世界に光をもたらすのは奴隷の猫娘と最強の女冒険者でした

Tea

文字の大きさ
2 / 16

2話 運命の出会い

しおりを挟む
 私は冒険者をやっているの。
 数ヶ月前に今までの生活を投げ打ち、一念発起して冒険者になった。
 周囲からは反対されたけどね。
 それ以来、マイペースに一人で世界を巡っているの。

 私が仕事にしている冒険者というのは、世界中に浸透している職業の一つで、基本的には人々からの依頼を達成することでお金を稼ぐことになってる。
 依頼の内容はモンスターを倒すことや、ダンジョン探索など、とてもロマンがあるものが多いんだ!
 だから冒険者は人気の職業なの。
 
 そして冒険者は困ってる人の役にも立てる。
 私にはそれがとても重要なポイントなの!
 むしろ、それがしたいから前職を投げ出してきたと言っても過言じゃないわ。
 困っている人を助けたとき、

「ありがとう」

 って言われるのがとっても嬉しくって、冒険者やってて良かったって思えるんだ。

 私の前職については……まあ……今は思い出したくないかな。
 悪いところではなかったんだけどね。

 何はともあれ私は冒険者なのだ。
 冒険者は自由だ。
 自分で好きに行動できる。
 自由サイコー!

 冒険者になった私はいろんな地域を巡って仕事をこなしてるんだけど、今回は砂漠都市ハトラーダって所に来てるの。
 ハトラーダはとても規模の大きな街。
 私たちの住む大陸の東南側に砂漠地帯があるんだけど、ハトラーダは砂漠地帯野中で一番大きい街らしいわ。
 砂漠なんて来る機会がなかったから最近知ったんだけどね。

 でも最近砂漠にある街々は治安が悪くなってと聞いてる。
 もともと治安が凄く良いわけではないらしいんだけど。

 今からおよそ20年前に魔物と呼ばれる生物が世界中に溢れ出した。
 数千年ぶりの魔王の再臨が原因と言われてるわ。
 その日を境に、世界中ではいろんな被害や問題が起こり続けていて、現在に至るまでの20年という歳月をかけて徐々に治安が悪くなってるんだと思う。

 世界の情勢が悪くなると、火事場泥棒みたいなことをする輩も出てくる。
 いわゆる盗賊団っていうろくでもない連中のことなんだけど、そんな盗賊団の捕縛依頼なんかも冒険者ならではの仕事と言えるかもね。

 なぜ盗賊の捕縛に国の騎士が積極的に動かないかというと、彼らは自国の主要箇所周辺の警護で忙しいから。
 主要箇所が魔物に攻撃されれば治安の悪さとか言ってられなくなるだろうから、しょうがないことなのかもしれないけどね。
 騎士は良くも悪くも国を護ることが優先なの。
 国が優先だから、盗賊に困る人まで手が回らなかったり、辺境の村には救助にもいかなかったりする。

 だから、そういう事態にも機敏に対応できるのが冒険者の良いところだと個人的には思うんだよね。
 まあ、治安を守っても大した稼ぎにならないことが多いからやりたがる冒険者って少ないんだけど。
 それでも大事なことだと思う。

 さっきからなぜこんなことを考えているかというとね、何か考えてないと退屈だしボーっとしちゃうから。
 私は生まれて初めて砂漠に来たんだけど、ホントに暑いんだよね。
 噂では聞いてたけど、ここまで熱いとは予想してなかった。
 日焼けするし、今にも倒れそうなの。
 ここは本当に人が住む場所なの?
 と疑問に思っちゃうくらい私にはキツイ環境だわ。
 砂漠に住んでる人には失礼だけどね。

 でも、砂漠も悪いことばかりじゃないと思う。
 さっきから街の人とすれ違うんだけど、砂漠の服ってなんか良いよね。
 独特のデザインで!
 本当にカワイイよね、ターバン。
 今回砂漠に来たのは仕事を受けるためだけじゃなくて買い物とか食事とかも楽しみたいなって考えてるの。
 各地で羽を伸ばすっていうのも冒険者の醍醐味だと思うんだ。
 だから後でお店を見て回ろうと思ってるの。
 きっと素敵な一品に出遭える、そんな予感がするんだよね。
 私の勘は良く当たるって友達とかからも言われてたし。

