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そのじゅうろく
空気が読めない正直者
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「…ちょっと!!自分大好き男居る!?」
休み時間の最中、別クラスのシエルが突然教室内に入って来た。自分大好き男というだけでもすぐに誰なのか分かってしまう。
リシェはズカズカと近付いてくるシエルに、「スティレンなら手洗いに行ったぞ」と次の時間に使う教材を机の中から出しながら答えた。
桃のような柔らかそうな頰をぷっくりと膨らませ、彼はあのナルシストが余計な事を言うから!と怒り出す。
「何がだ?」
「この間街であいつと偶然会ったのさ」
「はあ」
「そしたら僕らを見て、雑誌の記者からインタビューみたいなのをされたの、二人で!」
「スティレンと?ナマコ野郎が?」
自分名を呼ぶ際にわざわざ言ってくるナマコ野郎というフレーズに、シエルは「ちょっと!!」とヒステリックに口を尖らせた。
「ナマコ野郎って言うの止めてくれない!?」
「ナマコ野郎の方が言いやすいんだ」
「まるで妖怪みたいじゃないのさ!!」
彼の容姿からは妖怪というイメージは付きにくいが、リシェにとっては靴箱に黒い袋に入ったナマコを入れる印象が強過ぎたせいかどうしてもナマコ野郎という言葉が出てしまうようだ。
別にナマコ野郎でもいいじゃないかとリシェは呟く。
「ナマコ野郎にナマコ野郎って言って何が悪いのだ」
「だーかーら!僕はナマコ野郎って名前じゃないのっ!!大体そのネーミングセンスの悪さ、どうにかならない訳!?とにかくセンスが無いんだけど!!ナマコ野郎とか超クソダサじゃん!!どこのカッペの言葉だよ!」
言葉使い悪いなあ…とリシェは眉を寄せた。
「で、何だ?スティレンが何かしたのか?俺には関係無いけど」
「あ、そうそう!雑誌の最新号に載ったのさ!ほら!」
ばさりと机に広げられる記事。
確かに写真付きで掲載されていた。
「へえ」
「写りはいいよ、写りは!」
そこでようやくスティレンが手洗いから戻って来る。
「はぁ、美し過ぎるってやっぱり罪なのかな?まぁた勘違いさんから手紙貰っちゃったよぉ」
指に挟んだ封筒をひらひらとちらつかせながら。
「ほら、戻って来たぞナマコ野郎。あれが男子校なのに手紙を貰って喜んでる勘違い男だ」
リシェはリシェで、可愛らしい顔をツンとさせながら従兄弟でもボロクソに落とす。
スティレンはリシェの小生意気な言い草に「はー!?」と嫌味に返した。
「何言ってるのさ、俺の美しさと優美さは性別を超えるんだよ!お前は近くに居るからこの俺の魅力に対する反応が鈍くて分からないだけだろ!?」
「美しさと優美さって…同じような意味じゃないの?」
話を聞きながらシエルが突っ込むと、スティレンはぐわっと彼の方に顔を向けた。
「…うっさいな!!」
お前の方がうるさい、とリシェは思った。
「あれ、何で居るの、ナマコ野郎」
「もう、ナマコ野郎って呼ぶの止めてくれない!?僕はあんたを探しに来たんだけど!」
「ああ、そうなんだ。何の用?」
シエルは改めて自分らが掲載された記事を広げて「あんたが要らない事を喋るから!」と怒り出した。
何なのさとスティレンは記事をチェックする。
…しばらく間を置いた後。
「見出しが小さくない!?」
よく分からない事で怒り出した。
「俺くらいの美しさだと特集組んでもいいだろ!?」
「何言ってるのさ、そこじゃないよ、言いたいのは!!」
「重要でしょ!?表紙でもいい位だよ!」
この期に及んで意味不明な事を言い出した。
「特集組むほどインタビューされてないくせに!違う所を見なよ、あんたのせいだろこの文面!!」
シエルは雑誌をスティレンの胸元に押し付ける。
訝しげに与えられた雑誌の見出しに注目する。
『友達同士と言うシエルくん、それに対して偶然会っただけだと突っぱねちゃうスティレンくん。まさかのツンデレな関係を思わせるイケメン二人組★』
スティレンは眉を寄せ、何が不満なの?と問う。
「普通じゃん」
「話を合わせてくれたら普通に友達同士って書いてくれるだろうに、これじゃあ僕がめちゃくちゃ空回りしてるみたいじゃない!嫌われてるみたいな感じになるじゃないか!どうしてくれんの!?馬鹿じゃないの、あんたは!!空気読めないの!?アホ!?」
躍起になって訴えるシエルに、リシェは雑誌を引っ張り改めて見てみた。確かに彼が言うように、一方的に友達だと思っているような誤解が生まれそうな書き方だ。
