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第二章
第38話 パイナッパー伯爵の不満
町で広まる噂について、調査を進めていた数日後。
朝、執務室でレオニスと共に朝食を取っていると――。
「お嬢様、レオニス様」
マルティナが、少し慌てた様子で入ってくる。
「どうしたの?」
パンを一口食べながら、顔を上げる。
「王宮から、緊急の連絡が――」
マルティナは、手紙を差し出す。
レオニスが受け取り、開封する。
彼の表情が――少し、固まった。
「……レオニス?」
「……ああ」
彼は、手紙を私に渡す。
読んでみると――。
『ノルディア王国パイナッパー伯爵より、正式な抗議文が国に届いた。
内容:「長年の交易関係を一方的に断つとは、何事か。我が領の塩湖は、代々王国に最高品質の塩を提供してきた。それを、東方諸国の安物に変えるとは、パイナッパー家への侮辱である」
さらに、王国内の商人たちからも不満の声が上がっている。「塩の仕入れ先を変えたせいで、北方交易全体が滞っている」「この決定を提案したのは、エレノア・ヴァルディスだと聞いた」と。
詳細は、後日協議する。
外務卿エドガー』
手紙を読み終えて――。
「……パイナッパー伯爵、怒っているわね。東方の塩が低品質だと正式な文書で明言するのはちょっと、問題があると思うけれど」
「ああ。東方の海は、素晴らしい塩が作れると聞いているから……」
レオニスは、ため息をつく。
「……パイナッパー、か」
「……何?」
「いや」
レオニスは、少し苦笑する。
「名前を聞くたびに、果物を思い出してしまって」
「……レオニス」
私も、思わず笑ってしまう。
確かに――パイナッパー伯爵。名前だけ聞くと、少し可愛らしい。
「でも、笑っている場合じゃないわ」
「そうだね」
レオニスは、真剣な表情に戻る。
「確かに提案はしたけれど――」
私は、手紙を再度読む。
「最終的には、国の重鎮が話し合って決定したはずよ」
「ああ」
「なのに、なぜ私の名前が?」
「……誰かが、君を標的にしようとしている」
レオニスは、険しい表情で言う。
「そして――おそらく、パイナッパー伯爵にも、何か吹き込んだんだろう」
「……」
「エレノアが悪い、と」
その言葉に、胸が冷たくなる。
「でも、誰が?」
「わからない」
レオニスは、首を振る。
「だが――必ず、見つけ出す」
その日の午後。
執務室で、レオニスと共に資料を整理していると――。
「お嬢様」
マルティナが、また入ってくる。
「今度は何?」
「……町で、さらに噂が広まっています」
「……」
「『エレノア・ヴァルディスが、北方交易を潰そうとしている』と」
「何ですって?」
思わず、声を上げる。
「『パイナッパー伯爵領の塩を、見下している』とも」
「……そんな」
私は、そんなこと一度も思ったことがない。
パイナッパー伯爵領の塩は、確かにしっかりとした品質を保っているし長年安定して取引してきた。
ただ――輸送コストが高すぎて、割高になっている。
「誰が、そんな噂を?」
「……わかりません」
マルティナは、困ったような表情で首を振る。
「ですが――商人たちの間で、急速に広まっています」
レオニスが、立ち上がる。
「……これは、誰かが意図的に噂を流している」
「意図的に?」
「ああ」
レオニスは、窓の外を見る。
「そして――その目的は、君を陥れることだ」
その言葉に、背筋が冷たくなる。
誰が――なぜ?
「……レオニス」
「ん?」
「私――」
少し、不安が過る。
「こんなことになるなんて、思っていなかった」
「大丈夫だよ」
レオニスは、私の手を取る。
「私たちで、必ず真実を明らかにする」
その温もりに、少し安心する。
でも――不安は、消えない。
これから――どうなるのだろう。
王宮の外務卿執務室。
エドガーは、机の上に並んだ書類を見つめていた。
パイナッパー伯爵からの抗議文。
商人たちからの陳情書。
そして――エレノア・ヴァルディスに対する中傷の噂。
「……厄介なことになったな」
エドガーは、ため息をつく。
「パイナッパー伯爵も、怒りすぎだ。ノルディアからきちんと説明がいっていないということか?」
副官が、報告書を持ってくる。
「外務卿殿、パイナッパー伯爵からさらに手紙が」
「……また?」
エドガーは、手紙を受け取る。
開封すると――。
『我が領の塩は、代々王国に提供してきた最高品質の塩である。それを、東方の安物に変えるとは、パイナッパー家への侮辱である。即刻、決定を撤回せよ。さもなくば――』
「……さもなくば、だと?」
エドガーは、眉をひそめる。
「脅しか」
副官も、困ったような表情だ。
「どうなさいますか」
「……国王陛下に、報告するしかないな。ノルディアでなく、こちらに直接抗議してくるということは、こちらから伯爵に直接話をしてもいいということだ」
「しかし、一応ーー」
「一応、ノルディアには抗議するさ。『直接話します』とな」
エドガーは、立ち上がる。
「それと――エレノア・ヴァルディスにも、状況を伝えよう」
「はい」
エドガーは、廊下を歩きながら――。
「……パイナッパー伯爵、か」
小さく、呟く。
「名前は可愛いのに、性格は頑固だな」
副官も、苦笑する。