 いろいろなことを考えながら歩いているんだけど、やっぱり砂漠の街だけあって街中砂だらけだ。
 これぞ砂漠の街って感じがして良い雰囲気だと思う反面、やっぱりキレイな印象は受けないから治安が荒れてしまう要因の一つになってるのかもしれないと思う。
 清掃してもあんまり意味ないんだろうけどね。

 さっきからなんで私が歩き回ってるのかと言うと、食事が取れる所を探すためなんだよね。
 この街に来る時に乗せてもらっていたキャラバンのおじさんに、

「美味しい砂漠名物食べれる所無い?」

 って聞いたら、

「あるよ、旨い店が。目立つ店だからこの道を歩いてればすぐ分かるさ」

 とか言われたから歩いてるんだけど全然見つからないの。
 もしかして、もう通り過ぎてるのかな……。
 それとも騙された?

 グギュー

 お腹が鳴り始めた。
 女の子としてダメな気がする。
 思い返せば、冒険者になってからだいぶガサツになった気がするな~。
 最初の内こそ、ちゃんと宿屋に泊まって毎日お風呂に入ってたけど、今となっては野営にも慣れてきて、川や湖での水浴びにも抵抗なくなったし、なんなら数日水浴びしないこともあるし……。
 まあ、砂漠では水が貴重だろうからそんなにお風呂入れないだろうし、今の性格もあながち悪くないのかも。
 物事はポジティブに考えよう。

 グギュルルル

 またお腹が鳴った。

「お腹へったな~」

 ついボソッと声が出てしまう。
 それほどまでにお腹が空いているのだ。
 というか正直限界だ。
 人間、空腹には抗えないものがあるよね。

「お嬢さんお腹空いてるのかい? 良い店がアルヨ」

 突然いかにもなおじさんに声をかけられてしまった。

「ホラ! こっちこっち!」

 腕をつかまれて連れて行かれる。
 こういうときって、抵抗した方がいいのだろうか?
 でもお腹空いてるのも事実だし……。

「ココの店だよ!」

 悩んでいる内に店に着いたみたいだ。
 外見や看板などから察するに、どうやらご飯屋さんと宿屋がくっついた複合店みたい。
 雰囲気は悪くないし店の外に居ても良い匂いが漂ってきて私の鼻腔を刺激する。
 まだ今日泊まる宿も決めてなかったから一石二鳥ってやつなんだけど、ここまで案内してくれた胡散臭いおじさんのせいで、ぼったくられるのだろうか、ヤバイ人たちの溜り場なんじゃないか、と思考を巡らせてしまう。

「サア! 入った、入った!」

 また腕を掴まれ、有無を言わさず店内に連れて行かれる。
 かなり強引なおじさんだ。

 店内に入ってみると、外からは分からなかったが結構繁盛しているみたいだ。
 お客さんや店員さんもパッと見ヤバイ人たちには見えないから、恐らくここは普通の店なんだろう。
 疑ってゴメンね、おじさん。

「良さそうな店だね! ありがとう、おじさん!」 
「イイよ~。案内してあげたお礼に昼飯奢ってヨ!」

 そういう魂胆だったのか……。

 おじさんにお昼ご飯を奢ってあげるついでにこの街について色々話を聞いてみることにしよう。
 そう考えて、おじさんと同じテーブルでご飯を食べながらこの街の見所やどんなお店があるのかなどを聞いてみた。
 街についての詳しい話が聞けてとてもタメになったのだが、

「いろいろ教えてあげたから情報料キッチリ払ってもらうヨ」

 と追加のお金を取られたのは言うまでも無い。

 おじさんに聞いた話だとマーケットと呼ばれる、いろんな店が集まっている一角があるらしい。
 なので憧れのターバンや、旅の役に立つものを買いに行こうかなと思いご飯屋を出ることにした。
 ついでに今晩の宿はここで取ったから荷物は部屋に置いてきて今は身軽な状態だ。
 運良く部屋が空いてて良かったよ。

