【完結】純血の姫と誓約の騎士たち〜紅き契約と滅びの呪い〜

来栖れいな

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第七章:恋を知る夜、愛に包まれる朝

第108話・甘く熟す時

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翌日以降も、ルナフィエラの日々は変わらず穏やかだった。
朝食を囲み、森を散歩し、読書や訓練をしながら過ごす。
そんな日常の中には、甘やかな空気が常に寄り添っていた。

夜になれば、その日の添い寝当番がルナフィエラの部屋に訪れ、寄り添い、手を取り、温もりを分け合う。
その中には、彼女の体を少しずつ慣らすための優しい触れ合いも続いていた。


――最近、自分でも少し変わってきたと思う。

最初は恥ずかしさと戸惑いしかなく、触れられるたびに心臓が跳ね、身体もぎこちなく固くなっていた。

けれど、夜の優しい時間を重ねるうちに、だんだんと違う感覚が芽生えてきた。
指先や唇が触れると、そこからじんわりと温かさが広がって――胸の奥がむずむずと疼く。

その感覚を覚えてからは、触れられる前から、どこかでそれを待ってしまう自分がいた。

(……な、何考えてるの、私……)

気づくと顔が熱くなって、小さく身をよじる。
でも、その奥底には……また優しく抱きしめてもらえるかもしれない、そんな淡い期待があって。
その期待こそが、さらに恥ずかしさをかき立てて――どうしていいかわからなくなる。

まるで、自分の心と身体が少しずつ別の方向へ進んでいるようで……戸惑いと、ほんの少しの嬉しさが入り混じる日々だった。

そんな彼女の変化を、4人はそれぞれの視線で見守っていた。
表には出さないが、その瞳には同じ思いが宿っている。

(……そろそろ、いい頃かもしれない)

彼らは互いに目を合わせ、言葉なくうなずき合った。
今度こそ、ルナフィエラと本当の意味で結ばれるために――。


その夜、ルナフィエラの寝室には4人全員が揃っていた。
やわらかな明かりに照らされた部屋は、どこか静かで、そして優しい熱を含んだ空気に満ちている。

ルナフィエラの背にはフィンの温もり。
視線の先にはヴィクトルがいて、落ち着いた声で囁く。

「……ルナ様、力を抜いてください。大丈夫です、私がそばにおります」

わかっているはずなのに、胸の奥は不安と期待と、どうしようもない恥ずかしさでぐちゃぐちゃに混ざり合っていた。

けれど、すぐ背後から伝わるフィンの手の優しい動きが、その複雑な感情を少しずつ溶かしていく。
熱を帯びた感覚に、思考が霞み、呼吸が浅くなる。

その間に――ヴィクトルの存在が、ゆっくりと自分の奥深くまで近づいてくるのを感じた。
意識の全てがその感覚に引き寄せられ、ルナフィエラは思わず息を止めてしまう。

「……ルナ様、深呼吸を」

ヴィクトルの声が静かに降ってくる。

背中を支えるフィンの手が、呼吸を促すように優しく頭を撫でた。
しばらくそうしていると、鼓動と呼吸がゆっくりと整っていく。

やがて、ヴィクトルがほんのわずかに動き出す。
その動きは慎重で、痛みではなく温かさと甘い痺れを広げていった。
重なる吐息、近くで囁かれる名前――すべてが混ざり合い、やがて大きな波が押し寄せた。

その瞬間、彼女はヴィクトルの腕にしっかりと抱きとめられ、フィンの手を強く握っていた。
溶けるような余韻の中、視界はかすかに滲み、胸の奥は穏やかな幸福感でいっぱいだった。


深呼吸を繰り返し、彼女の鼓動がようやく落ち着きを取り戻す頃。
その様子を見守っていたユリウスが、そっと膝を寄せてきた。

「……次は、僕の番だね」

低く落ち着いた声が、耳に心地よく響く。

ルナフィエラが顔を向けるより早く、その手が頬を包み込む。
指先から伝わるぬくもりが、自然と警戒を解いていく。
目を細めたユリウスは、何も問わず、そのままゆっくりと彼女を受け止めた。

わずかな圧と共に、互いの距離がまた一歩近づく。
さっきまでの余韻と、胸の奥に溜まっていた熱のせいか、不思議なほど抵抗はなかった。
痛みもなく、ただ温かさが静かに広がっていく。

「……いい子だ」

優しい声とともに、背を支える手が力を込める。

視線が絡み、吐息が触れ合い、互いの存在を深く確かめ合う。
ひとつになるたび、鼓動が甘く震え、胸の奥に広がる熱がじわじわと高まっていった。

やがて、溢れる波がすべてを包み込むように押し寄せ、ルナフィエラは息を詰めてユリウスの名を呼んだ。
ユリウスはそれに応えるように、さらに強く彼女を抱きしめて離さなかった。
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