな収穫を得ましたから、もう移動してもいいころ合いでしょう。

フィレンセとの終戦確約、マゴールパティシエの限定スイーツ、ファンレターも渡せましたし、冒険者ランクはBまで上がりました。あとひとつ上がれば、グイスト様とお揃いです。


「冒険者として、依頼が多いような地域に行きたいですわね」

「では、このまま東に向かってイーパに入国しようか。イーパのザル島は、かなり高ランクの魔物がいるから、討伐依頼も多い」

「イーパですね、そうしましょう。マリトッツォンを、食べに。ぜひ行きましょう」

「うん、ブレないな」


イーパといえば、だけじゃないですけれど、美味しいものがたくさん浮かびます。
クリームを鬼のように挟んだマリトッツォンはもちろん、我が国でも食べられていますが、ガルボナーラ発祥の地。本場の味ですわ!

想像したらお腹が空いてよだれも出てきましたので、目の前のエビにかじりつきました。もちろん、殻は取ってあります。


それからふたりで、モッラーロ最後の夜を楽しんで、就寝しました。もちろん、別々の部屋ですわよ。




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