 その後マーケットへ向かったんだけど、さすが情報料を取るだけあり、おじさんの教え方が上手かったためマーケットには迷うことなく辿り着くことができた。
 これは後で知ったことなんだけど、宿屋の店員さんに言えば街の地図とかパンフレットみたいなのが無料でもらえたらしい。
 なんという無駄な出費。
 おじさんへの情報料以外に高かったのに……。

「ほえ~ここがマーケットか~すごい活気~」

 ハトラーダの街中もそれなりに活気が溢れていたが、このマーケットは人がひしめき合うという表現がピッタリなほどの人が居るし、一目で地元の人ではないと分かる衣装の人も大勢居ることから、おそらくここは世界的に有名な商業区画なのだろう。
 むしろ、知らなかった私が世間知らずなのかも。

 人混みを掻き分けながらいろんな店を見て回ったけど本当にいろんな店がある。
 服屋に雑貨屋、食べ物の屋台、薬屋、武器屋、防具屋、怪しいお店、蛇使いの見世物なんかもあった。
 いろんな店に入り、ビックリするような商品を目にしたりして、ワクワクドキドキしながらマーケットを歩いていると、

「オークション始まるよー! 良質な商品ばかりだよー」

 と言う声が聞こえてきた。

 オークション。
 これは素敵な一品との出会いがあるかも。
 是非とも参加しなければ。
 ということで善は急げだ。
 素早く人をかき分けながら声が聞こえた方に行ってみる。
 すると、すでにかなり大勢の人が集まっていた。
 このオークションがマーケット内でかなり人気があるコンテンツであることが一目で分かる。

「現在10万ナディです! これ以上はいませんか? ……10万ナディで落札です!」

 どうやらすでにオークションは始まっているようで、商品が落札されたみたいだ。
 次の商品はなんだろう、と考えながらステージを見ていると、

「お次の商品はこちら! 目玉商品ですよ~。なんと、獣人族の猫娘です!」

 司会の言葉に耳を疑う。
 今、何と言った。
 どういうことだ、人身売買をしているとでも言うのか、こんなにも堂々と。
 人身売買は犯罪行為のはずだ、許される訳がない。
 この街の騎士団に報告しなければ。
 いや、この際、私が壊滅させた方がいいだろうか、これも冒険者の仕事の一つかもしれない。
 怒りのせいなのか自然と拳を握り締めていた。
 そして、司会の言った通りステージ上に獣人の女の子が連れてこられる。
 可哀そうに、いったいどんな子なんだろう。

 ステージ上にはケモ耳をぴょこぴょこさせているちょっと小柄な少女が出てきた。
 ……天使だ、天使が出てきた、カワイイ。
 一目見て分かった、これは運命なんだって。
 私は彼女と出会う運命だったんだ。

「買った~~~~~!!!」

 つい大声が出てしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

女性が少ない世界に転生した控えめ伯爵令嬢、なぜか五人の婚約候補に選ばれて少しずつ恋を知っていきます

ノッポ
恋愛
女性が極端に少ない異世界に転生した私は、気づけば伯爵令嬢になっていた。 前世は日本で普通に生きていたせいか、貴族令嬢らしい強気な振る舞いがどうしても苦手。 社交界デビューを迎えても、「どうして私が選ばれるの?」と戸惑うばかりだった。 けれど今年デビューする高位令嬢はわずか三人。 家同士の思惑も重なり、騎士団長家の息子、宰相子息、魔術師団長の息子、幼なじみの侯爵子息、そして英雄騎士―― 五人の若きエリートとのお見合いが次々と始まってしまう。 遠慮がちで控えめな性格は、この世界では珍しく、気づけば少しずつ距離を縮めていく彼ら。 異世界での恋愛に戸惑う日々。けれど出会いを重ねるたびに、私は少しずつ変わっていく――。 女性希少世界で、自分の幸せを選べるようになるまでの逆ハーレム恋愛ファンタジー。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、すれ違いの末に離れ離れになった夫婦の物語。 再会したとき、二人が選ぶのは「離婚」か、それとも「再構築」か。 妻を一途に想い続ける夫と、 その想いを一ミリも知らない妻。 ――攻防戦の幕が、いま上がる。

処理中です...