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magus of argdiscus

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5:i wonder what light a boy's heart

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 電車が堰島せきしま駅に到着し、二人は駅の外へ出た。
「誰もいない? 榛原はいばらは?」
「その辺にいるよたぶん。油断しないでね、はいこれ」
「おう」
 ムーブキューブをそっけない動作で受け取る。
「たぶん、榛原は周辺調査かな。ここのデータはまだ少ないから」
「ふーん……で、いつ戻――」
「走れ!」
 言われてとっさに数歩分走る。先ほどいた場所に大きめの看板の断片が突き刺さった。
「……あ、っぶねー……」
 形は乱雑だが、断面が余りにも整いすぎている。上を見上げたが、元の看板などない。
「来たね」
 弥継が呟いた。
「……頭脳派インテリジェントか?」
「そうだね、来ないわけがないし」
 軽い調子で逸朗の問いかけに答える。
「ほらね」
 弥継が手のひらで指すと、夜闇の向こうで睨みつける少女がこちらへ歩いてくるのが見えた。
「いやあ、おかしいと思ったんですよ。ルートが変更されていたり、時期がずれていたり進行が消失しかっていたんですよね。やっぱりあんたたちだったんですね。たなまり、あれじゃ使い物にならないじゃないですか」
「よく喋るね、君は」
 若干の侮蔑を込めて弥継が言った。
「それだけが取り柄ですからね」
 相手の侮蔑に、時香は皮肉で返す。
「なあ、時香。聞きたいんだけどさ」
 逸朗が不意に問いかけた。
「はああ? なんですか」
「なんで、早実を殺したんだ?」
 震えを押さえた声で時香に問いかけるが、彼女は鼻で笑った。
「私は何もしてませんよ? まあ、データの集積は頼みましたけどね。後は勝手に潰し合いしたんじゃないですか」
disturbディスターブ!」
 その言葉が逸朗の怒りに火を付けた。走り寄りながら風のエネルギーキューブ、テンペストキューブを解放し更に加速し一気に時香に詰め寄る。
「コード、Q198A、x28A56から、パッチ変更、q128A、x46A57へ」
 何か時香が呟いた。
 その次の瞬間、逸朗の拳の軌道がずるりと逸れた。
「……?! なっん、」
「逸朗くん!! 下がれ!!」
 弥継の叫ぶ声に反応し、ステップを踏むように後ろへ下がる。ワンテンポ遅れて風エネルギーが鋭利な刃物のようになって地面に突き刺さりアスファルトを砕いた。
「RE:ムーブキューブ、かな……ずいぶん物騒な物持ち出してきたね」
 首を傾げながら、弥継の元に駆け寄る。
「扱いが面倒なんで、たなまりは使えないらしいですけどね。一応用意しといて良かったですよ」
「なあ、リムーブって何? 今さっきのただのムーブじゃないのか?」
「そうだね。あれは僕たちが扱うムーブキューブから出たデータを解析してかすめ取るやつだよ。やっかいで面倒な物だよ」
「対俺らって事?」
「……そうだね」
 一瞬の間を置いて、弥継がにっこり笑った。
「到着しました。周辺調査、完了しました」
 そのやりとりの後ろから不意に榛原が現れた。どこから来たんだと逸朗が驚いていると、時香が電柱に手を当てコードを呟いた。
 コピーされた電柱が彼らの頭上に出現、落下を始め――
「や、やばい避け、」
「アラウンド、緊急スキャン、異常をムーブします」
 一人慌てる中、榛原は眉一つ動かさず、状況そのものをムーブし電柱の落下そのものをなきものにした。
「…………ははっ、たなまりが嫌う理由がわかる気がしましたよ。反則もいいところですよ、それ」
「……榛原、めちゃくちゃ強えんじゃねえかよ……」
「彼女は非戦闘員だよ、防御しかしない」
「そうかよ」
 皮肉とも付かない笑みで返すと、ムーブキューブを握りしめ走り出した。
disディス……turbターブ!」
 叫びながら、左を出し――たように見せかけて右を出しテンペストキューブを解放する。
 しかし、意味は無かった様で時香のリムーブで逸らされてしまった。そのまま、逸らされる勢いを利用して屈み、前転してかすめ取られたエネルギーも避ける。
「フェイントかけて見たけど、意味ねえか」
「キューブの事もろくにわかってない素人がどうこう出来るとは思えねえですよ」
「んー、まあいいか。よし、一回右でフェイントかけてから左で普通に殴る!」
「心理戦ってやつですか?! 素人がそんなもの利用したって」
disturbディスターブ!」
 解放する直前、逸朗は軽く飛び上がりキューブを持った右手を背中に回し風の吹き出る方向を自分の体に向くようにし、器用にも加速した所でエネルギーの進行方向を後ろに変え、ジェット機の様に加速した。
「――ッ!?」
 そのまま一気に時香の面前まで詰め、左の拳を振りかぶる。時香が身を反らして、回避した為逸朗の攻撃は当たらずこめかみをかすめただけに留まった。
「とんだ嘘つき野郎ですね」
 時香の悪態に相手もせず、身を返してそのままもう一度右へ半回転して蹴り込みに行く、が全く狙わずに蹴りでひねりが加わった不安定な体制のままテンペストキューブを発動し、片足軸のまま蹴りとは反対の方へぐるりと回りながら時香の顔を狙わずとも当てに行く。
「というより、トンデモでたらめ野郎じゃないですか!」
 またも悪態をついて、しゃがむ事でそれらを回避する。
「逸朗くーん、危ないよ?」
 その応酬の直後、弥継がそう声を掛けてきた。
 嫌な予感がした。その予感のままに、逸朗は走った。
「オペレート、ローディング、セクションNo.118135、カテゴリT、時系座標37698b、北アメリカ西岸、呼び出しコード、678h89k、disturbディスターブ
 弥継がコードを呟き、そっと上へキューブを投げた。
 キューブは、狂ったように風エネルギーを吐き出し、周囲に異常なまでの嵐を引き起こした。
「わーお、やっぱすごいなあ、このデータ初めて使ったけど」
「連続ブリングを終了します」
 榛原の連続自動修復でそよ風程度の風しか受けなかった弥継がはしゃぐように笑う。
「……う、もう、めちゃくちゃですよ」
 擦り傷だらけの時香が動けないのか仰向けのまま地面に寝転がっている。
「ふーん、やっぱりね。君はリムーブの範囲を視認で決めてるんだね。それとデータ解析が自動だからラグが数秒でてしまう。これだけ範囲が大きいとデータ解析も座標コードも読めない」
 時香はリムーブはしたが、間に合わなかった。弥継に弱点をつかれ、広範囲の膨大なエネルギーを使用されたのだった。
「それじゃリムーブは使いこなせないよ? ちなみに榛原ならそんなもの使わなくても一瞬で相手のムーブデータ掌握するけど」
「あんたら乱暴にも程があるんですよ」
「崩壊起こしかねない改変を強行する君らに言われたくないんだけどなあ」
 嫌みのようににたりと笑う。軽い動作でムーブキューブを一つ時香の額めがけて投げ、
「カテゴリQ、disturbディスターブ
「ぐがッ……!」
 ごすりと時香の頭に衝撃が落ち、そのままぐったりと気を失った。
「一時停止していた集拾チャージを再開します。残り三十六パーセントです。終了まで七分二十秒」
 榛原がブリングの準備を再開すると、離れた場所で誰かのうめき声が聞こえ弥継はその声の方へ駆け寄った。
「……いーてえー……」
「逸朗くん、立てるかい?」
 にこにこしながら手を差し出す。
「…………、」
 逸朗はなんで楽しそうなのか、弥継をひと睨みして彼の手を借りて立ち上がった。――全身擦り傷だらけである。あまりにも範囲が広大だったので、まったく間に合わず振り回されるまま、この有様である。逸朗は自分の体の怪我の多さを不安げに見ていたのだが、
「記憶のブリングだけでよかったよね! 次の世界系線セクションに行けば、傷は跡形もないからね」
 にこにことそう言う弥継の言葉に、逸朗はぴたりと動きを止めた。
「……おい、弥継。おまえわざとじゃないよな?」
「さあね」
 逸朗の訝しげな視線も気にせず、にこっと笑った。


