28 / 39
第三章 二人のクリスマス、そして
3-3.クラスの作戦!
しおりを挟む
テッドのアイデアは、リズの思っていた以上に上手く言った。翌日のホームルームで提案すると、生徒たちは二つ返事で賛成してくれたのだ。その日の放課後には、クラス総出でクッキーを焼くことになった。
「リズ先生が助け舟を出してくれて良かったです。正直、僕ら最終学年だから、学校のイベントにそこまで時間を割けないですし」
「お菓子作りなら、料理研究部はお手のものですよ! 可愛いクッキー型も貸していただいて、準備は万端です」
家庭科室に、生徒たちの陽気な声が響く。
張り切るリズに、テッドはクッキーの型をいくつも持たせてくれた。星や動物や花の形と分かるそれらの型は、見ているだけでも楽しい。生徒たちは伸ばしたクッキー生地にそれらの型をあてがい、リズミカルに型抜きをする。それから生地を天板に並べ、焼いていった。
数時間後には、実に百個以上の、可愛らしいクッキーが出来ていた。その他に、キャラメルやキャンディを作るグループもあった。料理研究部員が指示を出し、計画的にお菓子が完成していく。
「みんな、良かったわ。……本当のところ、どうなるのかすごく不安だったのよ、私」
「リズ先生、本気で心配してくれていたのですね。大丈夫ですよ、クリスマスパーティって、そんなに気合いを入れるイベントじゃないです。リズ先生は今年度に着任したばかりですから、知らないのも無理ありませんが」
「えっ、そうなの?」
生徒の言葉に、リズはやや拍子抜けする。
生徒たちの慰めによって、リズの心もかなり回復した。新しい学校で初めて受け持つクラスということで、とても緊張していたのだ。クリスマスパーティは最終学年が主体となって進めるということで、さらに気を張る事態になった。最初に企画した栗菓子については材料が手に入らず、その次に企画したハンドベル演奏では、奏者が病気になり……なかなかハードな数ヶ月であった。
(まさか、テッドのアイデアでこんなに簡単に解決するだなんてね)
周りに気付かれないように、リズは溜め息を吐いた。
「では、お菓子は完成したから、次はラッピングね。さあ、完成まであと少し。頑張りましょう」
色とりどりの包装紙やリボンを用意してくれたのも、なんとテッドである。
(可愛いリボン……どうしてテッドがこんなものをもっているのかしら)
赤と黄色のストライプ模様になっているリボンをクッキーの袋に結い付けながら、リズは思った。梱包資材は学校指定の文具店で購入したものの他に、生徒たちが持ち寄ったものを使っている。もちろん、生徒たちに頼りきりなのは申し訳ないからと、リズも自宅にあるものを持ってきた。だが、もともとリズに可愛い物を集める趣味はない。リズが好きなのはむしろ鉱物標本の類いである。可愛い包装紙が家中探しても見つからず頭を抱えていたところにテッドから差し出されたもの――それがこれらの、可愛らしく都会的でお洒落な包装紙やリボンなのである。
(まったく……テッドには頭が上がらないわね)
リズはやや皮肉げな笑みを浮かべつつも、菓子の包装を続けた。カラフルなラッピングの上にクリスマスツリーに飾るための紐を付ければ、食べられるオーナメントの完成である。
「リズ先生が助け舟を出してくれて良かったです。正直、僕ら最終学年だから、学校のイベントにそこまで時間を割けないですし」
「お菓子作りなら、料理研究部はお手のものですよ! 可愛いクッキー型も貸していただいて、準備は万端です」
家庭科室に、生徒たちの陽気な声が響く。
張り切るリズに、テッドはクッキーの型をいくつも持たせてくれた。星や動物や花の形と分かるそれらの型は、見ているだけでも楽しい。生徒たちは伸ばしたクッキー生地にそれらの型をあてがい、リズミカルに型抜きをする。それから生地を天板に並べ、焼いていった。
数時間後には、実に百個以上の、可愛らしいクッキーが出来ていた。その他に、キャラメルやキャンディを作るグループもあった。料理研究部員が指示を出し、計画的にお菓子が完成していく。
「みんな、良かったわ。……本当のところ、どうなるのかすごく不安だったのよ、私」
「リズ先生、本気で心配してくれていたのですね。大丈夫ですよ、クリスマスパーティって、そんなに気合いを入れるイベントじゃないです。リズ先生は今年度に着任したばかりですから、知らないのも無理ありませんが」
「えっ、そうなの?」
生徒の言葉に、リズはやや拍子抜けする。
生徒たちの慰めによって、リズの心もかなり回復した。新しい学校で初めて受け持つクラスということで、とても緊張していたのだ。クリスマスパーティは最終学年が主体となって進めるということで、さらに気を張る事態になった。最初に企画した栗菓子については材料が手に入らず、その次に企画したハンドベル演奏では、奏者が病気になり……なかなかハードな数ヶ月であった。
(まさか、テッドのアイデアでこんなに簡単に解決するだなんてね)
周りに気付かれないように、リズは溜め息を吐いた。
「では、お菓子は完成したから、次はラッピングね。さあ、完成まであと少し。頑張りましょう」
色とりどりの包装紙やリボンを用意してくれたのも、なんとテッドである。
(可愛いリボン……どうしてテッドがこんなものをもっているのかしら)