「……確かに」
二人は、国王陛下の執務室へと向かった。
後日。
執務室にいると――。
「エレノア」
レオニスが、入ってくる。
「何?」
「……王宮から、また連絡が」
「……また?」
レオニスは、手紙を渡す。
読んでみると――。
『パイナッパー伯爵から、さらに抗議文が届いた。内容は、「決定を撤回せよ。さもなくば、交易全体を停止する」というもの。
国としては、このまま東方交易への転換を進めるが、エレノア・ヴァルディスへの中傷が広まっていることも懸念している。
詳細は、後日協議する。
外務卿エドガー』
手紙を読み終えて――。
「……パイナッパー伯爵、本気で怒っているわね」
「ああ」
レオニスは、頷く。
「でも――」
私は、手紙を置く。
「これは、おかしいわ」
「おかしい?」
「ええ」
私は、レオニスを見つめる。
「パイナッパー伯爵が怒るのは、わかる。でも――」
「でも?」
「私への中傷が、こんなに急速に広まるのは――不自然よ。あの会議で発言しただけなのよ?」
「そのあと、君がこんな有益な提案をしてくれた、と城では話題になっていたからな」
「悪意あるもの?」
「いや、ほとんどが、感心していたと思う」
「だったらーー」
その言葉に、レオニスも頷く。
「誰かが、意図的に――」
「噂を流している」
レオニスは、険しい表情で言う。
「そして――パイナッパー伯爵も、誰かに唆されているのかもしれない」
「……」
「エレノア」
レオニスは、私の手を取る。
「私たちで、必ず真実を見つけ出そう」
「……ええ」
私は、頷く。
窓の外では、夕日が沈んでいく。
美しい、オレンジ色の空。
だが――その下で、何かが動いている。
それを――私たちは、見つけ出さなければならない。
「……さて」
私は、立ち上がる。
「調査を始めましょう」
「ああ」
レオニスも、立ち上がる。
二人で――この謎を、解き明かす。
そして――私を陥れようとしている者を、見つけ出す。
試練は――まだ、始まったばかりだった。
朝、執務室でレオニスと共に朝食を取っていると――。
「お嬢様、レオニス様」
マルティナが、少し慌てた様子で入ってくる。
「どうしたの?」
パンを一口食べながら、顔を上げる。
「王宮から、緊急の連絡が――」
マルティナは、手紙を差し出す。
レオニスが受け取り、開封する。
彼の表情が――少し、固まった。
「……レオニス?」
「……ああ」
彼は、手紙を私に渡す。
読んでみると――。
『ノルディア王国パイナッパー伯爵より、正式な抗議文が国に届いた。
内容:「長年の交易関係を一方的に断つとは、何事か。我が領の塩湖は、代々王国に最高品質の塩を提供してきた。それを、東方諸国の安物に変えるとは、パイナッパー家への侮辱である」
さらに、王国内の商人たちからも不満の声が上がっている。「塩の仕入れ先を変えたせいで、北方交易全体が滞っている」「この決定を提案したのは、エレノア・ヴァルディスだと聞いた」と。
詳細は、後日協議する。
外務卿エドガー』
手紙を読み終えて――。
「……パイナッパー伯爵、怒っているわね。東方の塩が低品質だと正式な文書で明言するのはちょっと、問題があると思うけれど」
「ああ。東方の海は、素晴らしい塩が作れると聞いているから……」
レオニスは、ため息をつく。
「……パイナッパー、か」
「……何?」
「いや」
レオニスは、少し苦笑する。
「名前を聞くたびに、果物を思い出してしまって」
「……レオニス」
私も、思わず笑ってしまう。
確かに――パイナッパー伯爵。名前だけ聞くと、少し可愛らしい。
「でも、笑っている場合じゃないわ」
「そうだね」
レオニスは、真剣な表情に戻る。
「確かに提案はしたけれど――」
私は、手紙を再度読む。
「最終的には、国の重鎮が話し合って決定したはずよ」
「ああ」
「なのに、なぜ私の名前が?」
「……誰かが、君を標的にしようとしている」
レオニスは、険しい表情で言う。
「そして――おそらく、パイナッパー伯爵にも、何か吹き込んだんだろう」
「……」
「エレノアが悪い、と」
その言葉に、胸が冷たくなる。
「でも、誰が?」
「わからない」
レオニスは、首を振る。
「だが――必ず、見つけ出す」
その日の午後。
執務室で、レオニスと共に資料を整理していると――。
「お嬢様」
マルティナが、また入ってくる。
「今度は何?」
「……町で、さらに噂が広まっています」
「……」
「『エレノア・ヴァルディスが、北方交易を潰そうとしている』と」
「何ですって?」
思わず、声を上げる。
「『パイナッパー伯爵領の塩を、見下している』とも」
「……そんな」
私は、そんなこと一度も思ったことがない。
パイナッパー伯爵領の塩は、確かにしっかりとした品質を保っているし長年安定して取引してきた。
ただ――輸送コストが高すぎて、割高になっている。
「誰が、そんな噂を?」
「……わかりません」
マルティナは、困ったような表情で首を振る。
「ですが――商人たちの間で、急速に広まっています」
レオニスが、立ち上がる。
「……これは、誰かが意図的に噂を流している」
「意図的に?」
「ああ」
レオニスは、窓の外を見る。
「そして――その目的は、君を陥れることだ」
その言葉に、背筋が冷たくなる。
誰が――なぜ?
