猫の気持ち 犬の気持ち 家族の絆

夢咲はるか

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第1話(8)

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「リリさん。こちらは、スゥさんです」
「は、初めまして。スゥと申します」
「こ、これはご丁寧に、どうも。私はリリと申します」

 二人はギクシャクしつつも、名刺交換を行う。不倶戴天の敵とはいえ、こういう社交辞令的なことは行うようだ。

「スゥさん、これから大事な話がありますのでこちらへどうぞ。レートもね」
「わぅ。わぅわぅ」
「にゃ。にゃにゃっ」

 スゥさんは僕とリリさん、マシマロに会釈をしてリリさんの体面に座り、レートはマシマロに挨拶をしてからその隣に座る。
 現在の座席は『リリさんとマシマロ』『スゥさんとレート』となっているので、公平を期すため僕は二人の斜め前に腰を下ろした。

「し、しかしあれですね。修介さんのお宅に、犬さんがいらっしゃるとは思いませんでした」

 まずは、場を和ませようとしてくれたのだろう。リリさんが軽めに手を叩き、レートを一瞥した。

「私は猫国の人間なのか、犬さんにはよく吠えられるんですよ。大人しい方ですね」
「そうなんですよ。レートは、そういう子なんですよ」

 やや内気で優しい男の子で、今まで強く吠えたこともケンカをしたこともない。さっきもそうだったけど、よく寝るのんびり屋さんなのだ。
 対してマシマロは反対で、よく動くアクティブなにゃんこ。言わずもがなこの子も、とっても優しい子だ。

「修介さんは犬さんとも、非常によい関係を持たれているんですね。見ていて分かりますよ」
「で、ですよね。なので私たちも、演説者になっていただきたいと思いました」

 リリさんの意図を汲み、オドオドしながらも会話に参加してくれる。そうして場の空気を更に穏やかにしてくれた彼女は、そのあと表情を曇らせた。

「つまり、その、犬国と猫国は同じ方を選んでしまっていて……。どう、しましょうか……?」

 そう、なんだよねえ。
 ウチにはレートがいるから、犬国の要請も受けたい。これに関しては早い者勝ち云々ではなく、どちらの肩も持ちたいんだよね。

「修介さんがどちらかにつくと片方は演説者不在となり、今から候補者を決め直すようになります。そうしたら新たな方の周辺調査をしっかりやらないといけなくなるので、最低でも一年以上は必要になりますね……」
「一年となると、なかなかの問題ですね。とりあえずリリさんもスゥさんも、上司の方か誰かに相談してみたらどうですか?」

 その規模の問題は、ここで解決できるものではない。そうするべきだよね。

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