2 / 2
独り言の怖さ
しおりを挟む
「はぁー喉かわい……しまっ!?」
やってしまった。完全に油断していた。
召喚魔法陣に追いかけられながら暴走トラックを躱し続ける苦行で疲れていたとはいえこれはいけない。
独り言を言ってしまった。
独り言をいうような奴は9割が主人公だ。しかも独り言はその内容で主人公としての内容まで左右される。
今の俺の感じだとファンタジーならライバルとヒロインを取り合う感じの勇者レベルだ。
ちなみにハーレム勇者だったらこの場合、「喉渇いたー、水、水」くらいの独り言。
チーレム主人公ならば、「走ったから喉が渇いた、急いで台所にいって水飲まないと」といった感じになる。
もちろんファンタジー主人公になるとは限らない、ラブコメだってギャグだってあり得る。
しかし数多ある可能性の中で一つだけわかっていることがある。このまま台所に向かっても素直に水を飲むことはほぼできない。
蛇口をひねって異世界に行ってしまうのか、蛇口が壊れてびしょ濡れになってしまうのか、とにかく水を飲むという行為にフラグを立ててしまった以上回避するには喉が渇いているこの現状を我慢するしかない。
俺はガラガラの喉を潤すことを諦めてリビングのソファーに腰かけた。
帰ってきて部屋に帰るような奴も主人公の可能性が高い、一人の部屋なんてどう考えても危険だ。一時期はすぐに制服も着替えるようにしていたが、最近の主人公はジャージでもスエットでも全裸でも異世界に行ってしまう。逆にラブコメ路線を回避するなら家の中なのにまだ制服というのはありだと考え俺は風呂に入るまで制服のままでいることが多い。
しばらくすると妹が数人友達を連れて帰ってきた。しょっちゅうウチにくる数人の友達は全員妹と同じ変身少女だ。いつも妹の部屋で正体を本当に隠しているのか疑ってしまうような話を大声でしつつ、しばらくすると秘密基地のようなところにワープする。
一時期、変身少女の兄という1度巻き込まれたらその後さっぱり話に出てこない立ち位置を求めて、絶妙なタイミングで部屋にジュースを運んでいこうとしたが、俺がコップにジュースを注ぐと彼女たちはそれを察知するように秘密基地に行ってしまうので、フラグが立たず諦めた。
またしばらくすると妹がドタバタと足音を響かせながらリビングに現れた。
「お兄ちゃん――」
「いつも言っているだろう、俺のことは名前で呼べと」
お兄ちゃんなんて呼ばれたらそれだけでフラグが立つ、それがお兄ちゃまでもあにぃでもお兄たまでもお兄様でも兄様でも兄上様でも兄チャマでも兄君でもあにぎみさまでも兄貴でもにいやでも駄目だ。
そこで考えたのは実の血の繋がる妹にさん付けの強要である。
「ごめんなさい、ミツルさん」
「気を付けてくれよ? それでどうしたんだ慌てて」
「そうそう、今日水道管の工事をしてて夜まで水使えないんだって。だから、はいこれミネラルウォーター買ってきたの忘れてて」
俺は妹から差し出されたペットボトルを受け取るとすぐに蓋を回し勢いよく口をつけた。
「ありがとう、ちょうど喉が渇いていたんだ」
不用意に立てたフラグの折れる音が僕にははっきり聞こえていた。
やってしまった。完全に油断していた。
召喚魔法陣に追いかけられながら暴走トラックを躱し続ける苦行で疲れていたとはいえこれはいけない。
独り言を言ってしまった。
独り言をいうような奴は9割が主人公だ。しかも独り言はその内容で主人公としての内容まで左右される。
今の俺の感じだとファンタジーならライバルとヒロインを取り合う感じの勇者レベルだ。
ちなみにハーレム勇者だったらこの場合、「喉渇いたー、水、水」くらいの独り言。
チーレム主人公ならば、「走ったから喉が渇いた、急いで台所にいって水飲まないと」といった感じになる。
もちろんファンタジー主人公になるとは限らない、ラブコメだってギャグだってあり得る。
しかし数多ある可能性の中で一つだけわかっていることがある。このまま台所に向かっても素直に水を飲むことはほぼできない。
蛇口をひねって異世界に行ってしまうのか、蛇口が壊れてびしょ濡れになってしまうのか、とにかく水を飲むという行為にフラグを立ててしまった以上回避するには喉が渇いているこの現状を我慢するしかない。
俺はガラガラの喉を潤すことを諦めてリビングのソファーに腰かけた。
帰ってきて部屋に帰るような奴も主人公の可能性が高い、一人の部屋なんてどう考えても危険だ。一時期はすぐに制服も着替えるようにしていたが、最近の主人公はジャージでもスエットでも全裸でも異世界に行ってしまう。逆にラブコメ路線を回避するなら家の中なのにまだ制服というのはありだと考え俺は風呂に入るまで制服のままでいることが多い。
しばらくすると妹が数人友達を連れて帰ってきた。しょっちゅうウチにくる数人の友達は全員妹と同じ変身少女だ。いつも妹の部屋で正体を本当に隠しているのか疑ってしまうような話を大声でしつつ、しばらくすると秘密基地のようなところにワープする。
一時期、変身少女の兄という1度巻き込まれたらその後さっぱり話に出てこない立ち位置を求めて、絶妙なタイミングで部屋にジュースを運んでいこうとしたが、俺がコップにジュースを注ぐと彼女たちはそれを察知するように秘密基地に行ってしまうので、フラグが立たず諦めた。
またしばらくすると妹がドタバタと足音を響かせながらリビングに現れた。
「お兄ちゃん――」
「いつも言っているだろう、俺のことは名前で呼べと」
お兄ちゃんなんて呼ばれたらそれだけでフラグが立つ、それがお兄ちゃまでもあにぃでもお兄たまでもお兄様でも兄様でも兄上様でも兄チャマでも兄君でもあにぎみさまでも兄貴でもにいやでも駄目だ。
そこで考えたのは実の血の繋がる妹にさん付けの強要である。
「ごめんなさい、ミツルさん」
「気を付けてくれよ? それでどうしたんだ慌てて」
「そうそう、今日水道管の工事をしてて夜まで水使えないんだって。だから、はいこれミネラルウォーター買ってきたの忘れてて」
俺は妹から差し出されたペットボトルを受け取るとすぐに蓋を回し勢いよく口をつけた。
「ありがとう、ちょうど喉が渇いていたんだ」
不用意に立てたフラグの折れる音が僕にははっきり聞こえていた。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝
ファンタジー
「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
異世界転生してしまった。どうせ死ぬのに。
あんど もあ
ファンタジー
好きな人と結婚して初めてのクリスマスに事故で亡くなった私。異世界に転生したけど、どうせ死ぬなら幸せになんてなりたくない。そう思って生きてきたのだけど……。
王妃ですが都からの追放を言い渡されたので、田舎暮らしを楽しみます!
藤野ひま
ファンタジー
わたくし王妃の身でありながら、夫から婚姻破棄と王都から出て行く事を言い渡されました。
初めての田舎暮らしは……楽しいのですが?!
夫や、かの女性は王城でお元気かしら?
わたくしは元気にしておりますので、ご心配御無用です!
〔『仮面の王と風吹く国の姫君』の続編となります。できるだけこちらだけでわかるようにしています。が、気になったら前作にも立ち寄っていただけると嬉しいです〕〔ただ、ネタバレ的要素がありますのでご了承ください〕
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる