異世界学園の中の変な仲間たち2

へすこ(ひしご)

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そのいち

肉食の赤フン

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 アストレーゼン学園、学生寮。
 今日は日曜日の為、生徒達は各々好きな事をして過ごしていた。ラスは週に何回かアルバイトをしていたが、リシェと同居になってからは土日限定に日数を絞っていて、早朝から昼までの時間のみ部屋を空けている。
 今はがっつりとバイトをやらなくても平気なので、そこまで仕事に関して気にする必要も無い。ただ、稀に結構入っていたのにどうしたの?と他者から聞かれる位。
 好きな人と一緒に居たいから、とこれまた馬鹿正直に答えていたので、恋人が出来たのだと祝福された。
 恋人を連れて店に来い、とまで言われた。
 しかし、実際は恋人にもなっていない。
 自分が一方的に好き好きビームを放ちまくっているだけで、相手には擦りもしていないのが現状だ。
 そしてその相手は、同じ男なのである。

「おはようございます、先輩!もうお昼ですよ」
 バイトを終えて急いで戻って来たラスは、昼になってもまだベッドで寝入るリシェを優しく起こす。
 隣にはクマのぬいぐるみを添い寝させ、ううんと唸りながら彼はゆっくりと瞼を動かした。
「起きないとキスしちゃいますよぉ。先輩、ほら起きて」
 その言葉に、リシェは布団を掴んでばふりと頭から被った。どうやらキスされたくないらしい。
 もう、とラスは膨れる。
「先輩ぃいい。一日無駄にする気ですか?ずうっと寝てると、俺襲っちゃいますよ!先輩ぃ」
 先輩と言うものの、ラスの方が年上で第三者から見れば疑問符が浮かぶのだが、先輩呼びが癖になってしまったのでリシェも完全にスルーしていた。
「…うるさいなあ…」
 あまりにもしつこいラスに、ようやくリシェは目を覚まし布団から顔を出した。
 白い布団から覗くリシェの寝乱れている姿は、彼に恋焦がれているラスには少し刺激的だった。リシェはとにかく目を惹きつける美少年っぷりで、変質者とハトに目をつけられるタイプなのだ。
 ハトに懐かれる原因は、一緒に居るラスも全く理解が出来ない。恐らく元の世界に原因があるのだろう。
 元の世界の記憶を持っている者は、知る限りではラスとロシュのみ。
 何故ロシュも記憶を持っているのだろうかとラスは面白く無かったが、こちら側の世界ではリシェを必ず自分の手中に収めてやるのだと意気込んでいた。
 元の世界では、リシェはロシュを愛していたのだから。
「先輩、随分寝てましたね。夜更かししてたみたいだけど」
「うん」
 リシェは寝癖を撒き散らした頭を押さえて、ゆっくり体を起こした。
「ゲームでチャットをしていたのだ」
「え?こないだの乞食が出てきて即辞めしたあれですか?」
 リシェは寝ぼけ眼のままでこくりと頷いた。
「その乞食と再会して、フレンド登録というものをした」
「良く覚えてますね」
「名前がインパクトあったしな」
 あのリシェがゲームでチャットとか…と元の世界の彼の姿を思い出し、ラスは変な気持ちに陥ってしまった。
 このような俗物的なものは、絶対やらない硬派なタイプだからだ。
 ふあ、とあくびをするリシェに、ラスは首を傾げて名前?と問う。
「うん。えっと…ああ、思い出した。肉食の赤フンって名前だ。変な名前だろう?」
「………」
 名前からして危険な雰囲気を感じるのは気のせいだろうか。いや、もしかしたら名前には特別こだわりが無い人なのかもしれない。
「悩み事を聞いていたのだ」
「悩み?肉食の赤フンの?」
 自分で言っておいて、嫌な名前だと思ってしまう。
 まるで赤褌を愛用する肉食男子みたいで。
「そう。何か学校の友達が違う奴に夢中になって寂しいって話だった」
「へえ…学生なんだ…学生なのにその名前のセンス…」
「ただ話を聞いているだけだったけどな。その赤フンの友達は、学年が下の奴に夢中らしい。どうせ飽きたら戻ってくるだろって返した」
「そっかあ」
「俺、チャットは苦手だけどそいつとは仲良くなれそうな気がするよ」
 ラスはリシェの話を聞いた後、不満げにぷくりと頰を膨らませた。
 じゃあ俺とももっと仲良くして下さいよ、と言わんばかりに。
「先輩、遊びに行きましょう」
 まだ寝間着姿のリシェを急かすようにラスは誘った。
「俺とデートするんです。美味しいパフェの店行きましょう。甘いの好きでしょ、先輩!」
 美味しいパフェ、と聞いたリシェはようやく分かったとベッドから降りる。彼は甘いものに目が無い事は、十分理解していた。
「じゃあ着替えるから待ってろ」
「はい、先輩。その前に抱き締めさせて下さいね」
 ラスは彼の小さな体を抱き締め、今日はお給料が入ったからご馳走しますねと愛情たっぷりに囁いた。
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