宵闇王と精霊の竜刀

火の無い灰

文字の大きさ
33 / 37
5章【終わりは始まり、始まりは終わり】

最終章「前哨」

しおりを挟む
恐らく「戦争」の中で最後になるかもしれない、日が昇った。

禁断の荒野にいるレイは、黒っぽい色合いの土を盛大に爆散させながら目を凝らし、闇のポータルの魔力反応を探す。
ポータル系のアイテムは普通地面の中に埋めるモノなので、視認では非常に見つけにくい。
故に、自分の魔力を張り巡らせながら、目でも探さないといけないほど見つかりにくいのだ。
「…みーつけたっ。…これは靄があったままじゃ本当に見つからなかっただろうな。靄が無いからこんなにわかり易いんだろうし」
地面の、所々から濃い暗紫色のオーラが立ち上っているのが微かに見える。
レイが魔法で吹き飛ばす前の靄が満ちた荒野だったなら、見つけるのは至難だっただろう。
地面に埋まっている、ガラスの正方体の中に赤黒い色の水晶が輝くポータルを感知した瞬間、その方向へ刀を勢いよく突き出す。
カシャン、という音をたててポータルが割れ、た瞬間、また走り出す。
「……………………」
不意に立ち止まり、目を閉じる。
魔力を辺り一面に細く、縦横無尽に張り巡らせて、ポータルの位置を2次元で察知する。
そして、そのうちの1つのある方向へと。
「ハアッ!!」
思い切り刀を突き出した。
本来なら、全く意味の無い行動のはずだが。
竜刀によるがそのまま威力を全く減じずに、まるで狙撃銃で撃ったかの様に、射線上にあったポータルの1つを粉々に破壊した。
風属性魔法【突撃飛来】。【斬撃飛来】と同じく、特定の攻撃種類の射程範囲を伸ばす魔法である。
まあ、込められた魔力が通常の比ではないため、射程強化も洒落シャレにならないレベルになっているが。
そんな調子でかれこれ1時間近くが経ったころ。

「………何故こんなところにがあるんだよ…!?」
レイの視界に入ったのは、虹色に鈍く光っている、荒削りされた水晶の柱。そう。見た目は、だった。
そう。ぱっと見は見分けがつかない。その手の魔法を併用していてもだ。
レイが思わずその柱に手を伸ばしかけ、…………………………………あと数ミリで触れる、ところで。空の方から、新たな声が響いた。
《――――だめだ!それは柱状石じゃない、だ!》
「…うわっ!?」
本当にギリギリのところでその声に驚いて手を引っ込めた前に、飛び込む様に空から現れた影。
虹晶竜ヨルムンガルド!?」
黒い髪、瞳孔が縦裂けになった銀色の瞳、そして、首元などの所々に伺えるのは虹色の竜鱗。
その姿は虹晶竜ヨルムンガルドに間違いなかった。
「どういうことだ?」
レイが問うと、彼は答えた。
《言葉通りだ。恐らく偽装魔法を掛けたのは宵闇王だから、並大抵じゃ見破れないと思う》
「(うわ――…)暗黒石って何だ?聞いたことないんだが」
《闇魔界にある石で、火をつけると永遠に燃え続ける石だ。何より、とても強力な闇属性魔法の触媒にできるから、ああいう柱の形をしたモノが一番危険なんだよ》
「ああ…もしかして?」
《…宵闇王が、座標的にはこの辺りの、どこかのいるってことだ》
それを聞いたレイの表情が、硬くなる。
そして、それから全て悟ったと言わんばかりの、覚悟を決めた表情に変わった。
《……もう、―――――――だぞ?それでもいいのか?》
鋭い風が吹きすさぶ中、ヨルムンガルドは少し動揺を滲ませた声で言った。
「例え―…―――だろうが、―――――――…だしな。いいんだよ」

その頃。「戦場」と呼ばれる範囲全体に、乳白色の濃密な霧が漂い始めていた。
ひんやりとした、冷気を伴いながら。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

過労死して転生したので絶対に働かないと決めたのに、何をしても才能がバレる件

やんやんつけバー
ファンタジー
過労死して異世界転生。今度こそ絶対に働かないと決めたのに、何をやっても才能がバレてしまう——。農村で静かに暮らすはずが、魔力、農業、医療……気づけば誰も放っておかない。チートで穏やか系の異世界スローライフ。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

処理中です...