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やっぱりこの学校は

恩を返す

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 「どう言う意味?」
 家に入ろうとしたはつが止まる。
 「直木なおきと校長の話を聞いていたんだ。葉。話を聞いてくれ。」
 「てんは一回私達を裏切った。槇を信じられるわけないでしょう。」
 「お母さん。話だけでも」
 直也なおやがいることを忘れていた。でも直木のことに対して触れなかった。直也は『白斗はくとが危険』という言葉しか頭に入っていなかった。
 「直也も何をしたか分かってるでしょう。」
 「分かってるけど・・・」
 「槇。そう言うことだから帰って。」
 「葉っ!」
 そのままドアを閉めしまった。ドアの前でため息をつく。
 「お母さん。話ぐらい聞いても。」
 「・・・」
 真斗まさとは腕を組みながら2人を見ている。そして「あのさ」と声をかけた。
 「葉さんは槇さんの何に怒ってるんですか?」
 「だってそれっ」
 「白斗に違う薬を飲ませただけじゃなさそうだけど」
 「・・・今まで槇にはムカついていたことがあるの。・・・直也。白斗君のところに行って、自己嫌悪に走っちゃうよ。」
 直也は何も言わずにリビングに戻った。
 「さっき少し話に出てたけど、」
 少しだけクスッと笑った。
 「直也って本当白斗君一筋だよ。笑っちゃうぐらい。直也は頭がいいから、きっと聞こえた。でも興味がないんだろうね。」
 「葉さん?」
 「真斗。直木って名前出たでしょう。直木は2歳さの直也の兄。男高に取り上げられちゃったの。直木の話が出ても直也は何も思っていないのかもしれないし、2人で話そうとしてる時も颯爽と白斗君のところに行った。私と真斗との会話に興味がないのね。」
 またクスッと笑う。
 「・・・葉さん。直木に会いたいですか?」
 「会えるの?」
 「・・・俺に任せてください。今までの恩を返すと思って。」

 真斗が今までにない以上優しい顔をした。葉は真斗の肩を叩いて「その顔は白斗君に見せてあげなさい」と言ってリビングに入って行った。

 「俺の顔に何かついていたのかな?」
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