57 / 60
第二章
第46話 謁見の間にて
第46話 謁見の間にて
謁見の間。
高い天井から、巨大なシャンデリアが吊るされている。無数のクリスタルが光を反射し、部屋全体を荘厳な雰囲気で包んでいる。壁には、歴代国王の肖像画が並び、その視線が――まるで、この場にいるすべての者を見つめているかのようだ。
玉座には、国王陛下が座っている。
その隣には、王妃陛下。
左側には、王太子バレンド殿下と第二王子ジェオール殿下。
右側には、重臣たち――財務卿リオルド、外務卿エドガー、宮内卿フリードリヒ。
そして――私とレオニスは、少し離れた場所に立っている。
中央には――バザササール侯爵が、膝をついている。
その隣には、娘のサナサリリアも――震えながら、膝をついている。
彼女の顔は真っ青で、唇も震えている。もう――あの傲慢な態度は、どこにもない。
静寂が、謁見の間を支配している。
誰も――声を発しない。
ただ――国王陛下の言葉を、待っている。
「バザササール侯爵」
国王陛下の声が、響く。
その声は――低く、厳粛で、そして――怒りを帯びている。
「……はい」
バザササール侯爵が、震える声で答える。
彼の額には、汗が浮かんでいる。顔色も悪い。もう――逃げ場がないことを、悟っているのだろう。
「お前は――」
国王陛下は、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「パイナッパー伯爵を唆し、エレノア・ヴァルディスを陥れようとした」
「……」
バザササール侯爵は、何も言えない。
ただ――頭を下げるだけだ。
「パイナッパー伯爵に、『エレノアが北方交易を潰そうとしている』と吹き込んだ」
「……」
「さらに、『エレノアが王子妃であることを盾に好き勝手している』とも」
国王陛下の声が、厳しくなる。
「これらは――すべて、虚偽だ」
「……」
「お前は――私的な野心のために、国策を妨害した」
その言葉に、重臣たちも険しい表情で頷く。
私は――静かに、その様子を見守る。
胸の奥で、何かが燃えている。怒り、というよりは――冷たい、静かな感情。
バザササール侯爵が、私を陥れようとした。
その事実が――今、公の場で明らかになろうとしている。
「さらに――」
国王陛下は、立ち上がる。
その姿は――威厳に満ち、圧倒的だ。
「娘を使って、レオニスとの縁談を強要しようとした」
その言葉に――。
サナサリリアが、ビクッと体を震わせる。
「レオニスには、すでに妻がいる」
国王陛下は、レオニスと私を見る。
「エレノア・ヴァルディス――彼女が、レオニスの正式な妻だ」
「……」
「それを知りながら、娘をヴァルディス領に押しかけさせ――」
国王陛下の声が、さらに厳しくなる。
「『第二夫人になる』などと、法を無視した主張をさせた」
「……っ」
サナサリリアの顔が、さらに青ざめる。
「これは――」
国王陛下は、バザササール侯爵を見下ろす。
「王家への反逆と見なす」
その言葉に――。
謁見の間全体が、緊張に包まれる。
「反逆」という言葉の重み。それは――爵位剥奪、領地没収、場合によっては――命に関わる罪だ。
謁見の間。
高い天井から、巨大なシャンデリアが吊るされている。無数のクリスタルが光を反射し、部屋全体を荘厳な雰囲気で包んでいる。壁には、歴代国王の肖像画が並び、その視線が――まるで、この場にいるすべての者を見つめているかのようだ。
玉座には、国王陛下が座っている。
その隣には、王妃陛下。
左側には、王太子バレンド殿下と第二王子ジェオール殿下。
右側には、重臣たち――財務卿リオルド、外務卿エドガー、宮内卿フリードリヒ。
そして――私とレオニスは、少し離れた場所に立っている。
中央には――バザササール侯爵が、膝をついている。
その隣には、娘のサナサリリアも――震えながら、膝をついている。
彼女の顔は真っ青で、唇も震えている。もう――あの傲慢な態度は、どこにもない。
静寂が、謁見の間を支配している。
誰も――声を発しない。
ただ――国王陛下の言葉を、待っている。
「バザササール侯爵」
国王陛下の声が、響く。
その声は――低く、厳粛で、そして――怒りを帯びている。
「……はい」
バザササール侯爵が、震える声で答える。
彼の額には、汗が浮かんでいる。顔色も悪い。もう――逃げ場がないことを、悟っているのだろう。
「お前は――」
国王陛下は、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「パイナッパー伯爵を唆し、エレノア・ヴァルディスを陥れようとした」
「……」
バザササール侯爵は、何も言えない。
ただ――頭を下げるだけだ。
「パイナッパー伯爵に、『エレノアが北方交易を潰そうとしている』と吹き込んだ」
「……」
「さらに、『エレノアが王子妃であることを盾に好き勝手している』とも」
国王陛下の声が、厳しくなる。
「これらは――すべて、虚偽だ」
「……」
「お前は――私的な野心のために、国策を妨害した」
その言葉に、重臣たちも険しい表情で頷く。
私は――静かに、その様子を見守る。
胸の奥で、何かが燃えている。怒り、というよりは――冷たい、静かな感情。
バザササール侯爵が、私を陥れようとした。
その事実が――今、公の場で明らかになろうとしている。
「さらに――」
国王陛下は、立ち上がる。
その姿は――威厳に満ち、圧倒的だ。
「娘を使って、レオニスとの縁談を強要しようとした」
その言葉に――。
サナサリリアが、ビクッと体を震わせる。
「レオニスには、すでに妻がいる」
国王陛下は、レオニスと私を見る。
「エレノア・ヴァルディス――彼女が、レオニスの正式な妻だ」
「……」
「それを知りながら、娘をヴァルディス領に押しかけさせ――」
国王陛下の声が、さらに厳しくなる。
「『第二夫人になる』などと、法を無視した主張をさせた」
「……っ」
サナサリリアの顔が、さらに青ざめる。
「これは――」
国王陛下は、バザササール侯爵を見下ろす。
「王家への反逆と見なす」
その言葉に――。
謁見の間全体が、緊張に包まれる。
「反逆」という言葉の重み。それは――爵位剥奪、領地没収、場合によっては――命に関わる罪だ。
あなたにおすすめの小説
【完結】私を捨てて駆け落ちしたあなたには、こちらからさようならを言いましょう。
やまぐちこはる
恋愛
パルティア・エンダライン侯爵令嬢はある日珍しく婿入り予定の婚約者から届いた手紙を読んで、彼が駆け落ちしたことを知った。相手は同じく侯爵令嬢で、そちらにも王家の血筋の婿入りする婚約者がいたが、貴族派閥を保つ政略結婚だったためにどうやっても婚約を解消できず、愛の逃避行と洒落こんだらしい。
落ち込むパルティアは、しばらく社交から離れたい療養地としても有名な別荘地へ避暑に向かう。静かな湖畔で傷を癒やしたいと、高級ホテルでひっそり寛いでいると同じ頃から同じように、人目を避けてぼんやり湖を眺める美しい青年に気がついた。
毎日涼しい湖畔で本を読みながら、チラリチラリと彼を盗み見ることが日課となったパルティアだが。
様子がおかしい青年に気づく。
ふらりと湖に近づくと、ポチャっと小さな水音を立てて入水し始めたのだ。
ドレスの裾をたくしあげ、パルティアも湖に駆け込んで彼を引き留めた。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
最終話まで予約投稿済です。
次はどんな話を書こうかなと思ったとき、駆け落ちした知人を思い出し、そんな話を書くことに致しました。
ある日突然、紙1枚で消えるのは本当にびっくりするのでやめてくださいという思いを込めて。
楽しんで頂けましたら、きっと彼らも喜ぶことと思います。
【完結】婚約破棄を3時間で撤回された足枷令嬢は、恋とお菓子を味わいます。
青波鳩子
恋愛
ヴェルーデ王国の第一王子アルフレッドと婚約していている公爵令嬢のアリシアは、お妃教育の最中にアルフレッドから婚約破棄を告げられた。
その僅か三時間後に失意のアリシアの元を訪れたアルフレッドから、婚約破棄は冗談だったと謝罪を受ける。
あの時のアルフレッドの目は冗談などではなかったと思いながら、アリシアは婚約破棄を撤回したいアルフレッドにとりあえず流されておくことにした。
一方のアルフレッドは、誰にも何にも特に興味がなく王に決められた婚約者という存在を自分の足枷と思っていた。
婚約破棄をして自由を得たと思った直後に父である王からの命を受け、婚約破棄を撤回する必要に迫られる。
婚約破棄の撤回からの公爵令嬢アリシアと第一王子アルフレッドの不器用な恋。
アリシアとアルフレッドのハッピーエンドです。
「小説家になろう」でも連載中です。
修正が入っている箇所もあります。
タグはこの先ふえる場合があります。
真実の愛のお相手に婚約者を譲ろうと頑張った結果、毎回のように戻ってくる件
さこの
恋愛
好きな人ができたんだ。
婚約者であるフェリクスが切々と語ってくる。
でもどうすれば振り向いてくれるか分からないんだ。なぜかいつも相談を受ける
プレゼントを渡したいんだ。
それならばこちらはいかがですか?王都で流行っていますよ?