 旅立ちの準備が整い、逸朗は榛原のキューブに手をかざす。
「逸朗くん、向こうについたら僕らの連絡が来るまで普通に過ごしていて欲しい。無理に何かを変えようとしてはダメだからね」
 弥継が諭すように逸朗を見つめてそう言った。言われて逸朗は黙した。
「次の世界系線セクションであの子は死なない。確定している。だから無理に動かそうとしてはいけないよ」
 聞きながらも、小さな希望を見つけたいという逸朗の思いは消えなかった。いずれ消える。そう言い聞かせ、
「わかった」
 となるべく冷静であるように努めて、キューブを見つめたまま返事した。
「悪くないね。あとひとつ、君の所に出羽が来たら、すぐさま逃げろ。あの男が来たら君は何も出来ない」
「あの男は何なんだ?」
「さあ。出羽を追っている事くらいしか僕も知らない。用心しておいてね」
「……わかった」
 謎の少年の事を弥継も知らないようだ。彼は出羽を追いかけてくる。そうなると、本当に彼女は迷惑そのものじゃないか。逸朗は内心嘆息した。
「データ移行を開始します」
 榛原の合図と同時に視界が白く遠くなっていく。
――明転。


 すっと意識が明確になる。この感覚は何度味わっても慣れない。
 逸朗はまず回りを見渡した。――席田橋の陸橋。ここはいつも通る所だ。携帯電話を取り出して、日付と時間を確認する。
「夏だ……戻ってる」
 日付から記憶を辿る。その日その時自分は何をしていたか考える内に、手の中で携帯電話が震えだした。
 メールである。そそと返事を済ませ、陸橋を降りた。


 いつもの日常が、席田橋駅前のファミレスで展開される。何度繰り返していたか、何度繰り返されるんだろうか――無言で自分の前に座る早実をぼんやりと見ながら逸朗は思案した。
 二人の間に沈黙が流れる。苦痛のない沈黙。店内の誰かの動作音、厨房から小さく聞こえる食器が洗われる音、特徴のない店内音楽、客の話し声。そこに何もないが、彼らにはひと時の平穏であり、日常だった。
 ふと、逸朗が口を開いた。
「なあ、さーちゃ、俺達一緒にいない方がいいんじゃないか?」
 早実が、その言葉を聞いて明らかな怯えの色を顔に映した。
「……いやなんでもない。忘れていいよ」
 早実の表情を見て言い繕ったが、彼女の表情は晴れなかった。
――どうすればいいんだろうか。
 逸朗は、暗くなるまで彼女と会話せず、ずっと考え続けた。


時間が矢のように過ぎていく。考えても答えは出なかった。
 記憶通りにアルバイトを始め没頭し、その間も考えていた。
――自分一人家を出ればいいんだろうか。そうなると、もしかしたら早実は孤独になってしまうんじゃないんだろうか。でも、二人で出てしまうと、自分か彼女が傷つく。
 答えの出ない思案にもやもやとしながら、考え続ける。
――そもそも、俺とさーちゃの関係って何なんだ? ただの幼なじみで従兄妹? それとも何か違う。恋人でもない。そんな意識などない。……でも、大切な人なのかもしれない。
――このセクションでは自分は死なない。では、時香達が来なかったら、自分達はどうなっていたか?
 やはり答えは出なかった。まだ持っていない、とも言えた。
 逸朗は考えるのをやめず、答えを探し続けながら弥継の連絡を待った。


 秋にさしかかり、時香がキューブを預けに来ても逸朗には答えがなく家を出ようとは言わなかった。本来ならあの事故が起きている日――逸朗の記憶に準じたその日――いつものファミレスに二人はいた。
 早実と逸朗が沈黙の中、ぼんやりと過ごしていた。
 窓の外、車が過ぎていくのをブラインドの隙間から逸朗はじっと見つめていた。夏も終わり、秋の気配はすぐそこだった。
 そしてそっと切り出した。
「なあ、俺がいなくなったらどうする?」
 真っ正面を向いて、早実を見つめる。彼女の返事はない。
「俺はたぶん、いつかはあの家を出る。ずっとあの家にいるなんてあり得ないんだ。それは早実もわかるよな?」
 彼女は、逸朗の言葉にそっと頷いた。
「その、なんだ、俺はまだ未成年で何も知らないし出来ないことの方がたぶん多いんだよ。でも知っていったら、大人になるんじゃないかって。そしたら、」
「いつくはいいよね」
 早実が逸朗の言葉を遮って言った。
「いいよね、ってなんだよ……」
 戸惑いと憤りで息が詰まり掛けた。
「私、何も出来ないし」
「自分でそういうなよ」
 言ってみたが、彼女はこちらを見ようとせず先ほど自分がしていたように外の車の流れを見つめ始めた。
「……俺、バイトあるから、先に行く」
 その言葉と、支払いに十分な額の紙幣を置いて席を立った。


