18 / 101
そのじゅうなな
熱気と妄想
しおりを挟む
ラスは甲斐甲斐しく部屋に取り付けられている簡易キッチンで料理をしていた。甘いタレの匂いが室内に立ち込める中、興味を持ったリシェが彼の近くに寄ってくる。
そしてひょっこりと鍋を覗き込んだ。
「何作っているんだ?」
「ふふふふ、先輩。そばを作っているんですよ」
「へえ」
「あ、先輩はうどん派ですか?うどんなら一応麺もあるので変更もできますよ」
「俺にもくれるのか」
もちろんですよ、とにこにこと笑いながら答えた。
「俺に出来ることは無いか?」
リシェの申し出に、ラスは嬉しそうに「じゃあ具材を切って貰おうかな」と告げると、早速リシェは手洗いをして準備を始めた。
隣で手伝いを始めるリシェを横で微笑ましく眺め、ラスは幸せそうな顔をする。
これってまるで新婚さんみたいじゃないか!!
はぁああ、と幸せの吐息を漏らしてしまった。
もう結婚するしか道は無い。
「先輩」
「ん?」
「結婚して下さい」
話が飛躍し過ぎるせいで、頭に入ってこないらしい。リシェは具材を斬りながら「何で」と返す。
「いや、隣で同じ作業してると新婚さんみたいだなぁって」
「お前は調理実習で隣に居る奴に対しても同じことを言っているのか?」
「言わないです」
隣にリシェが居るから言っているのだ。
「それとこれとは話が違うでしょ?俺は先輩と結婚したいから言ってるのであって…エプロン姿の先輩とか可愛いと思うんです。俺の為に朝ご飯とか作ってくれたりとかぁ…」
その間、ラスが作っているそばのたれがぐつぐつと煮込まれていた。熱気が周辺を包み込んでいく。リシェは無言で具材を丁寧に切っていく中、ラスは頬を赤くしながら溜息混じりに妄想を開始する。
リシェがベッドでまだ眠っている自分に朝のコーヒーを持ってやってくる。もちろんエプロン姿で。彼は優しくベッドの近くのテーブルにコーヒーを置き、耳元で名前を呼びながら軽く揺さぶりつつ額にキスを落としてくる。
ゆっくり目を開け、可愛らしい顔で覗き込むリシェに気付いた自分は彼を優しく抱き締めエプロンの中に手をそっと入れて…。
「はぁあああああああ!!先輩ったら!!そんな、寝起きのキスとか!!はあああああん!!」
勝手な妄想に耽って勝手に叫び出すと同時に、鍋の中のたれが煮込まれ過ぎてぼこぼこと泡を吹き出していた。
「おい!!」
その声にはっと我に返る。
「わ!」
「何してるんだよ、ちゃんと見ておけ!」
「だって先輩が凄くエッチなんだもの!!」
具材を切っていただけで何故そうなるのか。リシェはラスに対し、何もしていないだろう!!と怒鳴った。
彼の頭の中はどうなっているのか。
「はぁ…先輩ってば…もう」
勝手な妄想をしておきながら人のせいにしてくるラスに、リシェは部屋の変更を考えようかと本気で思い始めてしまう。こいつは本当に危ないのではないかと。
その一方で、ラスはリシェ用に可愛らしいデザインのエプロンを買っておこうかなと非常におめでたい事を考えていた。
そしてひょっこりと鍋を覗き込んだ。
「何作っているんだ?」
「ふふふふ、先輩。そばを作っているんですよ」
「へえ」
「あ、先輩はうどん派ですか?うどんなら一応麺もあるので変更もできますよ」
「俺にもくれるのか」
もちろんですよ、とにこにこと笑いながら答えた。
「俺に出来ることは無いか?」
リシェの申し出に、ラスは嬉しそうに「じゃあ具材を切って貰おうかな」と告げると、早速リシェは手洗いをして準備を始めた。
隣で手伝いを始めるリシェを横で微笑ましく眺め、ラスは幸せそうな顔をする。
これってまるで新婚さんみたいじゃないか!!
はぁああ、と幸せの吐息を漏らしてしまった。
もう結婚するしか道は無い。
「先輩」
「ん?」
「結婚して下さい」
話が飛躍し過ぎるせいで、頭に入ってこないらしい。リシェは具材を斬りながら「何で」と返す。
「いや、隣で同じ作業してると新婚さんみたいだなぁって」
「お前は調理実習で隣に居る奴に対しても同じことを言っているのか?」
「言わないです」
隣にリシェが居るから言っているのだ。
「それとこれとは話が違うでしょ?俺は先輩と結婚したいから言ってるのであって…エプロン姿の先輩とか可愛いと思うんです。俺の為に朝ご飯とか作ってくれたりとかぁ…」
その間、ラスが作っているそばのたれがぐつぐつと煮込まれていた。熱気が周辺を包み込んでいく。リシェは無言で具材を丁寧に切っていく中、ラスは頬を赤くしながら溜息混じりに妄想を開始する。
リシェがベッドでまだ眠っている自分に朝のコーヒーを持ってやってくる。もちろんエプロン姿で。彼は優しくベッドの近くのテーブルにコーヒーを置き、耳元で名前を呼びながら軽く揺さぶりつつ額にキスを落としてくる。
ゆっくり目を開け、可愛らしい顔で覗き込むリシェに気付いた自分は彼を優しく抱き締めエプロンの中に手をそっと入れて…。
「はぁあああああああ!!先輩ったら!!そんな、寝起きのキスとか!!はあああああん!!」
勝手な妄想に耽って勝手に叫び出すと同時に、鍋の中のたれが煮込まれ過ぎてぼこぼこと泡を吹き出していた。
「おい!!」
その声にはっと我に返る。
「わ!」
「何してるんだよ、ちゃんと見ておけ!」
「だって先輩が凄くエッチなんだもの!!」
具材を切っていただけで何故そうなるのか。リシェはラスに対し、何もしていないだろう!!と怒鳴った。
彼の頭の中はどうなっているのか。
「はぁ…先輩ってば…もう」
勝手な妄想をしておきながら人のせいにしてくるラスに、リシェは部屋の変更を考えようかと本気で思い始めてしまう。こいつは本当に危ないのではないかと。
その一方で、ラスはリシェ用に可愛らしいデザインのエプロンを買っておこうかなと非常におめでたい事を考えていた。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
悪役令息に転生したのに、ヒーローもヒロインも不在で、拾って育てた執事が最強なんだが……なんで?!
はぴねこ
BL
前世の弟が好きだったゲームの世界に、悪役令息として転生してしまった俺。
本来なら、ヒロインをいじめ、ヒーローが活躍するための踏み台になる……
そんな役割のはずなのに、ヒーローともヒロインとも出会えない。
いじめる対象すら見つけられない新米悪役令息とか、ポンコツすぎないだろうか?
そんな俺に反して、子供の頃に拾って育てた執事は超優秀で、なぜか「悪役執事スキル」を着実に磨いている。
……いや、違う!
そうじゃない!!
悪役にならなきゃいけないのは俺なんだってば!!!
劣等アルファは最強王子から逃げられない
東
BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。
ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。
異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!
めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈
社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。
もらった能力は“全言語理解”と“回復力”!
……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈
キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん!
出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。
最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈
攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉
--------------------
※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!
【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる