猫の気持ち 犬の気持ち 家族の絆

夢咲はるか

文字の大きさ
8 / 96

第1話(7)

しおりを挟む
「あ、あの。ごめんなさい。現実離れした内容で驚くと思いますけど、順を追って説明します……」
「いやいや、大丈夫ですよ。犬国からいらした、スゥさんでしたよね? 僕は猫側の演説者と対決して、勝てばいいんですよね?」
「はっはい。その通りです。で、でも、どうして?」

 これから自分が喋る内容をこっちが知ってるもんだから、相当驚いてるみたい。それに関してはまあ、入って頂ければ瞭然です。

「詳しいお話は、なかでします。立ち話もなんですからお入りください」
「は、はい。あの、これ……つまらないものですけど。よろしかったら、ぜひ」
「え、あ、どうも」

 なんとまあ、手土産を頂いた。
 お土産はパッケージに『元祖にくきゅう餡子饅頭』とあるので、お饅頭だと思う。実を言うと僕は和菓子が好物なので、これは何気に嬉しい。

「気を遣ってもらってすいません。では和室にどうぞ」
「ぁ、すみません。そ、その前に、犬さんも一緒にお話を聞いて頂きたいのですけど、よろしいでしょうか?」

 モジモジと、不安げに一言一言ゆっくりと言葉を紡ぐ。
 犬国側も例の薬を持ってきていて、僕の心配を和らげようとしてくれているんだろう。この件に関しては色々と問題がありそうだけども、とりあえず連れてこよう。

「わかりました。ちょっと待っていてください、レートを呼んできますから」
「い、いえ。小屋の前でお眠りになられていたようなので、先に私が謝罪をしてからの方がいいと思いまして……。私がお呼びしても、構いません、か……?」
「あ、はい。そしたらお願いします」

 そうして僕はスゥさんに頼み、2~3分後かな。謝っている声が何回か聞こえた後、一緒に戻ってきた。

「樹坂さん。お待たせしてすみません」
「きゃぅ。きゅうきゅうっ」
「いえいえお気遣いなくで、おーレートっ。よしよしよし」

 僕を見た途端にすり寄って、甘えてきてくれる。雄だけど、この声がキュートなんだよね。

「レートさん、優しい方で良かったです。四つ目も似合ってますね」
「あはは。ウチの子を褒めてくれてありがとうございます」

 レートは黒毛と白毛が混じっていて、目の上には『四つ目』と呼ばれる茶色い斑点があるのだ。
 ちなみにレートという名の由来は、この三つの毛色がチョコレートみたいだったから。マシマロの方は初めて触った時にマシュマロみたいに柔らかかったから、僕が付けた名前だ。

「それでは今度こそ、和室にどうぞ」
「は、はい。お邪魔致します」
「わふっ」

 レートとスゥさんと、和室に戻る。するとやはり、両陣営の使者は驚きを見えた。

「そ、その制服は……。犬国の、方……」
「ど、どうも。そっか、だからご存知だったのですね……」

 リリさんの姿を見て、どうして僕が知っていたのか理解してくれたみたい。
 そうなんですよ。細説を受けていたから、すんなり話が進んだんだよね。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

滝川家の人びと

卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。 生きるために走る者は、 傷を負いながらも、歩みを止めない。 戦国という時代の只中で、 彼らは何を失い、 走り続けたのか。 滝川一益と、その郎党。 これは、勝者の物語ではない。 生き延びた者たちの記録である。

ヤクザに医官はおりません

ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
彼は私の知らない組織の人間でした 会社の飲み会の隣の席のグループが怪しい。 シャバだの、残弾なしだの、会話が物騒すぎる。刈り上げ、角刈り、丸刈り、眉毛シャキーン。 無駄にムキムキした体に、堅い言葉遣い。 反社会組織の集まりか! ヤ◯ザに見初められたら逃げられない? 勘違いから始まる異文化交流のお話です。 ※もちろんフィクションです。 小説家になろう、カクヨムに投稿しています。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

ママはヤンママ女子高生! ラン&ジュリー!!

オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
キャラ文芸
神崎ランの父親の再婚相手は幼馴染みで女子高生の高原ジュリーだった。 ジュリーは金髪美少女だが、地元では『ワイルドビーナス』の異名を取る有名なヤンキーだった。 学校ではジュリーは、ランを使いっ走りにしていた。 当然のようにアゴで使われたが、ジュリーは十八歳になったら結婚する事を告白した。 同級生のジュリーが結婚するなんて信じられない。 ランは密かにジュリーの事を憧れていたので、失恋した気分だ。 そう言えば、昨夜、ランの父親も再婚すると言っていた。 まさかとは思ったが、ランはジュリーに結婚相手を聞くと、ランの父親だと判明した。  その夜、改めて父親とジュリーのふたりは結婚すると報告された。 こうしてジュリーとの同居が決まった。 しかもジュリーの母親、エリカも現われ、ランの家は賑やかになった。

処理中です...