 そうして店を出たが、バイトは嘘だった。あてもなくふらりと歩き出す。そうしようとする逸朗の足を止めるかごとく、ポケットの携帯電話がバイブレーションで唸る。
『明日の夜までに迎えにいくよ。日にちからしてキューブ、貰ってるよね? それを必ず持ってきてね』
 日付、差し出しアドレスは文字化けしている。弥継か、と感慨もなく息を吐く。いったいどうやってこのメールを送っているのだろう。逸朗は少し考えてみたが、どうせキューブのトンデモ技術の賜物なんだろうと、そういうことにしてまた歩き始めた。
 ふらふらとしているうちに太陽は沈み、当然のように夜が訪れた。
 この世界系線セクションで、きっとやるべき事は少ない。次の世界系線セクションは――おそらく。そこまで考えて、逸朗はこわくなった。
――彼女の死をまた、見つめなくてはいけないのか。
 この時間を消すために旅立ち、辛い現実を見つめなくてはいけない。
 逸朗は道すがら、そっと振り返る。――小さい頃から、二人手を繋いで歩いていた道。こわくて震えていたあの頃。孤独を埋められないまま、ただひたすら二人でいたその時間。この時間を消してしまうのか。
 言葉に出来ない感情が渦巻く。それを背にして帰路についた。


「もしもさ、俺が一緒に家出しようっていったらおまえはどうする?」
「…………おとといまでなら、たぶん行くって言ってた」
「…………」
 丘公園の頂上、二人ベンチに座ってそんな話をしていた。互いに目を合わせず、ただ遠くを見つめていた。
「俺は何も出来ない、何も知らない。何の力もない。だから俺はおまえを救えない」
 そっと、いや、吐き出すように、静かに穏やかに逸朗がそう呟いた。早実は理解できなかった。
 彼はいったい何を自分に伝えたいのか?
「俺はおまえを傷付けたくない。離れる方がいいかもしれない」
「私のこと、嫌いになったの?」
「違うよ、そうじゃない。お互いの為だよ、だからその、」
「邪魔なの? 私が」
「だから違うんだよ!」
 言葉がもつれて出てこない。言いたいことはそういうことじゃないんだ、ただそれだけは明確なのにきちんんと言葉になってくれないもどかしさをどうしたらいいのかわからない。
「いつくの言ってること、ぜんぜんわかんないよ」
 彼女が孤独感をさらけ出すように呟いた。
「……俺は、ただ、これ以上おまえに傷ついて欲しくない。それしか、今の俺には言えないんだ。ごめん、さーちゃ」
 何かが張り裂けそうになる。この胸はどうしてこんなに痛いのか。逸朗は、言葉を言い置いて公園の階段を一人降りていった。
「なんで、わかんない。いつく、わかんない。わかんないよ……独りになるの、こわい。知ってるはずなのに」
 傾き始めたばかりの午後の日差しが、彼女のこぼれる涙を乾かそうとやっきになるが、彼らはどうにも無力だった


――コンビニのコーヒーが苦い。
 缶コーヒーにすればよかったのか、とレジ横販売のコーヒーのプラカップを持て余し逸朗は後悔していた。コーヒーなのだから当然なのに、やたら苦く感じるのは何故なんだろうか。コンビニの前に座り込み、流れる車を見ながら眉をよせてそんな事を思った。
「やあ」
 その視界を、さらさらヘアの少年の顔がぬっと塞いだ。
 ぐいっと押し避け、また視界を確保する。
「夜じゃなかったのかよ」
「そうだね、まで(、、)だから間違いはないよ」
 弥継は座り込む逸朗に、しゃがみ込んで目線を合わせにっこり笑った。側に榛原もいる。
「キューブ、持ってきた?」
 言われ無言で渡す。
「……うん。確かに。榛原、オーダー、解析、分解。気づかれないようにダミーデータ送っておいて。時間差起動のマルウェアも」
「あいつら来るのか?」
「んー普通にこれを壊せば来るかも。本来の行動と違うし、たぶんもう気づいてる。どのタイミングで気づくのか……というか彼らはコピー様式でこちらに来ているし、どう本体と連携しているのか調査中でもあるんだけど。今のところ分かっている情報から見て、コピーを既存データへ上書き、かなっと僕は読んでるね」
「よくわかんねえけど、……ぶんどり?」
「まあ、近いね」
 逸朗の思い切った解釈に笑う弥継。
「寄生に近いかな。本体は別にいる事が多い。どういう風にデータのやりとりをしているのかはよくわからないんだけど、補足するまでタイムラグはあると思うよ」
「寄生、ってことは全然関係ないやつらまで巻き込まれてんの?」
「そう。彼らが死んでも、本体には何の問題も起きない。コピーデータだからね」
「指定されたスクリプトが完了しました」
 榛原の合図で弥継が立ち上がる。
「――そうしない者も、いるらしいけどね」
 そう言う彼の表情に陰が差した。
 逸朗はただなんとなく、その表情を覚えておこうと心の端に留めておいた。