しかしスティレンはしれっとシエルから顔を逸らす。
「だって本当に偶然会っただけじゃない」
「ああ、もう信じらんない!!恥ずかしくて雑誌見れないよ!!」
「ああ、そう。それなら俺にちょうだいよ」
どうやらスティレンは気に入ったらしい。
暇潰しにもなるしと言うと、顔を真っ赤にしながらシエルは「やるよバーカ!!」と捨て台詞を吐いて教室から去って行った。
同時に始業の鐘が校内に鳴り響く。
やかましいナマコ野郎だ、とリシェは彼の後ろ姿を見送っていた。
休み時間の最中、別クラスのシエルが突然教室内に入って来た。自分大好き男というだけでもすぐに誰なのか分かってしまう。
リシェはズカズカと近付いてくるシエルに、「スティレンなら手洗いに行ったぞ」と次の時間に使う教材を机の中から出しながら答えた。
桃のような柔らかそうな頰をぷっくりと膨らませ、彼はあのナルシストが余計な事を言うから!と怒り出す。
「何がだ?」
「この間街であいつと偶然会ったのさ」
「はあ」
「そしたら僕らを見て、雑誌の記者からインタビューみたいなのをされたの、二人で!」
「スティレンと?ナマコ野郎が?」
自分名を呼ぶ際にわざわざ言ってくるナマコ野郎というフレーズに、シエルは「ちょっと!!」とヒステリックに口を尖らせた。
「ナマコ野郎って言うの止めてくれない!?」
「ナマコ野郎の方が言いやすいんだ」
「まるで妖怪みたいじゃないのさ!!」
彼の容姿からは妖怪というイメージは付きにくいが、リシェにとっては靴箱に黒い袋に入ったナマコを入れる印象が強過ぎたせいかどうしてもナマコ野郎という言葉が出てしまうようだ。
別にナマコ野郎でもいいじゃないかとリシェは呟く。
「ナマコ野郎にナマコ野郎って言って何が悪いのだ」
「だーかーら!僕はナマコ野郎って名前じゃないのっ!!大体そのネーミングセンスの悪さ、どうにかならない訳!?とにかくセンスが無いんだけど!!ナマコ野郎とか超クソダサじゃん!!どこのカッペの言葉だよ!」
言葉使い悪いなあ…とリシェは眉を寄せた。
「で、何だ?スティレンが何かしたのか?俺には関係無いけど」
「あ、そうそう!雑誌の最新号に載ったのさ!ほら!」
ばさりと机に広げられる記事。
確かに写真付きで掲載されていた。
「へえ」
「写りはいいよ、写りは!」
そこでようやくスティレンが手洗いから戻って来る。
「はぁ、美し過ぎるってやっぱり罪なのかな?まぁた勘違いさんから手紙貰っちゃったよぉ」
指に挟んだ封筒をひらひらとちらつかせながら。
「ほら、戻って来たぞナマコ野郎。あれが男子校なのに手紙を貰って喜んでる勘違い男だ」
リシェはリシェで、可愛らしい顔をツンとさせながら従兄弟でもボロクソに落とす。
スティレンはリシェの小生意気な言い草に「はー!?」と嫌味に返した。
「何言ってるのさ、俺の美しさと優美さは性別を超えるんだよ!お前は近くに居るからこの俺の魅力に対する反応が鈍くて分からないだけだろ!?」
「美しさと優美さって…同じような意味じゃないの?」
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「…うっさいな!!」
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「あれ、何で居るの、ナマコ野郎」
「もう、ナマコ野郎って呼ぶの止めてくれない!?僕はあんたを探しに来たんだけど!」
「ああ、そうなんだ。何の用?」
シエルは改めて自分らが掲載された記事を広げて「あんたが要らない事を喋るから!」と怒り出した。
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よく分からない事で怒り出した。
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この期に及んで意味不明な事を言い出した。
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シエルは雑誌をスティレンの胸元に押し付ける。
訝しげに与えられた雑誌の見出しに注目する。
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「普通じゃん」
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