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9章「開かれた外交、狂気の戦場」
秘められた冒涜の書
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―――――
一方、ヒビキが支配権を獲った【巨人墓場】では変化が起きていた。
最も奥のボス部屋で、あの後目を覚ました青年は篝火の傍で座り込んでいた。傍には魔杖を持ったシスターが立っている。しかし相変わらず彼の目は黒い布で隠されているので表情は見えない。
鎖の剣の影響か、巨人墓場をうろつくモンスターのほとんどは黒く染まっており数体の上位モンスターが新たに風を操る力を得ていた。
ただでさえ難易度が高かった場所が更に難しくなったわけだが、その分宝箱やドロップアイテムなどのリターンも豪華になっているためより力試し目的のパーティが来るようになったと。
――外は相変わらずの白一色の雪景色。その中に避難所を示す紫の街灯がちらほらと鮮明な光を灯している。その風景を前に、二人で相談を始める。
『一番近い場所、と言っていたが具体的にはどこなんだ?』
「んーと」
貸してもらった地図を広げる。
「ここからだいたい北東にある”絶命の地”と”白霧の歩哨所”の丁度中間ぐらいか。…不吉だなぁおい」
地図には地名まできっちり詳しく書かれている。
『遮蔽物とか地形、邪魔になるものは無いのか?』
「無いみたいだな。吹雪に注意して進もうぜ」
街道のある場所は街道に沿って進み、何もない場所では雪上に足跡を刻みながらただただ北東へ進む。
それにしても寒い。別に耐えられない程ではないが、寒さが気にかかる程度には身に染みる。なので早めに済ませてしまおうと、今は軽く走っている。
身を切る風は冷たく、いつもついてきて貰っている数体の鳥型風精霊たちもあまり元気がない。それに反してスコールが纏う血晶破片の群は、雪と太陽の光を反射してより美しく煌いている。
『前、モンスターがいる』
「…あ、マジだ」
【索敵】を確認したところ、確かに前方にモンスターの反応があった。未遭遇だからか???表示である。
「じゃ、やりますか」
右の風刀だけを抜き、特定の銀の軌跡を描きだす。
―風属性刀術系戦技スキル【烈風の封・残り風】。
風が海の波さながらに逆巻き、波打ってその中にモンスターたちー氷華虎と凍明鳥等々氷属性メインーを閉じ込め、その中に混じっていた鎌鼬の風がえげつない程に切り刻む。それが止まないうちにヒビキは勢いよく飛び込み、直接的にも容赦なく刃を叩き込む。剣さばきは全くの我流だが、いつの間にやら最も無駄なく敵の急所を狙うように整えられており、芯のぶれない素早い斬撃が叩き付けられる。
それに耐えきれずモンスターの群れは数分も持たず塵と消えた。
「じゃ、行こうぜ」
非常にいい笑顔である。
『一切合切容赦というものを知らないのかお前は…今更か』
「そりゃ今更だ」
短く笑い、先を急ぐ。先ほどから風が荒れる前兆のような冷たく痛い風がふいているのだ。もしかすると猛吹雪が来るかもしれない。近くの紫色の街灯を探し当て、根元に顔を覗かせるマンホールに似た扉を開けて中へ飛び込む。
…
――中は幾つかのパーティが十分入れる程広く、炎精石と光精石を応用した暖炉に酷似した設備、水精石が埋め込まれた小さな泉など、数日くらいなら軽くしのげそうである。
「……案外しっかりしてんな」
『……』
相変らずの精霊石の万能っぷりに軽く舌を巻き、見たことのないデザインの設備を興味深げに見て回る。その中、妙な本を見つけた。紺色一色の背表紙に、銀の箔押しでこれまた奇妙な文字が押されている。
「……………?」
開いてみると、表紙の文字の奇妙さとは裏腹に中身の言語は普通に公用語であった。
ただ、文字欠けが酷い。
―――深海の 底、昏 の冒涜 。
混沌と邪を崇める彼の都、その背徳故に破滅を む。
都は滅びれど、 れ 邪神 だ滅 ず。
冒 酷な彼の都の 王、 が為と深 れる未 を見た為に地上 神を らう。
しか 、未だ喰ら き いないと わ る。
、暗い 墓 最奥に、彼の神 いう。
巨 なる 不死人は、い 醒め 分か ぬ 復 たもの。故に 彼 都、生 変 り 指に深 憎悪を抱く。助 ること 無く、死 かけた心を 鎖し、 命 縛られ、修 と共に。
誰 も頼れな 。 ろうとし い。 れ故、邪神の生 出した の深みに溺れ 戻 てこ かった者が幾人も も関 らず。
…悪夢は巡り、そして終わらないだろう!