 三人、ひと気のない河口近くの湾岸まで移動し、これからの打ち合わせをしていた。
「……じゃあ、あいつ次の世界系線セクションだと、その……死ぬのか?」
「……うん。僕らはかなり後手に回ってしまっている。一つ一つ辿るしかないんだよ」
 逸朗は、無言で弥継をじっと見つめる。榛原が弥継の隣でブリングの準備を始めていた。
「……覚悟は出来てるんだね。そっか。逸朗くん、一応警戒しておいてね」
「はいよ、了か――」
「今宵もまた、光と光が互いに身を寄せあって、更なる輝きを求めているわ。はにかむ君の笑みが見たくて、私は仕方ないの。だから、重たい雲も払ってみせるわ」
 ふって来たような文言。弥継の表情はシベリアの大地よりも冷たく、モスクワの風よりも冷徹になった。
「……あいつ、来やがった」
 探すのも嫌になる、逸朗は心で悪態をついた。
「そうして私は囁くの。『今宵の月もきれいですね』、まるであの文豪のように」
 すぐ近くの造船所のクレーンの上に舞踊る人影を見つけ、彼は心底嫌な気分になった。その人影は、やはりロリータスタイルを身に纏っており、大きめのクロスボウを背中に背負いミュージカルのようにポーズを決めていた。
「来んなよ」
「なによ、いい気分だったのに」
「ブリングスタンバイ中です。そこで待機していてください」
「こっち来ると迷惑なんだよ。いいと言うまで、いや、ずっと来ないで」
 逸朗も弥継も榛原も同意見だった。彼女の側にいるとロクでもない事しか起きない。
「もう、みんな冷たい……通り道にここにひっかかったから顔見に来たの。もういいわよ……」
 少女らしく、拗ねたように口を尖らせると自分のキューブを起動した。
「じゃあね、ばいばい!」
 べーっと舌を出して、そしてすうっと光の渦となって消えていった。
 逸朗が安心して、ふうっと息を吐いた所で弥継が、
「構えて」
 そう言って、逸朗にムーブキューブを手渡した。
 一瞬理解が遅れたが、すぐさま何が待っているのか思い出し、キューブをぐっと握りしめた。
「…………来ねえ?」
 逸朗が首を傾げる隣で弥継が榛原に指示を出す。
「榛原、オーダー、短縮コード、形態は任せる。出来るだけ手順省略、リカウント」
「はい、手順短縮、実行します。――形態が判明しました。推測、後、300秒です」
「上出来。逸朗くんはそこにいて!」
 そう言って二人から離れる。理由はわからないが、榛原を守れと言うことなのか? いやでも防御強すぎるから意味ないだろ、と無駄に考えている内に二人の人影がこちらに向かってきている事に気づいた。
 田中真鞠子と、栗原時香。やはり二人は察知していたようだ。
「やっぱり居やがりましたね」
「そうだねー」
 弥継は何故かにやにやしている。一度何故? と首を傾げたが、逸朗は彼の考えが少し読めて、口を押さえて笑いを隠そうと心がけた。
 臨戦態勢に入った二人。弥継は特に攻撃もするでもなく。
「そろそろかな」
 言って、ステップを踏むように不規則に横に移動した。
 それを追うように銀の一閃が横なぎに払った。
「……み、三春?!」
「忽滑谷出羽を、見ませんでしたか?」
「あ、その髪が短くてぴったりしたスカートの女性が知ってるって」
「……そう、ですか」
 空中から突然現れた美少年に慌てふためく田中真鞠子を追いつめるようにデマを彼に教える。少年はくるりと向きを変え、田中真鞠子に薙刀の白刃を向ける。
「ちょ、ま、待って、私死にたくない」
「ご存じ、なんですよね、あの者のゆくえを」
「知らない! ていうか私の事覚えてないの?!」
 逸朗と弥継は、その様子に堪えきれずにげらげらと笑い、互いに親指をぐっと天に向けサインを送り合った。
「短縮スクリプト、完了しました」
 榛原がそう告げた。
 三春と呼ばれた少年と、田中真鞠子、巻き込まれた時香が戯れている手前で、弥継が頷いた。
 覚悟はしているつもりだ。逸朗も無言で頷き返した。そして目を閉じた。
「データ移行を開始します」
――明転。


