世界に光をもたらすのは奴隷の猫娘と最強の女冒険者でした

Tea

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3話 接触

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 私はオークションのステージに連れてこられる。
 今からの数分で私の人生が大きく左右されるだろう。
 足が重い。
 進みたくない。
 しかし、そんな私の意思などお構いなしに鎖を引っ張られステージ上に連れていかれる。
 ステージ上に到着すると、そこから見渡す光景は視界いっぱいに人間が溢れていた。
 こんなにも人がいるなんて。
 それは私の予想を遥かに上回る数だった。
 この大勢の人間の中の誰か一人が私の新しいご主人様になるのだろう。
 不安でたまらない。
 今すぐ引き返したい。
 足が震えそうだ。
 でも、弱いところを見せてはダメだ。
 弱みを晒せば次の生活が今より苦しいものになるかもしれない。
 怯える姿を趣向とするような奴に買われれば、確実に嬲られるだろう。
 そんなのは絶対に嫌だ。
 ステージ上では気丈に振る舞うんだ。
 私の頭の中を恐怖が支配しているとき、

「買った~~~~」

 どこからか大声が聞こえた。
 一体誰が言ったんだろう?
 客席に視線を走らせる。
 女の声に聞こえたが、ステージ上から声の主を特定することができない。

「おーっと、さっそく元気な声が聞こえてまいりましたが、さっそくオークションの方を始めさせていただきたいと思います。獣人の娘など滅多に市場に出回りません! 皆様、どうかこの機会を逃さないでください!」

 司会が進行を始めた。
 ついに私の新しい主人が決まる。

「では、今回のこちらの商品、スタート価格は0ナディです!」







 カワイイ猫ちゃんのオークションが始まってしまった。
 さっきは自然と大声が出ちゃったけど、どうしよう……。
 なんか周りの人からジロジロ見られてるし。

 猫ちゃんとお近づきになりたいけど、オークションに参加すれば人身売買に加担することになってしまう。
 そんなのはダメだ。
 でも猫ちゃんが誰かに買われてしまう。

「10万払うぞ!」
「おおっと! いきなり高額の入札だー!」
「俺は15万出すぞ!」
「20万!」
「35万だ!」

 考えているうちにオークションは進んで行く。
 皆、鬼気迫る表情で落札しようとしている。
 考えることは同じってことか。
 ステージ上の猫ちゃんを見てみると、不安そうな表情をしている。
 きっと怖いんだ。
 当たり前だ、今から会ったこともない人間に奴隷として買われるんだから。
 怖くないわけがない。

「35万以上はいませんか?」
「これ以上は……。」
「俺も手を引くしかないか……。」

 入札で盛り上がっていた会場が静まり始める。
 その時、

「50万出そう。」
「50万が出ました! これ以上はいませんか?」

 50万ナディという金額に会場はざわつき始める。
 かなりの金額だ。
 普通に使えば10年以上は余裕で暮らしていけるだろう。

「50万出すって言ったやつ貴族様じゃないか?」
「確かに。貴族様と言えば俺たちの税金で私腹を肥やしてるんだろ? 税金を何に使ってんだよ」
「おい! 滅多なこと言うな、お前殺されたいのか!? 貴族様の残虐さは知ってるだろ!」

 周囲のひそひそ話が聞こえてくる。
 どうやら貴族が入札したようだ。
 それもかなり性悪な人格の持ち主らしい。
 ステージ上の猫ちゃんにも聞こえているのだろうか?
 さっきよりも顔色が悪く見える。
 このままでは貴族が落札することになるだろう。
 それでいいのだろうか。
 いや、冒険者の本分は人助けをすることだ。
 なら、今すべきことは一つじゃないか。

「いませんか? ……いないようなので50万で……」
「待った! 私は300万ナディ出す!」

 ついに入札してしまった。
 だけど後悔はない。

「…………」

 オークション会場に一瞬の沈黙が訪れた。
 司会も口をあんぐりと開けている。

「さ……さんびゃく……300万ナディでそちらのご婦人が落札です!」

 ウオオオオオオ

 オークション会場がとんでもない歓声に包まれる。
 落札したのが貴族様じゃないのが、この街の者にとってはそこまで愉快なのだろうか?
 それとも金額?
 貴族様は顔を真っ赤にして会場から出ていった。
 そうとう頭に血が上っている様子だ。

「あんた300万なんて持ってんのか!?」
「そんな大金をポンと出せるなんて王族か何かか!?」

 周囲の人々からかなりの質問を投げかけられる。

「王族なんかじゃないわ、ただの冒険者よ。」







 私のオークションが終わりを告げた。
 300万ナディなんて言うバカげた金額で落札された。
 300万ナディもあれば、豪邸が建つはず。
 あの女何者なの?

「おい! 奴隷! お前とんでもない価格で落札されやがったな! 300万ナディもあれば俺は大金持ちだぜ! ありがとな!」

 奴隷商人のクソやろうが満面の笑みを浮かべて近づいてくる。
 こいつの顔を見るのも今日が最後だ。
 こいつの所にいた方が良かった、なんて人生だけは送りたくない。

「私を買った人、何者?」
「知らねえよ。ただ身なりからしてこの街の人間ではないだろうな。」

 この街の人間ではないということは、おそらくこの街を離れることになるだろう。
 移動中に隙を見て逃げ出せないだろうか。
 いや、300万ナディも持ってる人間だ、逃げ出したら何されるか分からない。

「おい、奴隷! そろそろ引き渡しの時間だ、行くぞ!」

 クソやろうに連れられ引き渡し場所を目指す。
 今後のことを考えると足取りが重くなる。
 どうやら引き渡し場所はオークション会場の裏手のようだ。
 先ほど私を落札した人間がすでに待っていた。

「すみませんお客様! お待たせしてしまって!」

 クソやろうが商売用のスマイルを浮かべ対応している。

「さっそくですが、代金の方を頂けますか?」
「これよ。」

 目の前で大金のやり取りがされている。
 そもそもこの人間はなんで300万なんて大金持ち歩いてるんだろう?
 不用心すぎる気がする。
 いや、そんなこと考えるだけ無駄だ。
 私にはどうしようもないことだから。

 クソやろうがお金を数えている間、新しくご主人様になる人間は私のことをニコニコしながら見ている。
 この後のことを考えて興奮しているの?
 私は何をされるの?

「はい! 確かに300万ナディ頂きました! 現時刻を持ってこの奴隷はあなた様のものです! どうぞ煮るなり焼くなり好きにしてください!」

 そんなことを言うとクソ野郎はホクホク顔で去っていった。
 新しいご主人様が近づいてくる。
 相変わらずニコニコしながら。
 そして、

「猫ちゃ~~ん!」

 私は抱きしめられた。
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