猫の気持ち 犬の気持ち 家族の絆

夢咲はるか

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第1話(12)

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「修助さん、配慮をありがとうございます。では改めてお二人に、今後の説明をさせていただきますね」それではマシマロさんにレートさん、お話をさせていただきますね」
「うんどーぞっ」「はい」
「今からお二人には、修助さんに自分たちの良さをアピールしていただきます。つまり今日からお二人は、ライバルなのです」
「んー。ライバル……かぁ」

 それを聞くや、マシマロから明るさが少し消えた。

「そっか、そうなるんだよね……。だったらそれは、やだなー」
「う、うん。それは、僕も嫌だなぁ」

 すっかり忘れていたけど、これは二人にとっては勝負となる。それが分かると、そうなるのは至当だよなぁ。

「ぇ……? あれ……?」
「き、樹坂さん。どうして、なのでしょうか……」
「マシマロとレートは、単なる同居人じゃないんです。本当の兄妹のように育ってるので、対決したくないんですよねぇ……」

 年はレートが上なんだけど、家に来てくれた時期の関係で、マシマロがお姉さんでレートが弟。新しい環境で戸惑っているレートをずっと助けてあげてたし、幼い時からずっと一緒だから、蹴落としあいなんてしたくない。
 それを抜かるなんて、完全に僕の不注意だった。

「お二人とも、すみません。こういう時は、どうすればいいんですかね……?」
「えっとですね。こういう場合は、その、レートさんとマシマロさんには申し訳ないのですけど……。お礼を差し上げるのでどうにか受け入れて欲しい、とのことです」
「猫国も同じで、参加賞としてキャットフードなどを。見事勝利に導いてくださった方には勝者さんが望むものをお渡しする、と伝えて協力していただけ――なんですよ。例えば、この薬を提供し続けてずっと人間の姿を保てるようにもできますので……………どうか引き受けてくださいませんかね?」

 うーん、お礼を出されてもなぁ。そんなので、二人の意思が変わるとはおもえな

「食べ物は要らないけど、お薬が貰えるならおっけーだよっ」
「ボクも、いいです」

 え? 変わっちゃっ!?

「ま、マシマロ、レート。どうしちゃったの?」

 あの二人が、こうもあっさり引き受けるなんて。どういう風の吹き回しだ?

「あたしたちも争いは嫌だけど、このままの姿でしゅーすけ君と一緒に居たいんだもん。ねっ、レー君」
「う、うん。一緒、がいいな」
「そ、そう、なんだ。じゃあ、分かったよ」

 二人が本心で言っているなら、拒んではいけない。思う所はあるけれど、二人とリリさんスゥさんに対して頷いた。

「修助さん、マシマロさん、レートさん、感謝致します。演説日は五日後の午前9時となっておりまして、その日に再び伺います」
「それまでレートさんとマシマロさんはアピールをして、樹坂さんはその時までに選ぶ方を決めておいてください。多々ご迷惑をおかけしますが、お許しください」

 恐らく二人には、上への報告などがあるのだろう。それぞれ申し訳なさそうにしたあとはすぐに立ち上がり、もう一度感謝と謝罪の言葉を口にし、そして人間の姿について――人と同じ食事をしてもいいなどの説明をしたあと、足早に帰ってしまったのだった。

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