「……レオニス」
「ん?」
「私――」
少し、不安が過る。
「こんなことになるなんて、思っていなかった」
「大丈夫だよ」
レオニスは、私の手を取る。
「私たちで、必ず真実を明らかにする」
その温もりに、少し安心する。
でも――不安は、消えない。
これから――どうなるのだろう。
王宮の外務卿執務室。
エドガーは、机の上に並んだ書類を見つめていた。
パイナッパー伯爵からの抗議文。
商人たちからの陳情書。
そして――エレノア・ヴァルディスに対する中傷の噂。
「……厄介なことになったな」
エドガーは、ため息をつく。
「パイナッパー伯爵も、怒りすぎだ。ノルディアからきちんと説明がいっていないということか?」
副官が、報告書を持ってくる。
「外務卿殿、パイナッパー伯爵からさらに手紙が」
「……また?」
エドガーは、手紙を受け取る。
開封すると――。
『我が領の塩は、代々王国に提供してきた最高品質の塩である。それを、東方の安物に変えるとは、パイナッパー家への侮辱である。即刻、決定を撤回せよ。さもなくば――』
「……さもなくば、だと?」
エドガーは、眉をひそめる。
「脅しか」
副官も、困ったような表情だ。
「どうなさいますか」
「……国王陛下に、報告するしかないな。ノルディアでなく、こちらに直接抗議してくるということは、こちらから伯爵に直接話をしてもいいということだ」
「しかし、一応ーー」
「一応、ノルディアには抗議するさ。『直接話します』とな」
エドガーは、立ち上がる。
「それと――エレノア・ヴァルディスにも、状況を伝えよう」
「はい」
エドガーは、廊下を歩きながら――。
「……パイナッパー伯爵、か」
小さく、呟く。
「名前は可愛いのに、性格は頑固だな」
副官も、苦笑する。
「……確かに」
二人は、国王陛下の執務室へと向かった。
後日。
執務室にいると――。
「エレノア」
レオニスが、入ってくる。
「何?」
「……王宮から、また連絡が」
「……また?」
レオニスは、手紙を渡す。
読んでみると――。
『パイナッパー伯爵から、さらに抗議文が届いた。内容は、「決定を撤回せよ。さもなくば、交易全体を停止する」というもの。
国としては、このまま東方交易への転換を進めるが、エレノア・ヴァルディスへの中傷が広まっていることも懸念している。
詳細は、後日協議する。
外務卿エドガー』
手紙を読み終えて――。
「……パイナッパー伯爵、本気で怒っているわね」
「ああ」
レオニスは、頷く。
「でも――」
私は、手紙を置く。
「これは、おかしいわ」
「おかしい?」
「ええ」
私は、レオニスを見つめる。
「パイナッパー伯爵が怒るのは、わかる。でも――」
「でも?」
「私への中傷が、こんなに急速に広まるのは――不自然よ。あの会議で発言しただけなのよ?」
「そのあと、君がこんな有益な提案をしてくれた、と城では話題になっていたからな」
「悪意あるもの?」
「いや、ほとんどが、感心していたと思う」
「だったらーー」
その言葉に、レオニスも頷く。
「誰かが、意図的に――」
「噂を流している」
レオニスは、険しい表情で言う。
「そして――パイナッパー伯爵も、誰かに唆されているのかもしれない」
「……」
「エレノア」
レオニスは、私の手を取る。
「私たちで、必ず真実を見つけ出そう」
「……ええ」
私は、頷く。
窓の外では、夕日が沈んでいく。
美しい、オレンジ色の空。
だが――その下で、何かが動いている。
それを――私たちは、見つけ出さなければならない。
「……さて」
私は、立ち上がる。
「調査を始めましょう」
「ああ」
レオニスも、立ち上がる。
二人で――この謎を、解き明かす。
そして――私を陥れようとしている者を、見つけ出す。
試練は――まだ、始まったばかりだった。
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※前回の作品同様、投稿前日に思いついて書いてみた作品なので、先のプロットや展開は未定です。今作も、完結までは書くつもりです。
※第一話のキャラがざまぁされそうな感じはありますが、今回はざまぁがメインの作品ではありません。もしかしたら、このキャラも更生していい子になっちゃったりする可能性もあります。(このあたり、現時点ではどうするか展開考えていないです)