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2章「鳥人族(ディーヴァ)の暮らす都市」
賊のアジトにて
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壁や障害物の陰に隠れながら、出会う巡回兵を気づかれる前にカイやヒビキ、スコールが順番に投擲で殺す。
原則、この世界の住人たちは死ぬと二度と復活できない。しかし、周りの壁や床には赤黒い跡がそこらじゅうにあり、薄く血の香りが辺りに満ちている。
それを感じたゆえに、手加減しようなんていう情けは3人の心から綺麗に消え去っていた。
『ちまちま殺っていくのは性に合わねぇな』
『我慢してください』
『親玉がどこかにいるはずだ。辿り着けば思い切りやればいい』
足音を殺しながら―といってもヒビキの黒軍靴には「無音走術」の特性があるので何も意識せずとも歩行&走行時に音は全くたたないが―とにかく先へ。先へ。
道は【直感】と【魔力探知波】で得たマップで確認済みだ。
―やがて、中心部近くまで辿り着いた。
『…………歌声?』
『微かですけど…聞こえますね』
『……間違いない、か?』
微かに聞こえる、掠れて今にも消えそうな誰かの歌声。それに合わせて、空気に融ける魔力が僅かに震えるのが感じられる。
『…間違いない、ですね』
『…行ってみようぜ』
その歌声が聞こえる方へと歩を進める。
やがて、大広間らしき部屋に出た。空気に溶け込む血の香りは各段に濃くなり、床には巨大な白く発光する魔法陣が描かれ、その魔法陣の中央には不気味な暗赤色の塔がたっている。
そしてその塔の天辺には、真っ黒な炎が激しく燃えていた。
『黒い炎…呪炎?』
『もしそうならあまり触りたくはないですね』
『で、どうすればいいんだ?』
『お、なんかプレートがあるぜ』
呪炎は粘液のような特性も持つので、消火が困難なのだ。故に攻撃術としては有用なものの嫌われている。
ヒビキが塔に付けられた白い小さなプレートを見つけた。
―『邪炎の片塔:聖なる力でのみ破壊することができる蝕みの塔。全てで6つ存在する。』
そしてその塔の中に、【気配探知】のレーダーに引っかかる反応がある。
『んー?』
訝しく思ったカイが塔に触れた瞬間。
轟音が鳴り響き、床の魔法陣が激しく明滅する。
尋常ではない雰囲気を察知して3人は全力で魔法陣の外側へと飛び退いた。
数秒かけて床の魔法陣から、奇妙な石製のゴーレムの様なものが現れた。塔も中に取り込まれてしまっているようで、ゴーレムの頭の天辺には黒い炎が燃え盛っている。
『な、何だ!?』
『……!』
【解析】で分析した結果、こんな表示が見て取れた。
―【蝕魔神を崇拝せし盗賊団の長 イーズ Lv625】
ゴーレムは自分からは攻めかかってこないらしい。
『長?こんなのが?』
『ゴーレム、ですよね?』
『…そもそもゴーレムが長やれるのか…?』
『でも見た目はそうだろ』
『というかさ、中の人どうすんの?』
『聖なる力でのみ、ってとこが重要だな』
『蝕みって、蝕魔?』
『それならあれが使えるな。スコール、このスキル持ってるか?』
そういったヒビキが宙に翳した手に、純白の炎が音もなく燃え上がる。不思議なことにその炎からは熱を感じない。
『…持っているが』
『なら大丈夫だ。俺たちの火力なら行けるだろ』
『僕たちはバ火r…あ、これは今更ですか』
『今更だ。あと、蝕魔神って…』
『…現実で言うところの悪魔崇拝みたいなもんだろうな』
蝕魔たちの主であり、蝕魔たちは生まれた瞬間から蝕魔神を復活させるために動く。全部で3体いるのだが、復活するにしても同時に複数体復活することはない。
それが設定だ。
『じゃ、そろそろあれぶっ壊しに行くか』
『燃やすんですよね?燃やすんですよね?』
『楽しそうだなカイ。じゃ、息を合わせて、行くか?』
『近づく必要もありませんですからね』
『、行くぞ?』
そう言ったヒビキの掛け声に合わせて、3人の手から純白の炎が燃え上がった。
―炎・聖属性複合協力専用スキル【浄華の爆炎】。
その純白の炎には通常の炎のような熱も、ものを焼く力もない。が、蝕魔とそれに類するものにとっては猛毒の炎に等しい攻撃力を持つ。
ゴーレムは読み通り、華の様に爆発して咲き誇る純白の炎に焼かれて溶け崩れていく。
