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第2章
第14話 真琴、食の改善を求める
しおりを挟む「ほおー、なかなか賑わってるじゃないか。さすが鉱山の街だな。
これこそ異世界って雰囲気が街並みから感じられるな。」
「確かにそうですね、異国情緒あふれています。
あっ! 真琴様。あちらが、おじさんがおっしゃっていた、
鉱山豚の串焼き屋台ではございませんか? 」
『…… うーん、多分ね。。。』
「「? 」」
「真琴、どうした? 串焼き食べるんだろう?
金ならアム神様から、たんまり貰ってるから大丈夫だぞ?」
「真琴様? ご気分でも優れませんか? 」
「「…………」」
何故かだんまりになって、街のあちらこちらに、目を向ける真琴だったが、次第にその眼差しが、厳しさを帯びて行くのを、奏多と桜は、息を呑んで見守っていると、真琴が、おもむろに言い放った。
『あのさ、ここから屋台や食べ物を扱うお店が、結構見えるよね? 』
「ああ。」「はい。」
『君たちは、違和感を感じないのかな?
俺はさっきから、ビンビンに違和感を感じるんだよね。」
「「…………」」
「あっ、分かりました真琴様! 屋台やお店が見えるのに、
何故か食べ物の、香しい匂い一つしないことですね。」
「ああ、そう言えばそうだな。あの屋台なんて、串焼き今まさに、
ガンガン焼いているのに、うまそうな匂い一つしないぜ。」
『だろう? 炭や藁の匂いはするけど、
食欲を刺激する匂いが、さっきから、全然しないんだっ!
食べ物は、五感をフルに刺激してくれるモノでなければ、
絶対だめなんだぁーーー! ふう、ふう、はー。 』
前世で、可愛い女の子にモテる事に、全力を注いでいた真琴が一転し、食に付いて熱く語っていた。転生した影響か、はたまた人型変身が上手くいかない「カラフルバニボー」故か、モテ人生を早々に諦め、食にシフトチェンジしたものか、その熱の入り方に、奏多と桜は押され気味だった。
「おおっ、そうだな。でも、あまり興奮するなよ。
街の住人がお前の演説に、ビビってるみたいだぞ。」
「まず、一度食べて見てはいかがでしょうか? 」
「そうだな、食べてみたら意外に旨いかも知れないしな。」
『…… だね。匂いと味は別次元かも知れないしね。
おじちゃん! それって鉱山豚の串焼き? 』
「ああ、そうだよ。この街の名物だ!うめえぞぉ~」
未だに疑心暗鬼になりながらも真琴は鉱山豚の串焼きを三本もらう。
『はい、奏多と桜の分だよ、食べよ。』
「うん、もらうぜ」「ありがとうございます。」
「「「いただきます。」」」
「「うっ——。」」
『—— ゲェーゲロゲロ。。。まずっ!ゲロまっずっ!
これって人間が食べて良いもんじゃないっしょ!
ざけんなぁ~~~! 』
3人とも、この世界の食べ物を初めて口にした瞬間を、色々な意味で、一生忘れる事が出来ないだろう。
真琴の不安は見事的中し、五感全てがやはり拒絶する事態になっていた。そんな失礼な態度を取る3人組を後目に、屋台の気のいいおじさんは、怒るどころか笑いながら、他の客に串焼きを焼いていた。
屋台のおじさんの話だと、この街の出身者以外だと、皆、多かれ少なかれ、真琴達と同じような反応をするらしい。しかし、真琴のようにここまで大げさに叫んだ者は初めてだと再び大笑いされていた。
しかし、真琴にとっては死活問題である。大げさだと奏多は言っているが、真琴は「カラフルバニボー」姿で転生して、モテ人生を諦め、食通としての道を、この異世界で極めようとしていたらしい。
『が、奏"多"ぁー お、俺の、て、転生人生は…… 終わりだ~~
やっぱり、初めに感じた違和感は、これだった! 』
「いやいや、真琴、オーバーだな。別に、
この世界の食べ物を食べなくても、困らないだろう?
スキルで旨いもん取り寄せすればいいだろうが。」
『奏多は何にも分かっちゃいないね!
旅行の醍醐味は食だろうっ! 観光だけじゃダメだぁ!
こんなの味がまかり通るなんて許されないぞ!
絶対改善が必要なんだよ! 俺はヤル男だっあああ!』
「…… 真琴。」「真琴様、お労わしい。」
奏多と桜は、真琴の鬼気迫る様子に、モテイケメンに、なりたかった反動なんだろうなと、真琴にどんな協力もしてやろうと、二人はいつものアイコンタクトで分かりあっていた。
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