 逸朗はまたあの時間に戻っていた。
 そして、またいつものファミレスにいた。
「俺はおまえを助けられるのかな」
 空になったグラスを見つめながら逸朗はぽつりと呟いた。早実は動きを止めて、その言葉に注視した。
 少しの間の沈黙。厨房からの音や店内音楽、所作の音を背景に、思案するように沈黙した。
「あの親たちから逃げれば全部解決すると思ってたんだ。でも、それだけじゃなかったんだよ、俺達の問題は」
 早実は彼の言葉に、視線を落とした。
「幸せがなんなのかもわからない。目の前にダメなもんが転がってても手が出せない、解決する方法を知らないんだ。それってまだ子供だからなんだけど、そんな事言ってられるのももうすぐ終わっちまうんだよ。子供ままではいられないんだ」
 早実も気付き始めていることだった。膝に置いた手をぎゅっと握り、呟く。
「大人になるの、こわい」
 逸朗はこの呟きに応えなかった。視線を落とし不安げな彼女をじっと見つめて、動作を止めたまま心の中で応えていた。寧ろ、応える必要もなかった。
――彼も、同じような気持ちでいたのだから。


『しばらくバイトが忙しい。あんまり会えないかもしれない』
 ボタンを押してメールを送信する。すぐさま短い文章で返事が返ってくる。それを確認すると携帯電話をぱたりと閉じ、ポケットに突っ込む。
 歩きながら、逸朗は考える。たくさんの疑問や、見つからない答え、見えない未来の事が逸朗の思考を支配していた。
 数日を過ぎても、一週間、数週間が過ぎても見つからない。
――考えるのを辞めれば楽なんだろうか。
――この世界系線は、次の世界系線セクションへ移り、対処すれば消えてしまう。
 考えるのを辞めて、次の世界系線セクションですべてを消し去って忘れてしまうのか。ここでの答えを見つけるのか。
 逸朗は働きながら、或いは、帰り道少ない星を見つめながら考え続けた。


 答えはないまま、時間が過ぎていく。
 アルバイト前の習慣、千夜子の面倒を見に逸朗は堰島せきしま有川病院に来ていた。
 最近は調子が悪く、あまり会話もなかった。
「――お兄ちゃんなんか、消えてなくなればいい」
 ベッド脇に座って洗濯物を畳んでいる時に千夜子が呟いた。
「どうしてお父さんもお母さんもお見舞いに来ないの? 千夜が嫌いなの? 邪魔なの?」
 か細い声で千夜子は不安を漏らした。自分に背を向け、横になったまま嗚咽を隠している。
 じっとその様子を見つめていた。
――そうだ。千夜子も、自分もあの親から十分と言えるような愛情を貰っていないんだ。
「全部、なくなってしまえばいいのに」
 絶望すら匂わすその言葉に、逸朗はかけてやる言葉が見つからなかった。そうしてやれない事に、逸朗は罪悪感も感じなかった事に今更になって驚いた。
――恨みはしない。あの幼かった日、何も求められなかった原因とも言えるこの妹を恨んだりしない。でも、引き替えに兄としての感情もきっと失った。
 逸朗は何も言わず、布団を掛け直そうとした。が、ぱたりと千夜子の手が彼の手をはたき、拒絶された。逸朗はその挙動に、微々とした感情を覚えた。
――他人みたいだな。
 まるで諦めのようにそう思った。


