愛して愛して愛して愛してる人

綾瑪東暢

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まただ

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 「はああぁぁぁ・・」
 「バカでっかいため息をついてどうしたいんだい?」
 「げっ・・・」
 「げとは酷いな。」
 「なんのようですか?十瑚そご先輩。」
 講義室でグデェと潰れていると、顔面キラキラな奴がはやてを覗き込む。
 「十瑚先輩には関係ないですよ。」
 「後輩が困っていそうだったら助けになりたいだろ。」
 「先輩に話すほどのことじゃないです。」
 「まったく、可愛くないね。」
 颯の隣に座り始める。
 「なんで座るんですか?」
 「いいじゃん、いいじゃん。それよりー、あの友達の家に行くって言ってたじゃんその後の話聞かせてよ。」
 十瑚は頬杖をついて、ね?っと嫌な笑みを浮かべる。
 (そういえば、置いて行ったんだった。)
 「先輩、まだ根に持っているんですか?」
 「だって、だってさ!」
 「やめてください。」
 「置いて行ったんだから話してよー」
 「置いて行ったんだから話すわけないでしょ。」

 「また、先輩と遊んでる」
 友人がそばに来る。
 「遊んでない。先輩、俺よりそいつと仲良くなったほうが面白いですよ。」
 「俺を売るな!」
 「えー、颯くんの方が面白いよ。」
 「喋ったこと数少ないのに・・」
 颯の友人が落ち込む。
 「先輩、そろそろ時間じゃないですか?」
 「おっと・・ここまでのようだね。」
 十瑚は腕時計を確認する。イケメンは腕時計を確認する姿まで輝いて見えるのか。
 「じゃあまたねー」
 「もう来ないでください。」


 













 お昼の時間になり、スマホを確認する。昨日送ったメッセージは未だに未読。
 「・・・なんで。」
 「もしかして好きな人?」
 後ろから声をかけられ、咄嗟にスマホを隠す。
 「せ、先輩!」
 「やぁやぁやぁ。」
 「来ないでくださいって・・言ったのに。」
 「分かったーなんて一言も言ってないよー」
 「・・・じゃあ先輩、昼ごはん奢ってくれますか?」
 「いいよー、その代わり好きな人の話聞かせて。」
 「しょうがないですね。どうせ俺は振られたんで」
 「じゃあアタックチャンス?」
 「やめてください。俺は一途なんです。」
 「まぁ、俺はアタックチャンスだと思っていくよ。さぁ俺のおすすめ食べに行こうか。」



 颯は十瑚に弘人のことを話した。
 「酷いね。」
 「俺はそんなことしないよ。どう?」
 「それで・・弘人、また音信不通になってしまって。」
 「その弘人くんのお姉さんとは連絡先交換してあるんでしょ。もう一回聞いてみれば?」
 「それが手っ取り早いとは俺も思う。ただ繋げてもらったのに、またって……申し訳なくて。」
 「弘人くんが良くないことをしてるんだし、良くない?よーし!颯くんができないなら俺がやってやろう。はい。」
 十瑚が、掌を見せてくる。
 「なんですか。この手。」
 「スマホ。か、し、て」
 「絶対に嫌です!」

 良いところに、店員さんが料理を運んでくる。
 
 「いただきます。」
 「あぁ。」

 颯はパスタを、十瑚はオムライスを頼んだ。
 「颯くんって料理できる?」
 「まぁ一応は。一人暮らしなんで。まぁそんな豪華なものは作れませんけどね。十瑚先輩は苦手そうですね。」
 「俺は苦手だな。家では、全部やってもらってるからなぁ。」
 「そんなんで良いんですか?」
 十瑚がきょとんとする。
 「十瑚先輩の家、高級お菓子屋さんじゃないですか。継がないんですか?」
 十瑚はクスッと笑う。
 「俺は壊滅的に料理ができないから親からは諦められてるよ。その代わり妹が継ぐんじゃないかな。妹は天才的なほど美味しいお菓子を作るからね。」
 「まぁ、先輩は家事的なことよりも勉強とスポーツが凄いですからね。いいじゃないですか。得意なことがあって。」
 「颯くんにもあるだろ?」
 「特にないんですよ。勉強も普通だしスポーツもできないやつの方が多いし。」
 
