オケ！うまずたゆまずちんたらと

2章

出生の秘密 裏

とにかく、落ち着いて話をするためにイアンを起こさなければ話にならない。
俺はイアンの体を、ユサユサとゆらす。
おーい、起きてくれ～！
と、音が外に漏れないよう、いろいろ試してみたものの中々起きてくれない。
どうしたものか、とここで俺は何かを感じる。なんだ、この違和感‥‥
テントの中で少し激しめに動いたから酸欠！？
いや、こんな短時間にあり得ない。
頭が朦朧として、意識を刈り取られる。

次に目覚めた時にはもう、時すでに遅し。
馬車の中に座らされ両脇には嬉しくもない
筋肉マッチョに固められていた。
なんだこのカオス‥
仕方がないので覚悟を決めて、もう一眠りといきますか！
おやすみなさい。

目覚めると船の船室のようなところに1人で寝かされている。
寝心地の良い布団だ。極楽、極楽！


しかし、これ船だよなぁ。
次にアンに会えるのは、いつだろうか。
ソフィーは、いい女に育つぞぉ～！
もう、会いてーよ。

ここまで執拗に俺を連れ戻そうとするんだ。
それだけの理由でないのなら本当に許さねぇんだからな。　　母上。

この船室、本当に居心地良くて久しぶりのこの感じだ。
アンとソフィーと3人で乗れたらどんなに幸せだろうか‥‥
アンと2人、ソフィーが喜んでるのを眺めているだけだろうが想像するだけで心が軽くなるようだ。
その時、「パパの馬鹿！！」すごく大きな声が聞こえてきた。どんだけ大きな声で叫んだんだ！？

耳が、痛い‥‥‥     キーーーーーーーーン
少し切なくなる。

てか、ソフィーはこんなこと出来たんだな。
これって、風魔法だよなぁ。
うちの子スゲ！天才だわ！
こりゃ、絶対に守らなければ。

この後、丸一日ベットの上で苦しむのだった。


船室のドアが開きカミーユの兄、ルーベンが入ってきた。そして私の前に跪き、
「お久しぶりでございます。
お元気で何よりです。ハロルド殿下。
しかし、あなたは会うたび成長されますなぁ」
なんの嫌味だ！このヤロー、本当昔から嫌いなんだよなぁ～‥‥
腹黒インテリヤローだ！
俺とは仲良くならないタイプの竜人だ。
「で、何の用だ。ただ嫌味を言いに来たってわけじゃないんだろ」
「ええ、あなたには生け贄となっていただきますよ」
は？生け贄！？どういうことなんだ！？
今回の一件は、母上の仕業ではなくこいつの仕業なのか！？
全く傍迷惑な話だ。
おかしいと思ってたんだ。俺が竜人国は出たのは一族のしきたりだからだ。
王族の男子は皆、50歳になると国を出て他国を旅するんだ。
見聞を広げるためだとかなんとか、大昔の王が定めてそのままいままで語り継がれてきたらしい。
各遊、俺もそのしきたりに従いエルフの国へ1人で渡り旅することになったのだが。
大体、こいつは何がしたいのか。
ニヤニヤと薄ら笑いを浮かべるキモいやつだ。
急に船酔いでも襲ってきたか！？
「驚きすぎて、言葉もでませんか。
そうですよね。いい座間です。フハハハハ」
なんだこいつは本当呆れてんだよ馬鹿なのか！？
頭良さそうなツラしやがって！
「ところで、今日で何日目だ」
「いつから数えてですか？
あなたが気を失ってから？それとも船に乗ってから？」
「俺を拉致ってからだよ」

「６日たちますね」
えと、そんなに！？