赤と黄色のストライプ模様になっているリボンをクッキーの袋に結い付けながら、リズは思った。梱包資材は学校指定の文具店で購入したものの他に、生徒たちが持ち寄ったものを使っている。もちろん、生徒たちに頼りきりなのは申し訳ないからと、リズも自宅にあるものを持ってきた。だが、もともとリズに可愛い物を集める趣味はない。リズが好きなのはむしろ鉱物標本の類いである。可愛い包装紙が家中探しても見つからず頭を抱えていたところにテッドから差し出されたもの――それがこれらの、可愛らしく都会的でお洒落な包装紙やリボンなのである。
(まったく……テッドには頭が上がらないわね)
リズはやや皮肉げな笑みを浮かべつつも、菓子の包装を続けた。カラフルなラッピングの上にクリスマスツリーに飾るための紐を付ければ、食べられるオーナメントの完成である。
0
あなたにおすすめの小説
春の雨に濡れて―オッサンが訳あり家出JKを嫁にするお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。なお、本作品はヒロイン目線の裏ストーリー「春の雨はあたたかい」のオリジナルストーリーです。
春の雨の日の夜、主人公(圭)は、駅前にいた家出JK(美香)に頼まれて家に連れて帰る。家出の訳を聞いた圭は、自分と同じに境遇に同情して同居することを認める。同居を始めるに当たり、美香は家事を引き受けることを承諾する一方、同居の代償に身体を差し出すが、圭はかたくなに受け入れず、18歳になったら考えると答える。3か月間の同居生活で気心が通い合って、圭は18歳になった美香にプロポーズする。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
大金で買われた少女、狂愛の王子の檻で宝石になる ―無自覚な天才調合師は第二王子の婚約者(虫除け)を演じることになりました―
甘塩ます☆
恋愛
「君を金貨三十枚で買ったのは、安すぎたかな」
酒浸りの父と病弱な母に売られた少女・ユナを救ったのは、国中から「放蕩王子」と蔑まれる第二王子・エルフレードだった。
「虫除けの婚約者になってほしい」というエルの言葉を受け、彼の別邸で暮らすことになったユナ。しかし、彼女には無自覚の天才調合師だった。
ユナがその才能を現すたび、エルの瞳は暗く濁り、独占欲を剥き出しにしていく。
「誰にも見せないで。君の価値に、世界が気づいてしまうから」
これは、あまりに純粋な天才少女と、彼女を救うふりをして世界から隠し、自分の檻に閉じ込めようとする「猛禽」な王子の物語。
フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜
羽村 美海
恋愛
【※第17回らぶドロップス恋愛小説コンテスト最終選考の結果が出たので再公開しました。改稿済みですが、キャラ名を一部変更しただけで内容に大きな変更はありません🙇♀️】
思い入れのあるレストランで婚約者に婚約破棄された挙げ句、式場のキャンセル料まで支払う羽目になった穂乃香。
帰りに立ち寄ったバーでしつこいナンパ男を撃退しようとカクテルをぶちまけるが、助けに入ってきた男の優れた見目に見蕩れてしまった穂乃香はそのまま意識を手放してしまう。
目を覚ますと、見目の優れた男とホテルにいるというテンプレ展開が待ち受けていたばかりか、紳士だとばかり思っていた男からの予期せぬ変態発言により思いもよらない事態に……!
数ヶ月後、心機一転転職した穂乃香は、どういうわけか社長の第二秘書に抜擢される。
驚きを隠せない穂乃香の前に社長として現れたのは、なんと一夜を共にした、あの変態男だった。
しかも、穂乃香の醸し出す香りに一目惚れならぬ〝一嗅ぎ惚れ〟をしたという社長から、いきなりプロポーズされて、〝業務の一環としてのビジネス婚〟に仕方なく応じたはずが……、驚くほどの誠実さと優しさで頑なだった心を蕩かされ、甘い美声と香りに惑わされ、時折みせるギャップと強引さで熱く激しく翻弄されてーー
嗅覚に優れた紳士な俺様社長と男性不信な生真面目秘書の遺伝子レベルで惹かれ合う極上のラブロマンス!
.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜
*竹野内奏(タケノウチカナタ)32歳・働きたい企業ランキングトップを独占する大手総合電機メーカー「竹野内グループ」の社長・海外帰りの超絶ハイスペックなイケメン御曹司・優れた嗅覚の持ち主
*葛城穂乃香(カツラギホノカ)27歳・男性不信の生真面目秘書・過去のトラウマから地味な装いを徹底している
.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜
※この作品はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません
.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・゚
✧エブリスタ様にて初公開23.1.9✧
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる