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第12話 声高らかに
舞踏会が最高潮に達した頃。
突然、音楽が止まった。
会場の中央に、ディートリヒが立っている。
「皆様、少しお時間をいただけますか」
彼の声が、会場に響く。
――来た。
私は、レオニス殿下の手を握りしめる。
殿下は、静かに私の手を握り返してくれた。
「俺は――ディートリヒ・フォン・ルーゼン」
ディートリヒが、堂々と宣言する。
「本日、エレノア・ヴァルディスとの婚約を、破棄させていただきます」
会場が、ざわめく。
「理由は――真実の愛です」
彼は、リリアナの手を取る。
「俺は、リリアナを愛しています」
リリアナは、涙を浮かべて彼に寄り添う。
まるで――守られるヒロインのように。
周囲の貴族たちは、私に同情の視線を向ける。
だが――。
私は、一切うつむかない。
背筋を伸ばし、堂々と立つ。
「エレノア」
ディートリヒが、私に視線を向ける。
「......そういうことだ」
「はい」
私は、穏やかに微笑む。
「承知しました。これまでのご縁に、感謝いたします」
言い訳もしない。怒りも見せない。
ただ――正統な終わらせ方。
会場の空気が、変わる。
同情から――評価へ。
「......さすが、ヴァルディス家の御嫡子」
「あの冷静さ......」
「本当に、立派ね」
貴族たちの囁きが、聞こえる。
ディートリヒは、少しほっとした表情を浮かべる。
「そ、......いいのか??」
「はい。では、失礼します」
私は、優雅に一礼した。
その時――。
レオニス殿下が、私の隣に立つ。
「エレノア」
「殿下」
「......踊りの続きを、してもいいかな」
彼は、静かに手を差し出す。
私は、その手を取った。
「お姉様、なんで! あなたの婚約者が! 妹である私を選んだのよ? お姉様は捨てられたの!」
「妹ね......ふふっ」
「な、何がおかしいの、よ......」
「いいえ。リリアナ、お幸せに」
会場が、何事もなかったかのようにまた音楽を奏で始める。
私たちは、再び踊り始める。
――そして、会場の視線がすべて私たちに集まった。
第三王子が、婚約破棄された令嬢をエスコートしている。
それは――明確なメッセージだった。
『彼女は、一人ではない』
『ヴァルディス次期侯爵には王子殿下がついている』
リリアナの顔が、盛大に引きつっている。
ディートリヒも、複雑な表情をしている。
ーー私はもう振り返らない。
「レオニス様」
「ん?」
「ありがとうございます」
「......いや」
殿下は、優しく微笑む。
「私は、ただ君と踊りたかっただけだ」
私にだけ聞こえるよう紡がれたその言葉に、胸が温かくなった。
舞踏会は、そのまま続いていく。
だが――始まった時とはすべてが変わった。
私は、自由になった。
そして――新しい何かが、始まろうとしていた。
突然、音楽が止まった。
会場の中央に、ディートリヒが立っている。
「皆様、少しお時間をいただけますか」
彼の声が、会場に響く。
――来た。
私は、レオニス殿下の手を握りしめる。
殿下は、静かに私の手を握り返してくれた。
「俺は――ディートリヒ・フォン・ルーゼン」
ディートリヒが、堂々と宣言する。
「本日、エレノア・ヴァルディスとの婚約を、破棄させていただきます」
会場が、ざわめく。
「理由は――真実の愛です」
彼は、リリアナの手を取る。
「俺は、リリアナを愛しています」
リリアナは、涙を浮かべて彼に寄り添う。
まるで――守られるヒロインのように。
周囲の貴族たちは、私に同情の視線を向ける。
だが――。
私は、一切うつむかない。
背筋を伸ばし、堂々と立つ。
「エレノア」
ディートリヒが、私に視線を向ける。
「......そういうことだ」
「はい」
私は、穏やかに微笑む。
「承知しました。これまでのご縁に、感謝いたします」
言い訳もしない。怒りも見せない。
ただ――正統な終わらせ方。
会場の空気が、変わる。
同情から――評価へ。
「......さすが、ヴァルディス家の御嫡子」
「あの冷静さ......」
「本当に、立派ね」
貴族たちの囁きが、聞こえる。
ディートリヒは、少しほっとした表情を浮かべる。
「そ、......いいのか??」
「はい。では、失礼します」
私は、優雅に一礼した。
その時――。
レオニス殿下が、私の隣に立つ。
「エレノア」
「殿下」
「......踊りの続きを、してもいいかな」
彼は、静かに手を差し出す。
私は、その手を取った。
「お姉様、なんで! あなたの婚約者が! 妹である私を選んだのよ? お姉様は捨てられたの!」
「妹ね......ふふっ」
「な、何がおかしいの、よ......」
「いいえ。リリアナ、お幸せに」
会場が、何事もなかったかのようにまた音楽を奏で始める。
私たちは、再び踊り始める。
――そして、会場の視線がすべて私たちに集まった。
第三王子が、婚約破棄された令嬢をエスコートしている。
それは――明確なメッセージだった。
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「ありがとうございます」
「......いや」
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私にだけ聞こえるよう紡がれたその言葉に、胸が温かくなった。
舞踏会は、そのまま続いていく。
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私は、自由になった。
そして――新しい何かが、始まろうとしていた。
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