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そのご
いがみ合いインタビュー
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「じゃあ、最初にインタビューしようかなぁっ?あっ、荷物とか大丈夫ですかぁ?」
スティレンの両手にどっさり下げていた紙袋を、雑誌の編集者は心配そうに指摘する。コインロッカーを探してたんだよね、と言いながら彼は荷物を地面に置き、軽く身の回りを整える。
心底嬉しそうに「ちゃんと載せてよね?」と念押しし、じゃあ始めよっかと優雅に微笑んだ。
「ええっとぉ、学校はどこかなっ?見た感じお友達同士かな?」
スティレンとシエルはお互い顔を見合わせた後、それぞれ別の事を言い出す。
「はい、僕達、お友達でぇす★」
「違うクラスだし別に友達でもないし、街中で偶然会っただけ」
愛くるしい微笑みをしていたシエルは、普通に否定しだすスティレンに「はあっ!?」とややドスのきいた声を上げていた。
スティレンは本当の事じゃない、としれっとする。
編集者はがっつりとメイク済みの大きな目をまばたきしながら「んっ?」と聞き直していた。
「こういう時は嘘でもいいから話合わせろよ!あんた空気読めないの!?」
「俺は正直なんだよ。おまけに美しいし」
「今美しいとかそういう話してないでしょ!?」
「学校はアストレーゼン学園。ま、最近転入して来たんだけどね」
「ちょっと、人の話聞いてくれない!?」
一方的に話を進めていくスティレンに、シエルは焦りながら怒鳴った。
編集者は気を取り直し、サラサラとメモ帳に内容を書いていく。
「んーっと、じゃあ一応お友達にしておいてもいい?ほら、雑誌の記事だから心象良く書いた方がいいと思うし…君達も少し有名になれるにはそれが無難だと思うの」
ほらあ、とシエルは頰を膨らませる。
スティレンは別に構わないけど、と了承した。
「それじゃあ最初にスティレン君の趣味と好きなタイプ教えてくれない?」
「俺の趣味?…そうだね、美に磨きをかける事かな。ま、俺レベルなら多少手抜きしても美しいのは変わりないけど、美は一日にしてならずっていうからね」
こんな時ですら決して控えめにならないスティレンに、シエルは引いていた。そして編集者ですら引いている。
確かに彼はきめ細やかな肌質を持っていて、自分で言うだけあってかなりの美少年の部類に入るだろう。
しかしここまで自分が大好きだとは思いもしなかった。
「は…あはははっ、君面白いねぇ。確かに綺麗だもんねっ、スティレン君!沢山努力してるでしょう?」
「ふん、当たり前じゃない」
「じゃあ、やっぱり好きなタイプになるとレベル高いかなぁ?」
流石雑誌の編集者である。
話を自然に繋いでいくのはお手の物のようだ。ドン引きするシエルを余所に、スティレンはそうだねと答える。
「好きなタイプはリシェかな。あいつはとにかく根暗で泣き喚くしウザいけど、顔はいいからね」
「リシェ?知り合いの子かな?」
「俺の従兄弟」
編集者はメモをする手を止めてしまった。
…書きにくい!!記事にならないじゃないの…!!
ある意味面倒なタイプに出くわしてしまった、と表情を固くする。
「そ、そうなのね…!!じゃあ、次はシエル君にインタビューしようかな?」
シエルは待ってましたとばかりに満面の笑みを浮かべた。
「ええっとぉ…僕の趣味はね、水槽の中のナマコの成長を見る事ですっ!!」
恥ずかしそうな顔でインタビューを受けたシエルの答えに、編集者はますます固まってしまう。その可愛らしい顔でナマコの成長を見るとか、本気で意味が分からなかった。
むしろわざとそう言ってるのかと。
「ナマコって、あのナマコ?」
「そう、ナマコ!可愛いんだよぉ」
その横でスティレンは「キモ…」と呟いていた。シエルは一瞬彼を睨むが、すぐに愛想良く微笑む。
「好きなタイプはレナンシェ先生!」
「あっ、先生なんだぁ。うふふ、これは頂いちゃおっと!名前を出すのはプライバシーとかに関わっちゃうから名前は出さないでおくね!」
編集者はさらさらとメモをした後、じゃあツーショットお願いしますねと軽く二人に告げてカメラの準備を始める。
二人は急いで手持ちのミラーで髪型のチェックを始めた。やるからには良く撮って貰わないと、と。
「ねぇ、ここ大丈夫?」
「いいんじゃないの」
「ちゃんと見てよ!見てもないじゃない!」
「ああ、いい。いいよ」
「チラ見しかしてない!使えないなぁ!」
カメラの前で散々揉めた後、そろそろいい?という声で慣れた様子で二人はポーズを取った。いかにも仲が良いです、と言わんばかりに密着して。
カシャ、というシャッター音。
数枚撮られた後、ありがとうと満足げな編集者の声と同時に、スティレンは背中にシエルからの拳攻撃を受け体を傾かせていた。
「いい写真が撮れたよぉ!ありがとうね!」
「はぁい!」
満面の笑みを浮かべるシエルを、スティレンは忌々しげに睨むと「このぶりっこ野郎」と呟く。
編集者が姿を消すと、シエルは「んふふ」と意地悪く舌を小悪魔的にぺろりと見せる。
「きっと僕の方が綺麗に写ってるから」
「…っはああ!?俺の方が美しく写ってるに決まってるでしょ!」
お互いそう言い合った後、これ以上は無駄だねとスティレンは荷物を手にする。シエルも雑誌が出るのが楽しみぃ、とうきうきしていた。
「いい写りだったらレナンシェ先生に見て貰うんだぁ。じゃあ、精々僕の引き立て役になりなよね!」
「こっちのセリフなんだけど!!馬鹿じゃないの!?」
似たような事を言うあたり性質は似ているらしい。
「雑誌出るのが楽しみだよ!!じゃあね、ナマコ野郎!」
散々罵倒し合った後、二人は別々に別れていった。
スティレンの両手にどっさり下げていた紙袋を、雑誌の編集者は心配そうに指摘する。コインロッカーを探してたんだよね、と言いながら彼は荷物を地面に置き、軽く身の回りを整える。
心底嬉しそうに「ちゃんと載せてよね?」と念押しし、じゃあ始めよっかと優雅に微笑んだ。
「ええっとぉ、学校はどこかなっ?見た感じお友達同士かな?」
スティレンとシエルはお互い顔を見合わせた後、それぞれ別の事を言い出す。
「はい、僕達、お友達でぇす★」
「違うクラスだし別に友達でもないし、街中で偶然会っただけ」
愛くるしい微笑みをしていたシエルは、普通に否定しだすスティレンに「はあっ!?」とややドスのきいた声を上げていた。
スティレンは本当の事じゃない、としれっとする。
編集者はがっつりとメイク済みの大きな目をまばたきしながら「んっ?」と聞き直していた。
「こういう時は嘘でもいいから話合わせろよ!あんた空気読めないの!?」
「俺は正直なんだよ。おまけに美しいし」
「今美しいとかそういう話してないでしょ!?」
「学校はアストレーゼン学園。ま、最近転入して来たんだけどね」
「ちょっと、人の話聞いてくれない!?」
一方的に話を進めていくスティレンに、シエルは焦りながら怒鳴った。
編集者は気を取り直し、サラサラとメモ帳に内容を書いていく。
