将来有望だった俺は騎士団を追放された、だからカワイイ幼馴染と共に冒険者として人生を歩むことにしよう

Tea

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5話 依頼

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 晴れて俺は冒険者になることができた。
 不本意だがヒルダも一緒にだ。
 でも、まあこれで良かったのかもしれない。
 一人で冒険者を始めると言うのも寂しいし、不安なことも多い。
 ヒルダがいてくれることで俺の精神的支えになってくれるだろう。
 幼い時からなんやかんやでヒルダに頼って生きてきたんだ。

「これからもよろしくな、ヒルダ!」

 ついつい声に出してしまった。
 ヒルダは、急にどうしたんだろう、といった感じで首を少し傾げていたが、

「一緒に頑張りましょう!」

 と返答してくれた。
 
 俺たちのやり取りを温かい目で見守っていた父さんが、

「お前たち、さっそく依頼受けてみないか」

 と提案をしてくる。
 いくら何でもいきなりすぎるだろうと思ったけど、俺とヒルダは騎士団としてそれなりに実戦経験があるのだ。
 まだまだ青年にも達していないような年齢だけど、そこら辺の冒険者より強いという自負はある。
 変なプライドは持たない方が良いのだろうが、魔物との戦いでは弱気になっていては勝てるものも勝てなくなってしまう。
 この齢でこの事実を知れたのは騎士団に在籍していた恩恵なのかもしれない。
 そう考えると、騎士団にいたこともあながち悪いものではなかったのかもな。
 二度と戻りたくはないけど。

 騎士団のころの思い出に没頭していると、

「どんな依頼ですか?」

 とヒルダが質問していた。
 ヒルダの方が意外に冒険者というものにノリノリなのかもしれないな。

「ああ、依頼というのはな、王都から少し離れた村に出る魔物の討伐だ。お前たちは何回も魔物の討伐をやってきてるだろ? 適任だと思ってな」
「どんな魔物ですか?」
「詳しくは分からんが、どうやら猪型の魔物だということだ。大きさとしても普通の猪とさほど変わらんらしい」

 魔物とはもともと魔界にのみ存在する異形の生物だ。
 体内に核と呼ばれる器官を持ち、そこに魔力を蓄えている。
 原生生物と比べてかなり獰猛な性格をしており、人類が被害を受けているだけでなく、家畜や原生生物にもかなりの被害が出ている。
 食料といった観点から見ても、家畜を殺されるのはたまったものじゃない。
 それに、一般的には魔物の肉は食えない。
 魔の力が肉体に宿りすぎているのだ。
 食えば様々な副作用をきたすことになる。
 例えば、とんでもない腹痛に見舞われたり、麻薬のように中毒症状を引き起こしたり、果てには死んでしまうものもいる。
 こちらの食料を荒らすのに、自らは食料にはならない。
 魔物とは本当に厄介な存在なのだ。
 しかし世界には魔物の毒性を完全に消し去る料理人もいるというからビックリだ。
 まあ、毒性が無くなっても魔物を食べたいとは思わないんだけど。

 魔物といえば少し前まではスライム状のプルプルした奴や、ゴブリンのような亜人に近いような奴、そして悪魔みたいな見た目の奴など一目で敵だと分かるような見た目をしていた。
 しかし最近では、今回の依頼のように獣の姿をしていたり、人型をしたものまでいるというのだから、魔物という種族の進化スピードは計り知れないものがある。
 本当に恐ろしい。

「……聞いてる? シグルズ?」
「えっ!? ああ、ごめんボーっとしてた」
「もう。依頼を受けるか聞いたのよ。どうする? 私はシグルズの意見に合わせるわ」

 ヒルダはあくまでも俺の意見を尊重してくれるらしい。
 もっと我が儘を言ってくれてもいいんだけどな。

「そうだな、せっかくの機会だから受けてみよう! 父さんが薦めてくるぐらいなんだから丁度良い依頼なんだと思うよ! ねっ、父さん」
「……ああ、もちろんだぞ。その通りだ」
「ほら、父さんもこう言ってる」
「そうね。なら受けてみましょうか」

 こうして俺とヒルダは猪型の魔物討伐を受けることとなった。
 今日冒険者になったばかりでいきなり依頼を任せてもらっていいのかな、と不安なところもあるが、今後依頼を受けていくうえで評判や評価は重要になってくるはずだ。
 誰しも腕が立つ冒険者に依頼したいだろうから。
 それならば着実に依頼をこなしていくことで自分の地位を確立させることが駆け出し冒険者には必要だろう。
 まだまだ冒険者は認知されていないのだから。

 依頼を受けた俺とヒルダはいったんそれぞれの家に帰り身支度をすることにした。
 依頼場所は今俺たちがいる王都から北の街道を歩いていき数時間のところにある街だ。
 おそらく今日はその街に泊まることになるだろう。
 ヒルダと二人でお泊りか。
 幼い時にお互いの家で泊まりあった時以来だな。

 少しワクワクしながら身支度を整える。
 騎士団を除名された際に武器や防具は外してしまった。
 だから家にある装備品を見繕っているのだ。
 これでも貴族の家だから家を探せばそれなりの装備が見つかる。
 冒険者といえば武器屋や防具屋で自分に合うものを買うのが醍醐味だけど、それは自分の手で稼いでからだ。

 家をゴソゴソと漁った結果、少し古びた剣にレザー装備一式を身に着ける形になった。
 もっと色々防具はあったけど、騎士とは違い冒険者として戦ってみたいという欲求に駆られたのだ。
 素早い攻撃を繰り出すような冒険者になりたいと思っている。

 準備を終えた俺は家を出ることにした。
 さっきはヒルダを待たせてしまったから今度は迎えに行こう。
 たまにはこういうのも悪くないだろう。

 意気揚々と玄関のドアを開けると、ちょうどヒルダがやって来た。
 どうやら彼女の方が一足早かったみたいだ。

 ヒルダの見た目は胸部に金属製の防具を装備し、腕にはガントレットのようなものを装備している。
 それ以外は動きやすそうな服装だ。
 そして彼女の武器は槍。
 機動力を重視して体の重要なところだけを護っているようだ。

「珍しく出てくるのが早いね」
「たまにはこういう日もあるさ」
「雪でも降るのかしら」
「バカ言え」

 目的の街へと歩き出すのだった。
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