 用事を済ませ、病室を出た逸朗を千夜子の主治医が呼び止めた。
「ご両親は来られないのかな?」
 その質問に、答えられるわけもなかった。視線を逸らしどう誤魔化すかと考える。
「……困ったね。今ね、状態がよくなくてね。薬を変えてみたりして経過を見ているところなんだけど。どうにも、彼女自身によくなりたいって気持ちが無いみたいで」
 誤魔化す言葉も見つからないまま、医者の話を聞き流す。
「病は気からって、医者が言うのも変かもしれないけどすごく大事な事だから。ご両親にちゃんと来てもらって、彼女をはげますというか、」
「――俺は、『他人』なんですかね」
――つい言ってしまった言葉。
 医者はその言葉でなんとなく察してしまった。その乾いた言葉はこの家族が抱えているどうしようもない状況を如実に表していた。
「ともかく、環境をよくする方が彼女にとっていいことだから」
 医者は察したが、深くは追求せず立ち去った。
「…………」
 その医者の背を無言で見ていたが、見えなくなる前にその場を離れた。


「もうしかたの無い事だと諦めてますから」
「正直なところ、高校も卒業してないと先厳しいよ? わかっててそうするの?」
「はい。なんにせよ、俺ほとんど来てませんから」
 逸朗の担任教師は、彼に言う言葉を捜していたが数秒の沈黙の後、諦める意思を表する様に両手を広げて、そして、引き出しから一枚の書類を取りだした。
「本来はご両親のサインも欲しいけど、君のお家あんまりいい感じじゃないし、今回は誤魔化しておくよ。ここ書いてね」
 ペンと教員のデスクを借りて書き込む。ふと、ペンを止めず、教員をちらりと見遣り尋ねる。
「いい感じじゃない、ってどういうことですか?」
「はは、いい感じじゃないねえ。いろんな親御さん見てきたけど。三者面談の時に少し話して感じたねえ。……一緒にいて辛くないかな?」
「…………」
 逸朗はこれに無言で返した。言わなくても、おそらくわかってはいるだろうと。
「あー、らら。そうだね、そうか。はいはい、書けたね」
 言ってはいけなかったと天井を扇ぐように見て、視線を逸朗に戻すと勝手に納得したようにうんうんと頷き、書類の書き込みが済んだと見て紙を取り上げた。
「書類は問題――あるけど、ないね」
「短い間でしたけど」
 用も済んだと逸朗がデスク用のグレーの椅子から立ちあがる。
「そうだね、短すぎたね。もっと話したかったよ」
 教員が名残惜しそうな目線を送るが、見なかった事にしておいて職員室を去ろうとする。
「……弓削くん、君の人生を生きなさい。本当に君を思う者を信じなさい。そして、生きていたいと思う所へ行きなさい」
 何かに打たれたように逸朗は振り返った。
「余計な事を言ったね」
 自嘲のような、苦笑いにも似た笑みで視線を外して手を振っている。
「……さようなら、いつでも帰っておいでね」
「来ねえよ」
 わざと悪態をついて、職員室から退出した。

「…………」
 呼吸すら苦しくなるほどに、何かが胸からこみ上げる。
 それが何なのか判別もつかないまま廊下を歩いている。
 涙を止める方法も、これが悲しみなのか喜びなのか。――もしくは、悔しさなのか。よくわからないまま、夏休みで閑散とした静けさの中を出口に向かって歩く。
「……んだよくそ……」
――気付けよ『俺』。こんな大人がいることに。
 涙をぬぐうのも忘れて、ただ歩く。


 数日後のファミレス、平日、正午を少し過ぎた頃だった。少しまばらな席、いつもとさして変わらない風景の中、逸朗は告げた。
「俺は家を出る。おまえはどうする?」
 早実が驚いて顔を上げた。
「シェルターっていって、親から逃げる手伝いをしてくれる団体もある。それを教えた上で聞く。どうする?」
 逸朗は穏やかに、しかし強い意志を以て聞いた。
 だが、早実は答えられなかった。
 逸朗は早実の動向に、感情に気付きながらも続けた。
「あの家に居る事は、苦痛だし未来すら感じないよな。だから、逃げたっていい。親は子供を養育する義務はあるけど、子が親に感謝しなくてはいけない義務なんてない。感謝は自然と湧いてくるもんだ」
 早実だって、あの家族と一緒に居る事は苦痛で小さい頃から苦しめられてきた。しかし、
「逃げたって、私、自分の力で生きていく自信がない」
 早実には希望が見えていない。『何も出来ない』という呪縛から解かれない限り前に進む事も難しい。
 彼女の言葉をしっかりと受け止め、しかし返す言葉は見つからず深く息を吐いて窓の外を見つめた。
――やっぱり、覚悟しないといけないのか。
 逸朗は、手の先から這い上がってくる奇妙な感覚を、何かを取りこぼす時に似た恐怖を握り潰そうとぎゅっと拳に力を込めた。


