世界に光をもたらすのは奴隷の猫娘と最強の女冒険者でした

Tea

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6話 初めてのダンジョン

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 私の冒険者になるための試験はご主人様の圧倒的力によってあっさりと達成された。
 むしろ私は何もしていないのに冒険者になれてしまっていいのだろうか?
 と不安になってしまうくらい何もしていない。

 真っ二つになったデザートスコーピオンから核や使えそうな素材を回収した後、私たちは街に帰ることにした。

 冒険者というのは魔物の核や素材を売って日銭を稼ぐものらしい。
 魔物の数が増加している昨今、魔物の討伐が冒険者ギルドに集まる依頼のほとんどを占めるのだ。
 中には薬草採取とか迷子のペットを探してみたいな依頼もあるらしいけど、ほとんどお金にならないらしい。
 それに、魔物の素材はお金になるだけじゃなく武器や防具を作るのに使えるらしい。
 ご主人様が楽しそうに語っていた、

「自分で倒した魔物から自分専用の武器を作る! これぞ冒険者のロマンだよ!」

 と。

 正直、私は武器を使ったことがないからその気持ちが分からない。
 いつも素手で戦ってたから。

 歩きにくい砂漠に体力を奪われながら、特に問題なく街に辿り着くことができた。
 街に辿り着いたその足で冒険者ギルドへ向かい、私の登録を完了させてもらうのだ。

「確かにデザートスコーピオンの核と素材ですね。受理いたしました。これでシナア様の冒険者登録を完了させていただきます。冒険者の証としてこのドッグタグを身に着けておいてください。シナア様の冒険者としての身分が保証されますので。初めはシルバー級ですが、依頼をこなし実力が認められれば昇級することができます。ぜひ最高位のゴールドダイヤモンド級を目指してくださいね。」

 無事冒険者になることができたようだ。
 さっそく渡されたドッグタグを首から下げてみる。
 猫の獣人に“ドッグ”タグなんて……とは言わないお約束だ。

「これでシナアちゃんも無事冒険者になれたね!」

 ご主人様もこれで一安心といった様子で笑いかけてくれた。

「すいません、さっそく依頼を受けたいんですけど、報酬が良い依頼ありませんか? お金に困っているもので……」
「そうですねー、今ある依頼の中で高額な報酬のものとなると……あっ、これなんてどうですか? 砂漠にある古代遺跡内に住み着いた魔物の討伐なんですけど、報酬が5万ナディですよ。」
「詳しく聞かせてください!」
「分かりました。 場所はハトラーダの街から北西に進んだところにある遺跡なんですが、どうやら遺跡内にミイラやゾンビ、さらには幽霊などが出るらしいんです。 それもかなりたくさん。 このミイラやゾンビなどを蘇らせて操っているのが魔物らしいということです。 おそらく、その魔物を倒せばミイラやゾンビたちも、もとある姿に戻ると思います。」
「なるほど。報酬が5万ナディもするだけありますね。分かりました、その依頼受けます!」
「この依頼をオススメしておいてなんですが、かなり危険な依頼ですよ? そのままゾンビたちの仲間入りもありえますから。」
「危険は承知です。これほど高額な依頼に巡り合えたのは天のお導きだと思いますので!」
「分かりました。ではソレイユ様とシナア様がこの依頼を受諾したと依頼主に伝えておきます。無事に戻ってきてくださいね。」

 こうして私とご主人様は死霊が溢れる遺跡へ行くことになった。
 
 遺跡まではそれなりに距離があるようで、今から出ると道中で野宿になるかもしれないとのことだった。
 しかし、早いところ依頼を達成しなければお金がなさ過ぎて餓死してしまう。
 ということでさっそく出発することになった。
 
 遺跡までの道中でデザートスコーピオンなどの魔物に何度か遭遇したが、ご主人様があっという間に倒してしまう。
 なので、私は何もすることなく遺跡に辿り着いたのだ。
 当初の見立てでは野宿になるかもとのことだったが、日は沈んでしまったが野宿せずに遺跡まで辿り着くことができた。
 これも、ご主人様の奮闘のおかげだろう。

「遺跡の入り口付近にはゾンビはいないみたいだね!」

 ご主人様の言う通りここら辺に魔物の気配は感じない。
 だけど入り口からは腐敗臭のような何とも言えない臭いが漂ってくるから、遺跡内に何かがあるのは間違いないだろう。