甘いものが好きらしいんだよ
それならば次回のお茶会で、こちらのスイーツをお出ししましょう。
【完結】私の望み通り婚約を解消しようと言うけど、そもそも半年間も嫌だと言い続けたのは貴方でしょう?〜初恋は終わりました。
るんた
恋愛
「君の望み通り、君との婚約解消を受け入れるよ」
色とりどりの春の花が咲き誇る我が伯爵家の庭園で、沈痛な面持ちで目の前に座る男の言葉を、私は内心冷ややかに受け止める。
……ほんとに屑だわ。
結果はうまくいかないけど、初恋と学園生活をそれなりに真面目にがんばる主人公のお話です。
彼はイケメンだけど、あれ?何か残念だな……。という感じを目指してます。そう思っていただけたら嬉しいです。
彼女視点(side A)と彼視点(side J)を交互にあげていきます。
【完結】伯爵令嬢は婚約を終わりにしたい〜次期公爵の幸せのために婚約破棄されることを目指して悪女になったら、なぜか溺愛されてしまったようです〜
よどら文鳥
恋愛
伯爵令嬢のミリアナは、次期公爵レインハルトと婚約関係である。
二人は特に問題もなく、順調に親睦を深めていった。
だがある日。
王女のシャーリャはミリアナに対して、「二人の婚約を解消してほしい、レインハルトは本当は私を愛しているの」と促した。
ミリアナは最初こそ信じなかったが王女が帰った後、レインハルトとの会話で王女のことを愛していることが判明した。
レインハルトの幸せをなによりも優先して考えているミリアナは、自分自身が嫌われて婚約破棄を宣告してもらえばいいという決断をする。
ミリアナはレインハルトの前では悪女になりきることを決意。
もともとミリアナは破天荒で活発な性格である。
そのため、悪女になりきるとはいっても、むしろあまり変わっていないことにもミリアナは気がついていない。
だが、悪女になって様々な作戦でレインハルトから嫌われるような行動をするが、なぜか全て感謝されてしまう。
それどころか、レインハルトからの愛情がどんどんと深くなっていき……?
※前回の作品同様、投稿前日に思いついて書いてみた作品なので、先のプロットや展開は未定です。今作も、完結までは書くつもりです。
※第一話のキャラがざまぁされそうな感じはありますが、今回はざまぁがメインの作品ではありません。もしかしたら、このキャラも更生していい子になっちゃったりする可能性もあります。(このあたり、現時点ではどうするか展開考えていないです)
【完結】要らないと言っていたのに今更好きだったなんて言うんですか?
星野真弓
恋愛
十五歳で第一王子のフロイデンと婚約した公爵令嬢のイルメラは、彼のためなら何でもするつもりで生活して来た。
だが三年が経った今では冷たい態度ばかり取るフロイデンに対する恋心はほとんど冷めてしまっていた。
そんなある日、フロイデンが「イルメラなんて要らない」と男友達と話しているところを目撃してしまい、彼女の中に残っていた恋心は消え失せ、とっとと別れることに決める。
しかし、どういうわけかフロイデンは慌てた様子で引き留め始めて――
真実の愛を見つけた婚約者(殿下)を尊敬申し上げます、婚約破棄致しましょう
さこの
恋愛
「真実の愛を見つけた」
殿下にそう告げられる
「応援いたします」
だって真実の愛ですのよ?
見つける方が奇跡です!
婚約破棄の書類ご用意いたします。
わたくしはお先にサインをしました、殿下こちらにフルネームでお書き下さいね。
さぁ早く!わたくしは真実の愛の前では霞んでしまうような存在…身を引きます!
なぜ婚約破棄後の元婚約者殿が、こんなに美しく写るのか…
私の真実の愛とは誠の愛であったのか…
気の迷いであったのでは…
葛藤するが、すでに時遅し…
婚約者は妹のような幼馴染みを何より大切にしているので、お飾り妻予定な令嬢は幸せになることを諦めた……はずでした。
待鳥園子
恋愛
伯爵令嬢アイリーンの婚約者であるセシルの隣には『妹のような幼馴染み』愛らしい容姿のデイジーが居て、身分差で結婚出来ない二人が結ばれるためのお飾り妻にされてしまうことが耐えられなかった。
そして、二人がふざけて婚姻届を書いている光景を見て、アイリーンは自分の我慢が限界に達そうとしているのを感じていた……のだけど!?