愛して愛して愛して愛してる人

綾瑪東暢

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頼らず生きる

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 研究員になった方がきっと幸せだった。自分を過大評価し過ぎたんだ。自分は1人で生きていけるって。誰にも頼らずに生きていけると。

 「本当にいいの?私は弘人ひろとくんと一緒に働きたいと思ってる。」
 「ここまでしてもらっているのにごめんなさい。」
 「そっか・・。気が変わったらまた言って。いつでも私達は歓迎する。」

 神瀬かみせさんはとても優しかった。でも今更、働きたいなんて。1人で生きていけなさそうだから働かせてくださいなって・・とでも言えない。

 
 「遅い。」

 約束していた人と会う。
 「待たせた分お金は払う。あとはお前の力次第だ。行こう。」
 男は、弘人の肩を組む。

 「・・・あぁ。」


 自分から離れたくせにはやてが恋しくなった。
 いや・・そんなはずはない。
















 「金は?」
 ベッドでゴロゴロしながら男に向かって言う。
 「風呂入るから勝手に取って」
 「好きなだけ?」
 「あぁ。」

 男はお風呂に向かっていく。弘人は伸びをして、ベッドから降りる。
 「いてててっ」
 腰をさすりながら、男の上着に手をかける。

 男の財布から8万取る。全額取ろうと思ったが、8万でやめておいた。
 
 男がお風呂から出てくる。財布を確認する。
 「あと3万取らないのか?今更申し訳ないと思っているのか?可愛いやつめ」
 ベッドから男を見ている弘人を男が撫でる。
 「くれるの?」
 そのまま両手を見せると3万が両手の真ん中に置かれた。
 「ありがとう~。」 

 なぜか執拗に頭を撫でる。

 「ん?」
 「いや。なんでもない。次の予約はまだだめかな?」
 「2週間後かな。」
 「わかった。今日はもう帰る?」
 「休んで行ってもいい?」
 「あぁ。会計は済ませておくね。」
 「ん。」

 男は、最後にもう一回頭を撫でて、スーツを着て部屋を出た。




 弘人は男からもらった札を数える。

 「11万・・・。まだ足りない。」




 弘人は目を閉じる。



























 十瑚そごの運転で神瀬かみせの家に行く。
 赤信号にイライラしてしまう。
 「俺たちの方が早いといいけど」
 「はい」





 神瀬の家について、急いで降りる。湿布のおかげで腰はあまり痛まなくなっていた。インターホンを押す。
 「はーい。」
 「白斗はくとくん!」
 「八重やえくん?」
 ドアが開く。
 「どうしたの?直也なおやはまだ帰ってないよ。」
 「神瀬いないのか。」
 「うん。」
 「俺たちの前に、他に誰か来たか?」
 「特には・・。八重くん。後ろの方は?」
 「あっ・・えーっと」
 「とりあえず、中に入って、後ろの方も。」
 「お邪魔します。」
 
 2人をリビングに案内する。

 「そこに座ってください。」
 「ありがとう。」
 「八重くんと・・」
 「俺は十瑚玲司れいじ
 「僕は都瀬みやせ白斗です。2人は何飲みますか?」
 「いや、大丈夫。颯くんの話を聞いてあげてくれ。」
 白斗は頷いて颯の前に座る。
 「どうかしたの?」
 「今日、先輩・・十瑚先輩とレストランでランチをしていたんだけどトイレに行った時に、変な男に篠秋しのあき校長について知っている人を教えろって言われたんだ。それで俺の失態で白斗くんなのが・・バレちゃったんだ。それで不安で・・ごめんね。」
 「八重くん。ありがとう。心配してくれて。お父さんか・・お父さん・・まだ気になる人いたんだね。もうみんな忘れてくれたらいいのに。」
 「俺は部外者なんだけど・・聞いてもいいかな?」
 「十瑚さん・・長い話になってしまうんです。何が聞きたいですか?」
 「篠秋校長?は白斗くんのお父さんなの?」
 「養父です。僕は篠秋の養子です。」
 「十瑚さん。過去は過去です。あまり深入りはすることをお勧めしません。今の僕たちを見てください。」
 「うん……そうする。もう聞かないよ。八重くん。帰ろうか。心配なさそうだよ。」
 「直也に会わなくて平気?」
 「うん……。神瀬に俺から聞いた話ちゃんと伝えて。」
 「するよ。今日はありがとう。」
 「……あっ……それとっ……ひろ……」
 「?」
 「ううん。なんでもない。」
 「わかった。また遊びにきてね。」
 「ありがとう。」


 2人は白斗の家から出る。


 
 「はぁ・・。」
 「聞かなくてよかったの?」
 「うん……ダイニングテーブル。パソコンとか紙が重なってたから・・忙しかったのかなって。」
 優しいね。

 十瑚が颯の頭を撫でた。
 「先輩。帰ろう。今ならまだ大学に間に合う。」
 「そうだね。」




 












 こんな時間がずっと続けばいいのにって思う。弱いところに付け込む。酷いことだと思うけど・・俺に向かせるためにはこうするしかない。
 「講義頑張って」
 「今日はありがとうございます。」

 彼はお辞儀をして去る。

 口角が上がってしまう。

 「颯くんを俺のものにするチャンスだ。」

 俺はスマホを取り出し電話をかける。
 「七宮しちみや社長の電話番号を教えてくれ。」

 これからは俺が幸せにしてやる。













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