十数秒ほど経つと、ゴーレムと暗赤色の塔は完璧に溶けて崩れて消えていた。
中から、灰色がかった緑色の髪の青年が転げるようにして床に倒れる。
意識を失っているようで、その目は閉じられている。
『こいつだな』
『街に送ってあげるまででしょう』
『同感だ』
ヒビキが彼を背負う。
『ちょっと待ってください』
『んあ?何だよ、カイ』
『こんな危ない組織のアジトですからね…こうしてしまった方がいいかと』
そう言ったカイが、魔法スキルで床に火をつける。
火は瞬く間に炎となり、建物全体を侵そうと駆け巡り始める。
『なるほど』
『確かにな』
『じゃ、転移しますね』
炎が完全に回りきる前に、3人は転移する。
―転移したのは、リーナの待つ広場の隅。
すぐに路地裏に入り、【隠蔽】をかける。
「ディーヴァ様ぁ…!」
リーナは泣き出しそうな勢いだ。
「さっき見たところじゃ魔力枯渇だけだったし、まぁ、大丈夫だろ」
「一発張り手してみます?」
「やめとけ」
『お前らの攻撃力じゃ手加減しない限り、張り手一発でも(相手が)瀕死になるんだからやめておけ』
「あーあと盗賊のやつらのアジトは多分今頃灰になってるはずだよ」
「火つけておいたからな」
「ありがとうございます。これで安心できます!」
リーナがそう言い終わるかどうかのところで、青年が目を覚ました。
「僕としたことが、賊を察知できなかったなんて…不覚だったよ」
「お、大丈夫か」
「おかげ様で。本当に助かったよ」
彼の双眸は見る角度によって色の組み合わせがころころ違って見える珍しい色をしていた。
「そちらの彼は…『最も古き』血晶精霊かな?そして君たち2人は…」
「カーディナルだ」
「あぁ…魔導機人ね」
彼は独りで頷いている。
「あ、リーナ、確かホールに行かなきゃだめなんだよね。急ぐよ?」
「は…はいっ!」
「君たちは僕についてきて。お礼みたいなものだから」
そういうと彼はリーナを連れて街道を走り始めた。3人は言われる通り走ってついていく。
やがてついたのは美しい装飾がされた大きな建物だった。
「では、私はこちらから入りますね」
「わかった。僕らはこっちから行くよ」
建物の脇にこれまた綺麗な装飾画がされた大きめのタイルがあり、彼はそれを持ちあげてどかす。
―そうして現れたのは地下へと続く階段だった。
原則、この世界の住人たちは死ぬと二度と復活できない。しかし、周りの壁や床には赤黒い跡がそこらじゅうにあり、薄く血の香りが辺りに満ちている。
それを感じたゆえに、手加減しようなんていう情けは3人の心から綺麗に消え去っていた。
『ちまちま殺っていくのは性に合わねぇな』
『我慢してください』
『親玉がどこかにいるはずだ。辿り着けば思い切りやればいい』
足音を殺しながら―といってもヒビキの黒軍靴には「無音走術」の特性があるので何も意識せずとも歩行&走行時に音は全くたたないが―とにかく先へ。先へ。
道は【直感】と【魔力探知波】で得たマップで確認済みだ。
―やがて、中心部近くまで辿り着いた。
『…………歌声?』
『微かですけど…聞こえますね』
『……間違いない、か?』
微かに聞こえる、掠れて今にも消えそうな誰かの歌声。それに合わせて、空気に融ける魔力が僅かに震えるのが感じられる。
『…間違いない、ですね』
『…行ってみようぜ』
その歌声が聞こえる方へと歩を進める。
やがて、大広間らしき部屋に出た。空気に溶け込む血の香りは各段に濃くなり、床には巨大な白く発光する魔法陣が描かれ、その魔法陣の中央には不気味な暗赤色の塔がたっている。
そしてその塔の天辺には、真っ黒な炎が激しく燃えていた。
『黒い炎…呪炎?』
『もしそうならあまり触りたくはないですね』
『で、どうすればいいんだ?』
『お、なんかプレートがあるぜ』
呪炎は粘液のような特性も持つので、消火が困難なのだ。故に攻撃術としては有用なものの嫌われている。
ヒビキが塔に付けられた白い小さなプレートを見つけた。
―『邪炎の片塔:聖なる力でのみ破壊することができる蝕みの塔。全てで6つ存在する。』
そしてその塔の中に、【気配探知】のレーダーに引っかかる反応がある。
『んー?』
訝しく思ったカイが塔に触れた瞬間。
轟音が鳴り響き、床の魔法陣が激しく明滅する。
尋常ではない雰囲気を察知して3人は全力で魔法陣の外側へと飛び退いた。
