幼なじみのチャラいバンドマンに突然溺愛される話

結城由真《ガジュマル》

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「う……」

 初めて知る隼人の気持ちに涙がとめどなく溢れ、顔を覆いしゃくり上げる。
 すると私の上に跨がっていた隼人は慌てたように離れ、オロオロし始めた。

「ごめん! 怖かった!? 泣くほど嫌なら何もしないから」

 完全に誤解して狼狽えている隼人。
 先ほどとは真逆の雰囲気に拍子抜けして、むくりと起き上がり彼を見る。
 下着姿の隼人の下半身は、はち切れるように大きく膨れ上がっていて、表情もとても辛そうで。
 真っ赤になって荒く呼吸しながら、それでも拳を握り顔を歪めて耐えている姿に胸を打たれた。

「……千夏を傷つけるようなことは絶対しない」

 真っ直ぐな誠実さは今までのチャラい隼人とはかけ離れていて。
 だけど私はわかってる。
 これが本当の隼人なんだってことを。

「……帰ろ。送ってく」

 そう言ってベッドから降りようとする隼人の腕を力強く掴んだ。

「千夏?」

 そのまま隼人に抱きつき、震えた声を出す。

「……違う。嬉し泣き」

 隼人の温もりと匂いに、どんどん心が安らいでいるのを感じた。

「怖くなんてない。いやなわけないよ。ずっと隼人が好きだったから」

 見つめ合って涙混じりに微笑む。
 途端に勢いよく引き寄せられて、きつく抱き締められた。

「……嬉しすぎて狂いそう」

「私も」

 どちらからともなく顔を近づけ、深く口づける。
 何度も角度を変えて求め合ううちに、雪崩れるようにベッドの上に二人重なった。

 触れられるところが全部熱い。彼の匂いが麻薬のように脳を痺れさせて、どんどん力が抜けていく。
 性急に服を脱がされ、露わになった胸の膨らみをまじまじと見下ろす隼人に羞恥心を覚えた。

「恥ずかしいから見ないで」

 必死に腕で隠そうとしても無駄だった。
 強引に両腕をシーツの上に縫いつけられて、わざと恥ずかしい気持ちを煽るように視線を向けられる。
 見つめられるだけで体温が上昇し、ぶるっと鳥肌が立った。
 やがて焦らすように指で弄ばれると、今まで感じたことのない刺激が走る。

「柔らかくて気持ちいい……」

 耳元で囁かれる甘い声も相まって、快感が止まらない。
 身体の奥が震えるような、頭が真っ白でふわりと宙に浮くような、それなのに泣きたくなるような。
 妙な感動と背徳感を覚えながら、必死にシーツにしがみついて快楽の波に身を委ねる。
 やがて隼人の熱い舌が胸の先端を這い、チロチロと可愛がるように小刻みに動く。
 
「……あぁ」

 自分のものとは思えない卑猥な声が漏れ、恥ずかしさにじわりと涙が滲んだ。
 それでも声が抑えられない。
 わざといやらしい音を立てながら強く先端を吸われ、のけぞるような快感が襲った。
 
「声可愛い」

 どうしても我慢できずに漏れてしまう嬌声に、隼人はうっとりとして微笑んだ。
 私より数倍余裕なのが悔しい。
 やっぱりこういうこと慣れてるんだ。
 きっと今までたくさんの女の子達と夜を共にしてきたんだと思うと、嫉妬と劣等感に苛まれて頭がおかしくなりそう。

 だけど身も心もとろとろになるような愛撫のあと、いざひとつになろうとした時、突然彼は冷や汗をかいてフリーズした。
 ゴムを持つ右手が微かに震えている。

「……隼人?」

 心配になってゆっくり起き上がる私に、彼は顔を赤らめて眉を下げた。

「……ごめん。付け方知ってる?」

 意外すぎる質問にびっくりして、しばらく言葉を失った。
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