薄く黄ばんだページに点々と赤黒い血の痕がついている。ページの最後に描かれてあった紋章からは、言いようもない気味の悪い魔力が感じられた。そっと本を閉じる。
吹き荒れ始めた猛吹雪の音をBGMに、二人で部屋の中を更に探索する。幸い数か所に設置された小さな暖炉の熱で、寒さは感じなかった。
『何を読んだんだ?』
「……………神話の一部っぽかった。スコールは何か知っていたりするのか?」
再び本を開き、先ほどの一節を指し示す。
『………………後半の部分なら』
「…そうか、じゃその時になったら教えてくれ。……スコールは何か見つけたか?」
本はそっと元の場所に返しておく。
『…………………幾つか奇妙な物体はあった』
そういったスコールが差し出してきた手には、確かに奇妙な物体が載っていた。
ヒビキがあの後掛け直した竜眼晶のペンダントのような、中に眼球が埋め込まれた水晶が二つ。片方はペンダントの装飾も施されている。もう片方の瞳孔は崩れ、蕩けておりそれが異様さを醸し出していた。
「確かに奇妙な物体だな」
ヒビキが首を傾げ、瞳孔の崩れた方の眼晶を手に取る。ヒビキと同じ鮮血色の瞳だが、瞳孔が崩れ蕩けたその眼は何かに酔ってしまった者の眼の様だ。よく観察しようと眼晶を天井の光に翳そうとするが、異常はそこで起こった。
唐突に現れるブラックホールのような大きな穴。
そこから延びた真っ黒い手が、ヒビキの眼晶を持っていた方の腕をがっちり掴んだ。
そして引きずり込もうとしてくる。
「!?何だ!?」
『……!?』
手は更に増え、ヒビキだけでなくスコールも引き込もうとぐいぐいと引っ張ってくる。その手の膂力はとんでもなく高く、まともに逆らえない。
「…………仕方ねぇ!頼んだぞお前ら」
『………いったいこれは…』
数秒後、完全に黒い手は二人を穴に引きずり込んだ。それを確認したかのように、穴はすぐ閉じる。
「……ッ!」
黒い穴に引きずり込まれた途端、呼吸が上手くできなくなる。まるで海の中であるかのような黒い空間で、ごぼり、と呼吸器から空気が漏れた音が鳴った後意識は途切れた。
そんな中、瞳孔が崩れ蕩けた眼晶だけが不気味な光を放っていた。
…
―――まだ一般には開放されていない種族領、海民族領。入り口の街である陸地の種族街、シーディーネは開放されているが、海民族領のほとんどの街は海沿いか海の底にある。
そんな中でも禁忌とされる地、背徳と邪の廃都ルルイエ。神話の一部で語られる冒涜の都だった地である。そこの最も最寄りにある海底都市、アカシア。
そこから海中に漁に出ていたある海民族の船が、突如ルルイエ近くに真っ黒な大穴が開いたのを目撃した。大穴はすぐ閉じたが、その穴から吐き出されるように人が二人出てきたので一応助け、アカシアの街に連れて帰って街長に知らせてきたという。
見たことのない種族だというので、街長の家には大勢の海民族が集まっていた。
「………これは…地上の者か。で、この水晶は……悪夢ゆかりの物だな」
魔杖を持った中年程の外見をした海民族――街長が映像ープレイヤー間ではスクリーンショットと呼ばれるもの――を前にして言う。
黒い穴に満ちた正体不明の水で溺れて意識を失っているヒビキとスコール、手に握られた眼晶。
「悪夢由来の物品か…魔人族辺りが色々持っていると聞くが、その内の一つだな。彼らが目覚めたら訊いてみるか」
「よいのですか!?ルルイエの王の信奉者かもしれませんよ!?」
「それは無いな。ほら見てみよ」
指差したのは、映像に映ったヒビキの額。黒髪の隙間からは、紫がかった赤色の暗月の紋章がはっきりと見える。
「ルルイエの王の誓約者であれば、この紋章は絶対に刻まぬさ」
ルルイエの邪神・《沈黙の谷》と暗月は敵対関係にある。特に暗月側はルルイエの王の誓約者と《沈黙の谷》の誓約者に遭った途端憎悪を滾らせて殺しにかかるという。
「ですが…」
「それにお前も聞いたことはあるだろう?地上へ行った者たちから言伝てで囁かれる魔導機人族の噂を」
「まさか……彼らはとっくに滅んだはずでは」
「ま、それも本人たちに訊けばわかる話だろう」
そういうことで、と、街長は一旦住民たちを帰らせた。
…
―――…悪夢。ルルイエとはまた別の体系の都市が発生させた病と関係する現夢。
昔その都市の人々は神に憧れを抱き、血に依って少しでも近づこうとした。その結果、異形の血に対する抵抗か獣と化す風土病が蔓延することとなった。
ヒビキたちが手に入れた瞳の水晶は、その悪夢の遺物。
血に酔い、悪夢に呑み込まれた狩る者の瞳の瞳孔は崩れ蕩ける。そして二度と帰ってくることはないとか。
それぞれ獣を狩りつくした後、僅かに外の世界に出た狩る者たちは大陸全体に散らばった。狩る者たちの血の系譜は今でも非常に少ないながらもつながっており、その悉くが異様に高い能力を持っていたが短命で散ったという。
鮮血色の瞳を系譜の証として持ち、その瞳は戦うときにより紅く輝く。
一方、ヒビキが支配権を獲った【巨人墓場】では変化が起きていた。
最も奥のボス部屋で、あの後目を覚ました青年は篝火の傍で座り込んでいた。傍には魔杖を持ったシスターが立っている。しかし相変わらず彼の目は黒い布で隠されているので表情は見えない。
鎖の剣の影響か、巨人墓場をうろつくモンスターのほとんどは黒く染まっており数体の上位モンスターが新たに風を操る力を得ていた。
ただでさえ難易度が高かった場所が更に難しくなったわけだが、その分宝箱やドロップアイテムなどのリターンも豪華になっているためより力試し目的のパーティが来るようになったと。
――外は相変わらずの白一色の雪景色。その中に避難所を示す紫の街灯がちらほらと鮮明な光を灯している。その風景を前に、二人で相談を始める。
『一番近い場所、と言っていたが具体的にはどこなんだ?』
「んーと」
貸してもらった地図を広げる。
「ここからだいたい北東にある”絶命の地”と”白霧の歩哨所”の丁度中間ぐらいか。…不吉だなぁおい」
地図には地名まできっちり詳しく書かれている。
『遮蔽物とか地形、邪魔になるものは無いのか?』
「無いみたいだな。吹雪に注意して進もうぜ」
街道のある場所は街道に沿って進み、何もない場所では雪上に足跡を刻みながらただただ北東へ進む。
それにしても寒い。別に耐えられない程ではないが、寒さが気にかかる程度には身に染みる。なので早めに済ませてしまおうと、今は軽く走っている。
身を切る風は冷たく、いつもついてきて貰っている数体の鳥型風精霊たちもあまり元気がない。それに反してスコールが纏う血晶破片の群は、雪と太陽の光を反射してより美しく煌いている。
『前、モンスターがいる』
「…あ、マジだ」
【索敵】を確認したところ、確かに前方にモンスターの反応があった。未遭遇だからか???表示である。
「じゃ、やりますか」
右の風刀だけを抜き、特定の銀の軌跡を描きだす。
―風属性刀術系戦技スキル【烈風の封・残り風】。
