【完結】婚約破棄される前に察して距離を置いていたら、幼なじみの第三王子が本気になっていました〜義妹と元婚約者? もう過去の人です〜

井上 佳

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第二章

第46話 謁見の間にて

第46話 謁見の間にて

謁見の間。
高い天井から、巨大なシャンデリアが吊るされている。無数のクリスタルが光を反射し、部屋全体を荘厳な雰囲気で包んでいる。壁には、歴代国王の肖像画が並び、その視線が――まるで、この場にいるすべての者を見つめているかのようだ。

玉座には、国王陛下が座っている。
その隣には、王妃陛下。
左側には、王太子バレンド殿下と第二王子ジェオール殿下。
右側には、重臣たち――財務卿リオルド、外務卿エドガー、宮内卿フリードリヒ。

そして――私とレオニスは、少し離れた場所に立っている。
中央には――バザササール侯爵が、膝をついている。
その隣には、娘のサナサリリアも――震えながら、膝をついている。
彼女の顔は真っ青で、唇も震えている。もう――あの傲慢な態度は、どこにもない。

静寂が、謁見の間を支配している。

誰も――声を発しない。
ただ――国王陛下の言葉を、待っている。

「バザササール侯爵」

国王陛下の声が、響く。
その声は――低く、厳粛で、そして――怒りを帯びている。

「……はい」

バザササール侯爵が、震える声で答える。
彼の額には、汗が浮かんでいる。顔色も悪い。もう――逃げ場がないことを、悟っているのだろう。

「お前は――」

国王陛下は、ゆっくりと言葉を紡ぐ。

「パイナッパー伯爵を唆し、エレノア・ヴァルディスを陥れようとした」
「……」

バザササール侯爵は、何も言えない。
ただ――頭を下げるだけだ。

「パイナッパー伯爵に、『エレノアが北方交易を潰そうとしている』と吹き込んだ」
「……」
「さらに、『エレノアが王子妃であることを盾に好き勝手している』とも」

国王陛下の声が、厳しくなる。

「これらは――すべて、虚偽だ」
「……」
「お前は――私的な野心のために、国策を妨害した」

その言葉に、重臣たちも険しい表情で頷く。
私は――静かに、その様子を見守る。

胸の奥で、何かが燃えている。怒り、というよりは――冷たい、静かな感情。

バザササール侯爵が、私を陥れようとした。
その事実が――今、公の場で明らかになろうとしている。

「さらに――」

国王陛下は、立ち上がる。
その姿は――威厳に満ち、圧倒的だ。

「娘を使って、レオニスとの縁談を強要しようとした」

その言葉に――。
サナサリリアが、ビクッと体を震わせる。

「レオニスには、すでに妻がいる」

国王陛下は、レオニスと私を見る。

「エレノア・ヴァルディス――彼女が、レオニスの正式な妻だ」
「……」
「それを知りながら、娘をヴァルディス領に押しかけさせ――」

国王陛下の声が、さらに厳しくなる。

「『第二夫人になる』などと、法を無視した主張をさせた」
「……っ」

サナサリリアの顔が、さらに青ざめる。

「これは――」

国王陛下は、バザササール侯爵を見下ろす。

「王家への反逆と見なす」

その言葉に――。
謁見の間全体が、緊張に包まれる。
「反逆」という言葉の重み。それは――爵位剥奪、領地没収、場合によっては――命に関わる罪だ。

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