数秒かけて床の魔法陣から、奇妙な石製のゴーレムの様なものが現れた。塔も中に取り込まれてしまっているようで、ゴーレムの頭の天辺には黒い炎が燃え盛っている。
『な、何だ!?』
『……!』
【解析】で分析した結果、こんな表示が見て取れた。
―【蝕魔神を崇拝せし盗賊団の長 イーズ Lv625】
ゴーレムは自分からは攻めかかってこないらしい。
『長?こんなのが?』
『ゴーレム、ですよね?』
『…そもそもゴーレムが長やれるのか…?』
『でも見た目はそうだろ』
『というかさ、中の人どうすんの?』
『聖なる力でのみ、ってとこが重要だな』
『蝕みって、蝕魔?』
『それならあれが使えるな。スコール、このスキル持ってるか?』
そういったヒビキが宙に翳した手に、純白の炎が音もなく燃え上がる。不思議なことにその炎からは熱を感じない。
『…持っているが』
『なら大丈夫だ。俺たちの火力なら行けるだろ』
『僕たちはバ火r…あ、これは今更ですか』
『今更だ。あと、蝕魔神って…』
『…現実で言うところの悪魔崇拝みたいなもんだろうな』
蝕魔たちの主であり、蝕魔たちは生まれた瞬間から蝕魔神を復活させるために動く。全部で3体いるのだが、復活するにしても同時に複数体復活することはない。
それが設定だ。
『じゃ、そろそろあれぶっ壊しに行くか』
『燃やすんですよね?燃やすんですよね?』
『楽しそうだなカイ。じゃ、息を合わせて、行くか?』
『近づく必要もありませんですからね』
『、行くぞ?』
そう言ったヒビキの掛け声に合わせて、3人の手から純白の炎が燃え上がった。
―炎・聖属性複合協力専用スキル【浄華の爆炎】。
その純白の炎には通常の炎のような熱も、ものを焼く力もない。が、蝕魔とそれに類するものにとっては猛毒の炎に等しい攻撃力を持つ。
ゴーレムは読み通り、華の様に爆発して咲き誇る純白の炎に焼かれて溶け崩れていく。
十数秒ほど経つと、ゴーレムと暗赤色の塔は完璧に溶けて崩れて消えていた。
中から、灰色がかった緑色の髪の青年が転げるようにして床に倒れる。
意識を失っているようで、その目は閉じられている。
『こいつだな』
『街に送ってあげるまででしょう』
『同感だ』
ヒビキが彼を背負う。
『ちょっと待ってください』
『んあ?何だよ、カイ』
『こんな危ない組織のアジトですからね…こうしてしまった方がいいかと』
そう言ったカイが、魔法スキルで床に火をつける。
火は瞬く間に炎となり、建物全体を侵そうと駆け巡り始める。
『なるほど』
『確かにな』
『じゃ、転移しますね』
炎が完全に回りきる前に、3人は転移する。
―転移したのは、リーナの待つ広場の隅。
すぐに路地裏に入り、【隠蔽】をかける。
「ディーヴァ様ぁ…!」
リーナは泣き出しそうな勢いだ。
「さっき見たところじゃ魔力枯渇だけだったし、まぁ、大丈夫だろ」
「一発張り手してみます?」
「やめとけ」
『お前らの攻撃力じゃ手加減しない限り、張り手一発でも(相手が)瀕死になるんだからやめておけ』
「あーあと盗賊のやつらのアジトは多分今頃灰になってるはずだよ」
「火つけておいたからな」
「ありがとうございます。これで安心できます!」
リーナがそう言い終わるかどうかのところで、青年が目を覚ました。
「僕としたことが、賊を察知できなかったなんて…不覚だったよ」
「お、大丈夫か」
「おかげ様で。本当に助かったよ」
彼の双眸は見る角度によって色の組み合わせがころころ違って見える珍しい色をしていた。
「そちらの彼は…『最も古き』血晶精霊かな?そして君たち2人は…」
「カーディナルだ」
「あぁ…魔導機人ね」
彼は独りで頷いている。
「あ、リーナ、確かホールに行かなきゃだめなんだよね。急ぐよ?」
「は…はいっ!」
「君たちは僕についてきて。お礼みたいなものだから」
そういうと彼はリーナを連れて街道を走り始めた。3人は言われる通り走ってついていく。
やがてついたのは美しい装飾がされた大きな建物だった。
「では、私はこちらから入りますね」
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建物の脇にこれまた綺麗な装飾画がされた大きめのタイルがあり、彼はそれを持ちあげてどかす。
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