風が海の波さながらに逆巻き、波打ってその中にモンスターたちー氷華虎と凍明鳥等々氷属性メインーを閉じ込め、その中に混じっていた鎌鼬の風がえげつない程に切り刻む。それが止まないうちにヒビキは勢いよく飛び込み、直接的にも容赦なく刃を叩き込む。剣さばきは全くの我流だが、いつの間にやら最も無駄なく敵の急所を狙うように整えられており、芯のぶれない素早い斬撃が叩き付けられる。
それに耐えきれずモンスターの群れは数分も持たず塵と消えた。
「じゃ、行こうぜ」
非常にいい笑顔である。
『一切合切容赦というものを知らないのかお前は…今更か』
「そりゃ今更だ」
短く笑い、先を急ぐ。先ほどから風が荒れる前兆のような冷たく痛い風がふいているのだ。もしかすると猛吹雪が来るかもしれない。近くの紫色の街灯を探し当て、根元に顔を覗かせるマンホールに似た扉を開けて中へ飛び込む。
…
――中は幾つかのパーティが十分入れる程広く、炎精石と光精石を応用した暖炉に酷似した設備、水精石が埋め込まれた小さな泉など、数日くらいなら軽くしのげそうである。
「……案外しっかりしてんな」
『……』
相変らずの精霊石の万能っぷりに軽く舌を巻き、見たことのないデザインの設備を興味深げに見て回る。その中、妙な本を見つけた。紺色一色の背表紙に、銀の箔押しでこれまた奇妙な文字が押されている。
「……………?」
開いてみると、表紙の文字の奇妙さとは裏腹に中身の言語は普通に公用語であった。
ただ、文字欠けが酷い。
―――深海の 底、昏 の冒涜 。
混沌と邪を崇める彼の都、その背徳故に破滅を む。
都は滅びれど、 れ 邪神 だ滅 ず。
冒 酷な彼の都の 王、 が為と深 れる未 を見た為に地上 神を らう。
しか 、未だ喰ら き いないと わ る。
、暗い 墓 最奥に、彼の神 いう。
巨 なる 不死人は、い 醒め 分か ぬ 復 たもの。故に 彼 都、生 変 り 指に深 憎悪を抱く。助 ること 無く、死 かけた心を 鎖し、 命 縛られ、修 と共に。
誰 も頼れな 。 ろうとし い。 れ故、邪神の生 出した の深みに溺れ 戻 てこ かった者が幾人も も関 らず。
…悪夢は巡り、そして終わらないだろう!
薄く黄ばんだページに点々と赤黒い血の痕がついている。ページの最後に描かれてあった紋章からは、言いようもない気味の悪い魔力が感じられた。そっと本を閉じる。
吹き荒れ始めた猛吹雪の音をBGMに、二人で部屋の中を更に探索する。幸い数か所に設置された小さな暖炉の熱で、寒さは感じなかった。
『何を読んだんだ?』
「……………神話の一部っぽかった。スコールは何か知っていたりするのか?」
再び本を開き、先ほどの一節を指し示す。
『………………後半の部分なら』
「…そうか、じゃその時になったら教えてくれ。……スコールは何か見つけたか?」
本はそっと元の場所に返しておく。
『…………………幾つか奇妙な物体はあった』
そういったスコールが差し出してきた手には、確かに奇妙な物体が載っていた。
ヒビキがあの後掛け直した竜眼晶のペンダントのような、中に眼球が埋め込まれた水晶が二つ。片方はペンダントの装飾も施されている。もう片方の瞳孔は崩れ、蕩けておりそれが異様さを醸し出していた。
「確かに奇妙な物体だな」
ヒビキが首を傾げ、瞳孔の崩れた方の眼晶を手に取る。ヒビキと同じ鮮血色の瞳だが、瞳孔が崩れ蕩けたその眼は何かに酔ってしまった者の眼の様だ。よく観察しようと眼晶を天井の光に翳そうとするが、異常はそこで起こった。
唐突に現れるブラックホールのような大きな穴。
そこから延びた真っ黒い手が、ヒビキの眼晶を持っていた方の腕をがっちり掴んだ。
そして引きずり込もうとしてくる。
