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第七章:恋を知る夜、愛に包まれる朝
第107話・唯一の存在
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夜。
蝋燭の柔らかな明かりが、寝室を静かに包み込んでいた。
ルナフィエラがベッドで待っていると、扉を開けて入ってきたのはヴィクトルひとりだった。
その姿に、思わず口をついてでてしまった。
「……今日は、何もしないの?」
自分でも少し驚く問い。
ヴィクトルは歩み寄りながら、わずかに目を細めた。
「ええ。今夜はお休みいただこうと……ルナ様のお体のために」
声は穏やかだが、その奥にはためらいが滲んでいる。
ベッドの端に腰を下ろし、ルナフィエラと同じ高さで視線を合わせると、彼は静かに尋ねた。
「ルナ様…その……嫌では、ございませんか?……怖くはないでしょうか?」
一瞬、返事に迷ってしまう。
けれど、隠すのは違う気がする。
「……うん、恥ずかしいけど…嫌じゃないよ。……ただ、ちょっと怖いかな」
「怖い……と?」
「うん。自分じゃない感覚になるから……ふわっとして」
その答えを受け、ヴィクトルはわずかに息を吐き、ルナフィエラをそっと抱き寄せた。
広い胸の中は、安心と甘い熱で満ちている。
「……大丈夫です。どのようなお気持ちも、私が受け止めます」
耳もとで囁かれる低い声が、肌をかすかに震わせた。
次の瞬間、唇が触れた。
最初は軽く、確かめるように。
けれどすぐに、間を置かず深くなっていく。
吸い寄せられるように、何度も、何度も。
息が続かず、胸が苦しくなるほど――。
「……ヴィク……トル……っ」
名前を呼ぶと、彼ははっとしたように唇を離した。
「……すみません。少し……熱くなりすぎました」
「…大丈夫。……ちょっと苦しかっただけで、嫌じゃないから」
その答えに目を細め、ヴィクトルはもう一度軽く口づけを落とす。
額を合わせ、呼吸を重ねながら、しばし静かに抱きしめ合った。
ふと思い出したように、ルナフィエラが顔を上げる。
「……ヴィクトル、血……いる?」
彼はすぐに首を横に振る。
「いいえ。今夜は必要ございません」
穏やかな声だが、どこか遠慮が混じっている。
ルナフィエラは首をかしげ、上目遣いで見つめた。
「遠慮しなくていいよ?……私は、みんなからもらえるけど、ヴィクトルは私だけでしょ?」
その言葉に、ヴィクトルの瞳がわずかに揺れる。
ルナフィエラは髪を後ろに流し、寝間着の襟元をそっと指先で緩めた。
白い首筋が、灯りに淡く浮かび上がる。
「……いいよ?」
息を呑む気配。
抑えていた熱が滲むような低い声が返ってきた。
「……感謝いたします」
彼の手がそっと肩を支え、温かな吐息が首筋にかかる。
そして――理性の糸が切れるように、ゆっくりと牙が沈む。
わずかな痛みと、それに続く心地よい感覚。
ルナフィエラは目を閉じ、そのぬくもりに身を委ねた。
やがて、ヴィクトルは牙を抜き、名残惜しそうに唇を離した。
赤く残った跡を見つめながら、そっと指先で触れる。
「……痛みは、ございませんか」
低く、少しだけ掠れた声。
ルナフィエラはゆっくりと首を横に振った。
「うん。全然……むしろ、落ち着く感じ」
その答えに、ヴィクトルはわずかに目を細め、跡に唇を触れた。
まるで謝罪と感謝を込めるように。
「……ありがとうございます。ルナ様は、私にとって……唯一の方です」
甘く、どこか切ない囁き。
ルナフィエラが何か返そうとしたときには、もう彼の腕がしっかりと自分を包み込んでいた。
胸の奥に響く規則正しい鼓動と、包み込むような温もりが、眠気を呼び込んでくる。
「おやすみなさいませ、ルナ様」