 (昔だったら、コミュ力だって言えていたな。今はもう人並み以下だ。)

 颯はパスタを食べる。十瑚が颯の食べる姿を見てから自分も食べ始めた。







 「会計してくる。」
 「俺も払いましょうか?」
 「弘人くんの話も聞いたし、奢るって言ったからね。男に二言はないよ。」
 「ありがとうございます。俺、お手洗い行ってきますね。」
 「わかった。外で待ってるよ。」
 「はい。」



 颯はトイレに十瑚はレジに行く。



 「はぁ・・先輩に吐き出したおかげなのかスッキリした気がする。」

 独り言言っていたら、男の人が入ってきてドキッとする。恥ずかしさで頬を叩き、そそくさとトイレを出ようとする。

 「私立男高等学校の卒業生だな。」

 入ってきた男が颯の首にカッターを向ける。

 「・・・はぁ」
 呆れたため息を吐く。
 「合ってるだろ?」
 「依頼主は?」
 「俺の言ったことだけ喋ればいい。それ以外は口を開けるな。いいな?」

 颯は同意をしない。男はカッターをさらに近づけ、
 「いいな?」
ともう一回聞いてくる。颯は軽く頷いた。

 「私立男高等学校の校長篠秋しのあきの居場所を言え。」
 「知らない。」
 「じゃあ、知っている者は?」
 「知らない。」
 「篠秋に関わりのある者を知っているか?」

『知らない』で突き通そうと思ったが、頭に2人ぐらい出てきてしまって反応に遅れてしまう。
 「いるんだな。」
 「知らない!」
 「お前が前に、家にお邪魔していたあの家の住人なんだろう?」
 「なっ!・・いつから俺にっ」
 「その反応、その通りなんだな。」
 男は乱暴に颯を突き飛ばし、トイレから去る。突き飛ばされた反動で尻餅をつく。
 「いって・・・・白斗はくとくん達が危ないっ!」
 すぐにスマホを取り出そうとしたが、ポケットのどこにも入っていなかった。急いで立ち上がろうとした時、腰が痛くなる。
 「っ・・・」
 
 なんとか立ち上がって、壁を支えにトイレを出る。

 「どうした?」

 十瑚が、トイレまで来ていた。

 「外で待ってるんじゃ」
 「スマホが置きっぱだったからね。それより、どこか痛いの?」
 「いえ、平気です。それより、スマホで連絡しないと。」
 十瑚からスマホを受け取り、すぐに神瀬かみせに連絡をする。

 スマホを耳に当てながら、外に出る。
 
 「ちょっと電話するんで、離れててください。」

 先輩に一言伝えて、スマホの着信音に集中する。

 出ない。

 腕時計を確認すると13時。

 『現在、電波の届かない場所にいるか、電源が入っていない可能性があります。』
と留守電になってしまった。
 
 「先輩。俺、家帰ります。友人に帰ったとだけ伝えてください。」
 先輩は離れていなくて、ずっと隣にいた。近くて少しびっくりした。
 「その腰の痛みで?1人で帰るの?」
 「俺は大丈夫ですよ。先輩は大学に戻ってください。」
 「・・・まったく。こういう時に頼るのが先輩だろ。」
 十瑚は颯の腕を自分の首に回す。
 「急ぎなんだろ?大学に戻れば俺の車がある。行こう。」
 「・・・ありがとうございます。」
 「そうだ。頼っていいんだから。」










 大学に着いた颯達は十瑚の車に乗る。

 「住所をナビに入れて。」
 「はい、」

 車に置いてあった湿布を颯はもらい、腰に貼る。
 「歳を取ったお爺ちゃんみたいだ。」
 「それで何があったんだい?」

 車のナビが『右方向です』と呟く。

 颯は十瑚にトイレであったことを話した。

 「颯くんがこの前、俺を置いて行った子のところ?」
 「あ・・・はい。そうです。」
 (忘れてた・・)
 「もしかしたらお姉さんもいるかもね。」
 「聞けたら聞きます。」



 十瑚は気分を変えるため、曲をかけた。どこかで聞いたことのある曲。
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