「ソレイユ。変なにおいがする。」
「え!? そんなに臭う!? 確かにお風呂入ってないけど……」
「そういう意味じゃなくて、遺跡の中から。まあ、ソレイユもちょっと臭うけど。」
「やっぱり臭ってるの!? あんまり嗅がないで~!」

 ニオイを指摘されてからご主人様は私から少し距離を置いている。
 よほど嗅がれたくないのだろう。
 砂漠を歩いて魔物と戦ってたから、ちょっと汗のニオイがするくらい気にしなくてもいいのに。

 腐敗臭漂う入り口を通り抜け遺跡内部に入ってみると、広い空間に出た。
 外観は砂に埋もれている部分が多くてよくわからなかったけど、この遺跡はそれなりに大きなものみたいだ。
 この大きさの遺跡の中で魔物を探し出して倒すのはかなり骨が折れる作業だろう。

「ありゃ~広いねこれは。どこに魔物がいるか見当もつかないな」

 ご主人様も遺跡がここまでの大きさだとは予想していなかったみたいだ。

「どこから探そうかな~? シナアちゃん、何かいいアイデアない?」
「あっちの方から濃い臭いがするから、ゾンビが集まってるのかも。そこに操ってる魔物もいるかも。」
「そんなの分かるんだ! やっぱり鼻がいいんだね! じゃあ、シナアちゃんが指さしてる方から探してみようか!」

 意気揚々と歩き始めるご主人様。
 私の言葉を一切疑うことがなかった。
 騙されてるとか考えないのだろうか、まあ騙してはいないんだけど。
 それとも、そこまで私のことを信用してくれてるの?
 普通、出会って一日しか経っていない相手をそんなに信用できるものなのだろうか。
 変わった人だな。
 そんなことを考えながらご主人様の後をくっついていく。

「ストップ。シナアちゃんの嗅覚通りゾンビがうじゃうじゃいるよ!」

 部屋を通路の角から覗いているご主人様がそう言った。
 どうやら私の見立ては当たっていたようだ。

「でも、肝心の魔物はいないみたい。でもここのゾンビをそのままにはできないわよね」

 そういうとゾンビがたくさんいる部屋に入っていってしまった。
 ざっと数えても30体くらいゾンビがいるのに、勝算があるのだろうか?

『蠢く亡霊へ浄化の一撃を ―― ホーリー ――』

 ご主人様から眩い光が広がる。
 その光を浴びたゾンビは一体また一体と光の中に消散していく。
 そして、部屋を埋め尽くしていたゾンビたちは、初めからそこにはいなかったように姿を消してしまった。

「すごい……」

 素直な称賛の言葉が口を衝いて出た。
 それほどまでにすごい魔法だった。
 お世辞など抜きにしてご主人様が女神や天使に見えたのだ。

「これでこの部屋は終わりだね! 次はどっちに進めばいいか分かる?」

 あれほどの魔法を使ったのに疲労した様子が一切ない。
 本当に底知れない実力を持っているみたいだ。

「シナアちゃん? どうしたの? 臭い分からなくなっちゃった?」
「ちょっと待って……今度はあっちから強い臭いがする。」
「よーし、行ってみよう!」

 だけど次の部屋にいたのはゾンビだけで操っている魔物はいなかった。
 その次の部屋、さらに次の部屋にも。
 結局一回りして入り口まで戻ってきてしまった。

「いないねえ~あらかた探したと思うんだけどな」

 確かに遺跡内はほとんど探したと思う。
 依頼の情報が正しくなかったのだろうか。

「あっ! シナアちゃん、あそこの石碑みたいなやつ見て! ちょっとズレてる! きっとあれの下に地下があるのよ!」

 ご主人様が指さした石碑は確かにズレていて、動かせば階段がありそうだ。
 さすが古代遺跡だけあって、ギミックに凝っているようだ。

「動かすの手伝って、シナアちゃん!」
「うん。」
「せーのっ!」

 二人で押すと石碑はズリズリと動き、地下へと続く階段が姿を現した。
 
 そして、先ほどまでと比べ物にならないとてつもなく強い臭いを感じた。
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