 記憶通りに時間が過ぎる。
 彼女をまた失う日が近づいてくる。
 時香も何も知らないまま、逸朗にキューブを預けていった。
「明日、もう、明日だ」
 夜更け、ベッドに寝転がって、キューブを見つめる。
 ただの四角い箱にしか見えない。例え現代の技術で作れない代物だとしても、今の逸朗には『ただの箱』でしかない。自分達は、こんなものに振り回されているのか。
 逸朗は、深く嘆息しキューブをぐっと握りしめた。


 あまり眠れないまま翌日になり、彼は席田橋の駅の陸橋にいた。
「……はい、前に話した通りです。女の子一人です。自分が先に迎えに行くので、……場所は、そうです、その場所です。……わかりました、白いバンですね。青いパーカー着ていくんですぐわかると思います。……よろしくお願いします」
 誰かと通話していたが、会話が終了したらしく通話切りボタンを押して携帯電話を仕舞った。
 陸橋の下をくぐる車を眺めながら逸朗は思う。
――助けたいのか、“助かりたい”のか。
 どちらも合っているのかもしれないし、間違いかもしれない。どうして心というのはこうも不透明なのか。胸に雲がかかるようなもどかしさ。逸朗はそれを払うかのように、すうっと深くゆっくり息を吸い込んだ。――そっと目を閉じ、思う。
 そして、吐き出した時に見つけた感情は、本物だと確信出来た。
「あいつは、自分の為に自分を生きるってのを知らねえ。俺もまだよくわからん。だからもっと、ちゃんと生きる為に、俺も早実も誰かの思惑や陰謀なんかに振り回されて未来を奪われるなんてされちゃいけねえんだよ。俺の未来は俺の手の中にあるべきだし、あいつの未来もあいつの“希望”で動いてなきゃいけねえよ、やっぱ」
――例え、結末が同じでも。
 一人、強い意志を込めて、誰に言い聞かせるわけでもない言葉を吐き出した。
 そうだ、無駄なんてたぶんない。出来ることをやろう。
 逸朗はすでに覚悟を決めていた。
 ポケットで震えた携帯電話を開き、それがメールだと確認すると陸橋を降りていった。


――秋の夕暮れの風は冷たい。当然の事をふと思った。
 丘公園――碩台せきだい公園の頂上で、遠くを見つめて逸朗はそう感じた。ベンチに腰掛け、空が夕焼け色から夜闇へ衣替えをする様をただ見つめる。
「ここは何も変わってないな」
――世界系線セクションが違っても、月日が経っていても。
 変わらないというのは安心できる。できるから依存するのかも、と逸朗は思う。
 視線を遠くのどこかに固定したまま、頬を撫で髪を遊ばせようとする風の冷たさを、じっくりと味わう様に感じていた。
 隣に誰かが座る気配を感じた。
「遠くに行ってしまう顔してる」
 隣に座った人物がそう呟いたが、逸朗は振り向いて確認しようとは思わなかった。その必要もなく誰なのかわかっていた。
「まだ行かないよ」
「でも、いつかは行くの?」
「……うん。早実、ごめん」
 振り向かない逸朗をじっと見つめて、早実は俯いた。
「……まだこわい」
 そして、逸朗と同じように前を向いて景色を見つめる。
「いつか俺はさーちゃの前からいなくなる。大人になりたいんだ」
 彼女はこの言葉に嘆く事なく、一度目を閉じベンチから立ち上がり逸朗の前へ立った。
「だったら私もいなくならないといけないね」
「……シェルターの話、受けてくれるか?」
 真正面にして、早実は頷いた。
「私は、いつくの前からいなくなる」
「……いなくなるまで、手を貸してやるよ」
 逸朗は早実に手をさしのべて、早実はそれに応えて手を握った。
 そして、微笑んだ。
「ありがとう、いつく」
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