「んーっと、じゃあ一応お友達にしておいてもいい?ほら、雑誌の記事だから心象良く書いた方がいいと思うし…君達も少し有名になれるにはそれが無難だと思うの」
ほらあ、とシエルは頰を膨らませる。
スティレンは別に構わないけど、と了承した。
「それじゃあ最初にスティレン君の趣味と好きなタイプ教えてくれない?」
「俺の趣味?…そうだね、美に磨きをかける事かな。ま、俺レベルなら多少手抜きしても美しいのは変わりないけど、美は一日にしてならずっていうからね」
こんな時ですら決して控えめにならないスティレンに、シエルは引いていた。そして編集者ですら引いている。
確かに彼はきめ細やかな肌質を持っていて、自分で言うだけあってかなりの美少年の部類に入るだろう。
しかしここまで自分が大好きだとは思いもしなかった。
「は…あはははっ、君面白いねぇ。確かに綺麗だもんねっ、スティレン君!沢山努力してるでしょう?」
「ふん、当たり前じゃない」
「じゃあ、やっぱり好きなタイプになるとレベル高いかなぁ?」
流石雑誌の編集者である。
話を自然に繋いでいくのはお手の物のようだ。ドン引きするシエルを余所に、スティレンはそうだねと答える。
「好きなタイプはリシェかな。あいつはとにかく根暗で泣き喚くしウザいけど、顔はいいからね」
「リシェ?知り合いの子かな?」
「俺の従兄弟」
編集者はメモをする手を止めてしまった。
…書きにくい!!記事にならないじゃないの…!!
ある意味面倒なタイプに出くわしてしまった、と表情を固くする。
「そ、そうなのね…!!じゃあ、次はシエル君にインタビューしようかな?」
シエルは待ってましたとばかりに満面の笑みを浮かべた。
「ええっとぉ…僕の趣味はね、水槽の中のナマコの成長を見る事ですっ!!」
恥ずかしそうな顔でインタビューを受けたシエルの答えに、編集者はますます固まってしまう。その可愛らしい顔でナマコの成長を見るとか、本気で意味が分からなかった。
むしろわざとそう言ってるのかと。
「ナマコって、あのナマコ?」
「そう、ナマコ!可愛いんだよぉ」
その横でスティレンは「キモ…」と呟いていた。シエルは一瞬彼を睨むが、すぐに愛想良く微笑む。
「好きなタイプはレナンシェ先生!」
「あっ、先生なんだぁ。うふふ、これは頂いちゃおっと!名前を出すのはプライバシーとかに関わっちゃうから名前は出さないでおくね!」
編集者はさらさらとメモをした後、じゃあツーショットお願いしますねと軽く二人に告げてカメラの準備を始める。
二人は急いで手持ちのミラーで髪型のチェックを始めた。やるからには良く撮って貰わないと、と。
「ねぇ、ここ大丈夫?」
「いいんじゃないの」
「ちゃんと見てよ!見てもないじゃない!」
「ああ、いい。いいよ」
「チラ見しかしてない!使えないなぁ!」
カメラの前で散々揉めた後、そろそろいい?という声で慣れた様子で二人はポーズを取った。いかにも仲が良いです、と言わんばかりに密着して。
カシャ、というシャッター音。
数枚撮られた後、ありがとうと満足げな編集者の声と同時に、スティレンは背中にシエルからの拳攻撃を受け体を傾かせていた。
「いい写真が撮れたよぉ!ありがとうね!」
「はぁい!」
満面の笑みを浮かべるシエルを、スティレンは忌々しげに睨むと「このぶりっこ野郎」と呟く。
編集者が姿を消すと、シエルは「んふふ」と意地悪く舌を小悪魔的にぺろりと見せる。
「きっと僕の方が綺麗に写ってるから」
「…っはああ!?俺の方が美しく写ってるに決まってるでしょ!」
お互いそう言い合った後、これ以上は無駄だねとスティレンは荷物を手にする。シエルも雑誌が出るのが楽しみぃ、とうきうきしていた。
「いい写りだったらレナンシェ先生に見て貰うんだぁ。じゃあ、精々僕の引き立て役になりなよね!」
「こっちのセリフなんだけど!!馬鹿じゃないの!?」
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