その声を最後に、まぶたが静かに閉じていった。
意識が沈む直前、耳元に残ったのは、彼の穏やかな吐息だった。
蝋燭の柔らかな明かりが、寝室を静かに包み込んでいた。
ルナフィエラがベッドで待っていると、扉を開けて入ってきたのはヴィクトルひとりだった。
その姿に、思わず口をついてでてしまった。
「……今日は、何もしないの?」
自分でも少し驚く問い。
ヴィクトルは歩み寄りながら、わずかに目を細めた。
「ええ。今夜はお休みいただこうと……ルナ様のお体のために」
声は穏やかだが、その奥にはためらいが滲んでいる。
ベッドの端に腰を下ろし、ルナフィエラと同じ高さで視線を合わせると、彼は静かに尋ねた。
「ルナ様…その……嫌では、ございませんか?……怖くはないでしょうか?」
一瞬、返事に迷ってしまう。
けれど、隠すのは違う気がする。
「……うん、恥ずかしいけど…嫌じゃないよ。……ただ、ちょっと怖いかな」
「怖い……と?」
「うん。自分じゃない感覚になるから……ふわっとして」
その答えを受け、ヴィクトルはわずかに息を吐き、ルナフィエラをそっと抱き寄せた。
広い胸の中は、安心と甘い熱で満ちている。
「……大丈夫です。どのようなお気持ちも、私が受け止めます」
耳もとで囁かれる低い声が、肌をかすかに震わせた。
次の瞬間、唇が触れた。
最初は軽く、確かめるように。
けれどすぐに、間を置かず深くなっていく。
吸い寄せられるように、何度も、何度も。
息が続かず、胸が苦しくなるほど――。
「……ヴィク……トル……っ」
名前を呼ぶと、彼ははっとしたように唇を離した。
「……すみません。少し……熱くなりすぎました」
「…大丈夫。……ちょっと苦しかっただけで、嫌じゃないから」
その答えに目を細め、ヴィクトルはもう一度軽く口づけを落とす。
額を合わせ、呼吸を重ねながら、しばし静かに抱きしめ合った。
ふと思い出したように、ルナフィエラが顔を上げる。
「……ヴィクトル、血……いる?」
彼はすぐに首を横に振る。
「いいえ。今夜は必要ございません」
穏やかな声だが、どこか遠慮が混じっている。
ルナフィエラは首をかしげ、上目遣いで見つめた。
「遠慮しなくていいよ?……私は、みんなからもらえるけど、ヴィクトルは私だけでしょ?」
その言葉に、ヴィクトルの瞳がわずかに揺れる。
ルナフィエラは髪を後ろに流し、寝間着の襟元をそっと指先で緩めた。
白い首筋が、灯りに淡く浮かび上がる。
「……いいよ?」
息を呑む気配。
抑えていた熱が滲むような低い声が返ってきた。
「……感謝いたします」
彼の手がそっと肩を支え、温かな吐息が首筋にかかる。
そして――理性の糸が切れるように、ゆっくりと牙が沈む。
わずかな痛みと、それに続く心地よい感覚。
ルナフィエラは目を閉じ、そのぬくもりに身を委ねた。
やがて、ヴィクトルは牙を抜き、名残惜しそうに唇を離した。
赤く残った跡を見つめながら、そっと指先で触れる。
「……痛みは、ございませんか」
低く、少しだけ掠れた声。
ルナフィエラはゆっくりと首を横に振った。
「うん。全然……むしろ、落ち着く感じ」
その答えに、ヴィクトルはわずかに目を細め、跡に唇を触れた。
まるで謝罪と感謝を込めるように。
「……ありがとうございます。ルナ様は、私にとって……唯一の方です」
甘く、どこか切ない囁き。
ルナフィエラが何か返そうとしたときには、もう彼の腕がしっかりと自分を包み込んでいた。
胸の奥に響く規則正しい鼓動と、包み込むような温もりが、眠気を呼び込んでくる。
「おやすみなさいませ、ルナ様」
その声を最後に、まぶたが静かに閉じていった。
意識が沈む直前、耳元に残ったのは、彼の穏やかな吐息だった。
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