異世界学園の中の変な仲間たち2

へすこ(ひしご)

文字の大きさ
6 / 101
そのご

いがみ合いインタビュー

しおりを挟む
「じゃあ、最初にインタビューしようかなぁっ?あっ、荷物とか大丈夫ですかぁ?」
 スティレンの両手にどっさり下げていた紙袋を、雑誌の編集者は心配そうに指摘する。コインロッカーを探してたんだよね、と言いながら彼は荷物を地面に置き、軽く身の回りを整える。
 心底嬉しそうに「ちゃんと載せてよね?」と念押しし、じゃあ始めよっかと優雅に微笑んだ。
「ええっとぉ、学校はどこかなっ?見た感じお友達同士かな?」
 スティレンとシエルはお互い顔を見合わせた後、それぞれ別の事を言い出す。
「はい、僕達、お友達でぇす★」
「違うクラスだし別に友達でもないし、街中で偶然会っただけ」
 愛くるしい微笑みをしていたシエルは、普通に否定しだすスティレンに「はあっ!?」とややドスのきいた声を上げていた。
 スティレンは本当の事じゃない、としれっとする。
 編集者はがっつりとメイク済みの大きな目をまばたきしながら「んっ?」と聞き直していた。
「こういう時は嘘でもいいから話合わせろよ!あんた空気読めないの!?」
「俺は正直なんだよ。おまけに美しいし」
「今美しいとかそういう話してないでしょ!?」
「学校はアストレーゼン学園。ま、最近転入して来たんだけどね」
「ちょっと、人の話聞いてくれない!?」
 一方的に話を進めていくスティレンに、シエルは焦りながら怒鳴った。
 編集者は気を取り直し、サラサラとメモ帳に内容を書いていく。
「んーっと、じゃあ一応お友達にしておいてもいい?ほら、雑誌の記事だから心象良く書いた方がいいと思うし…君達も少し有名になれるにはそれが無難だと思うの」
 ほらあ、とシエルは頰を膨らませる。
 スティレンは別に構わないけど、と了承した。
「それじゃあ最初にスティレン君の趣味と好きなタイプ教えてくれない?」
「俺の趣味?…そうだね、美に磨きをかける事かな。ま、俺レベルなら多少手抜きしても美しいのは変わりないけど、美は一日にしてならずっていうからね」
 こんな時ですら決して控えめにならないスティレンに、シエルは引いていた。そして編集者ですら引いている。
 確かに彼はきめ細やかな肌質を持っていて、自分で言うだけあってかなりの美少年の部類に入るだろう。
 しかしここまで自分が大好きだとは思いもしなかった。
「は…あはははっ、君面白いねぇ。確かに綺麗だもんねっ、スティレン君!沢山努力してるでしょう?」
「ふん、当たり前じゃない」
「じゃあ、やっぱり好きなタイプになるとレベル高いかなぁ?」
 流石雑誌の編集者である。
 話を自然に繋いでいくのはお手の物のようだ。ドン引きするシエルを余所に、スティレンはそうだねと答える。
「好きなタイプはリシェかな。あいつはとにかく根暗で泣き喚くしウザいけど、顔はいいからね」
「リシェ?知り合いの子かな?」
「俺の従兄弟」
 編集者はメモをする手を止めてしまった。
 …書きにくい!!記事にならないじゃないの…!!
 ある意味面倒なタイプに出くわしてしまった、と表情を固くする。
「そ、そうなのね…!!じゃあ、次はシエル君にインタビューしようかな?」
 シエルは待ってましたとばかりに満面の笑みを浮かべた。
「ええっとぉ…僕の趣味はね、水槽の中のナマコの成長を見る事ですっ!!」
 恥ずかしそうな顔でインタビューを受けたシエルの答えに、編集者はますます固まってしまう。その可愛らしい顔でナマコの成長を見るとか、本気で意味が分からなかった。
 むしろわざとそう言ってるのかと。
「ナマコって、あのナマコ?」
「そう、ナマコ!可愛いんだよぉ」
 その横でスティレンは「キモ…」と呟いていた。シエルは一瞬彼を睨むが、すぐに愛想良く微笑む。
「好きなタイプはレナンシェ先生!」
「あっ、先生なんだぁ。うふふ、これは頂いちゃおっと!名前を出すのはプライバシーとかに関わっちゃうから名前は出さないでおくね!」
 編集者はさらさらとメモをした後、じゃあツーショットお願いしますねと軽く二人に告げてカメラの準備を始める。
 二人は急いで手持ちのミラーで髪型のチェックを始めた。やるからには良く撮って貰わないと、と。
「ねぇ、ここ大丈夫?」
「いいんじゃないの」
「ちゃんと見てよ!見てもないじゃない!」
「ああ、いい。いいよ」
「チラ見しかしてない!使えないなぁ!」
 カメラの前で散々揉めた後、そろそろいい?という声で慣れた様子で二人はポーズを取った。いかにも仲が良いです、と言わんばかりに密着して。
 カシャ、というシャッター音。
 数枚撮られた後、ありがとうと満足げな編集者の声と同時に、スティレンは背中にシエルからの拳攻撃を受け体を傾かせていた。
「いい写真が撮れたよぉ!ありがとうね!」
「はぁい!」
 満面の笑みを浮かべるシエルを、スティレンは忌々しげに睨むと「このぶりっこ野郎」と呟く。
 編集者が姿を消すと、シエルは「んふふ」と意地悪く舌を小悪魔的にぺろりと見せる。
「きっと僕の方が綺麗に写ってるから」
「…っはああ!?俺の方が美しく写ってるに決まってるでしょ!」
 お互いそう言い合った後、これ以上は無駄だねとスティレンは荷物を手にする。シエルも雑誌が出るのが楽しみぃ、とうきうきしていた。
「いい写りだったらレナンシェ先生に見て貰うんだぁ。じゃあ、精々僕の引き立て役になりなよね!」
「こっちのセリフなんだけど!!馬鹿じゃないの!?」
 似たような事を言うあたり性質は似ているらしい。
「雑誌出るのが楽しみだよ!!じゃあね、ナマコ野郎!」
 散々罵倒し合った後、二人は別々に別れていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

悪役令息に転生したのに、ヒーローもヒロインも不在で、拾って育てた執事が最強なんだが……なんで?!

はぴねこ
BL
前世の弟が好きだったゲームの世界に、悪役令息として転生してしまった俺。 本来なら、ヒロインをいじめ、ヒーローが活躍するための踏み台になる…… そんな役割のはずなのに、ヒーローともヒロインとも出会えない。 いじめる対象すら見つけられない新米悪役令息とか、ポンコツすぎないだろうか? そんな俺に反して、子供の頃に拾って育てた執事は超優秀で、なぜか「悪役執事スキル」を着実に磨いている。 ……いや、違う! そうじゃない!! 悪役にならなきゃいけないのは俺なんだってば!!! 

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!

めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈ 社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。 もらった能力は“全言語理解”と“回復力”! ……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈ キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん! 出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。 最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈ 攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉ -------------------- ※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!

【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】

彩華
BL
 俺の名前は水野圭。年は25。 自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで) だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。 凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!  凄い! 店員もイケメン! と、実は穴場? な店を見つけたわけで。 (今度からこの店で弁当を買おう) 浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……? 「胃袋掴みたいなぁ」 その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。 ****** そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

処理中です...