「!?何だ!?」
『……!?』
手は更に増え、ヒビキだけでなくスコールも引き込もうとぐいぐいと引っ張ってくる。その手の膂力はとんでもなく高く、まともに逆らえない。
「…………仕方ねぇ!頼んだぞお前ら」
『………いったいこれは…』
数秒後、完全に黒い手は二人を穴に引きずり込んだ。それを確認したかのように、穴はすぐ閉じる。
「……ッ!」
黒い穴に引きずり込まれた途端、呼吸が上手くできなくなる。まるで海の中であるかのような黒い空間で、ごぼり、と呼吸器から空気が漏れた音が鳴った後意識は途切れた。
そんな中、瞳孔が崩れ蕩けた眼晶だけが不気味な光を放っていた。
…
―――まだ一般には開放されていない種族領、海民族領。入り口の街である陸地の種族街、シーディーネは開放されているが、海民族領のほとんどの街は海沿いか海の底にある。
そんな中でも禁忌とされる地、背徳と邪の廃都ルルイエ。神話の一部で語られる冒涜の都だった地である。そこの最も最寄りにある海底都市、アカシア。
そこから海中に漁に出ていたある海民族の船が、突如ルルイエ近くに真っ黒な大穴が開いたのを目撃した。大穴はすぐ閉じたが、その穴から吐き出されるように人が二人出てきたので一応助け、アカシアの街に連れて帰って街長に知らせてきたという。
見たことのない種族だというので、街長の家には大勢の海民族が集まっていた。
「………これは…地上の者か。で、この水晶は……悪夢ゆかりの物だな」
魔杖を持った中年程の外見をした海民族――街長が映像ープレイヤー間ではスクリーンショットと呼ばれるもの――を前にして言う。
黒い穴に満ちた正体不明の水で溺れて意識を失っているヒビキとスコール、手に握られた眼晶。
「悪夢由来の物品か…魔人族辺りが色々持っていると聞くが、その内の一つだな。彼らが目覚めたら訊いてみるか」
「よいのですか!?ルルイエの王の信奉者かもしれませんよ!?」
「それは無いな。ほら見てみよ」
指差したのは、映像に映ったヒビキの額。黒髪の隙間からは、紫がかった赤色の暗月の紋章がはっきりと見える。
「ルルイエの王の誓約者であれば、この紋章は絶対に刻まぬさ」
ルルイエの邪神・《沈黙の谷》と暗月は敵対関係にある。特に暗月側はルルイエの王の誓約者と《沈黙の谷》の誓約者に遭った途端憎悪を滾らせて殺しにかかるという。
「ですが…」
「それにお前も聞いたことはあるだろう?地上へ行った者たちから言伝てで囁かれる魔導機人族の噂を」
「まさか……彼らはとっくに滅んだはずでは」
「ま、それも本人たちに訊けばわかる話だろう」
そういうことで、と、街長は一旦住民たちを帰らせた。
…
―――…悪夢。ルルイエとはまた別の体系の都市が発生させた病と関係する現夢。
昔その都市の人々は神に憧れを抱き、血に依って少しでも近づこうとした。その結果、異形の血に対する抵抗か獣と化す風土病が蔓延することとなった。
ヒビキたちが手に入れた瞳の水晶は、その悪夢の遺物。
血に酔い、悪夢に呑み込まれた狩る者の瞳の瞳孔は崩れ蕩ける。そして二度と帰ってくることはないとか。
それぞれ獣を狩りつくした後、僅かに外の世界に出た狩る者たちは大陸全体に散らばった。狩る者たちの血の系譜は今でも非常に少ないながらもつながっており、その悉くが異様に高い能力を持っていたが短命で散ったという。
鮮血色の瞳を系譜の証として持ち、その瞳は戦うときにより紅く輝く。
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