異世界学園の中の変な仲間たち2

へすこ(ひしご)

文字の大きさ
16 / 101
そのじゅうご

変態極まりない、更に変態的な変質者

しおりを挟む
「さあ、やってきました!先輩といちゃいちゃしたくなる周期、第二弾です!」
 またか…とリシェはにこにこしながら再び言い出してきたラスをうんざりしながら注目した。昼休みの屋上では他の生徒達も食事後の休憩を楽しんでいる最中。
 スティレンも毎回毎回よくやるよと呆れながら、紙パックのアセロラドリンクを吸い込んでいた。
「こないだ紛らわしい事しといて、まだやる気なの?」
「あれはマッサージ!誤解したのはそっちだろー?」
 何を想像したのかなー?と悪戯っぽい表情で突っ込まれたスティレンは、顔をかあっと真っ赤にしてしまった。
「まっ…紛らわし過ぎるんだよ!!あれはっ!!」
 大体マッサージを施されたリシェもやけに色気のある発言をするから混乱するんだ、と怒りだす。
 まあ、確かにそそられる喘ぎだったなあとラスはあの時の事を反芻する。
「先輩はマッサージに弱い事が分かりました」
「………」
 再び両手をわきわきさせてくるラスを見るなり、リシェは眉を寄せながらじりじり後ろへ退いた。もうやらなくてもいいと言いながら。
 マッサージをされると気持ちいいのだがくすぐったいのもあって全身が脱力してしまうのだ。前回も施された後、ふにゃふにゃに骨抜きされた状態で何度も頰やら唇やらに軽めのキスの嵐に見舞われてしまい、好き放題に人を弄るなと喚いてしまった。
 ただでさえ構われるのが苦手なのに。
「もう変態だよね、変態。お前に近付いてくる奴って、全員変態属性の人間しか居ないねリシェ」
 小馬鹿にしたようなスティレンは、ハッと笑いながら言った。
「その中にお前も含まれているぞ。お前は一体何を言っているんだ?自分だけがまともだと思っていたら大間違いだぞ」
 日に日にリシェの毒舌が酷くなっていくのは、同時に周囲の人間が変態色に染まっていく為なのだろうか。
 一緒くたにされたスティレンにしては、たまったものではないだろう。むかあっときたらしく、「っはあぁああああ!?」と反論の狼煙を上げる。
「俺も変態と同じだって!?冗談じゃないよ、何でこの世界一美しくて真面目で、センスも抜群なこの俺がおかしげな奴らと仲良く肩を並べなきゃならないのさ!?お前、目腐ってるんじゃないの!?」
 また始まったよー、とラスは背後からリシェをそっと抱き締める。どさくさに紛れて抱き着くな!と怒りながら身を捩るリシェ。
 こいつが一番の変態である。
 うぐうぐと呻いてラスの腕から逃れようとするが、蛸の足のようにくっついてなかなか取れない。
「…てか、俺よりこいつだろ変態なの!何リシェにべたべたとひっついてるのさ、磁石みたいに!!」
「俺は先輩が好きなだけだもん。こうして常に先輩の感触と匂いを感じたいの!恋するってこういう事だと思う!」
「恋するってか…あんたのしてる事ってあれでしょ、人様の脱いだ服をひたすら嗅いでるのと同じだろ!!」
「ええ…」
 自分の腕の中で蠢くリシェの横顔をちらりと見た後、ラスは「同じかな…」と疑問符を投げかける。
「同じだよ!!あんた以上に変態なんて居ないと思うけどね!!」
 ラスの中で暴れているリシェのポケットから、ハンカチが落下した。風に煽られ、軽い素材のハンカチはふわりと舞い上がって持ち主から離れてしまう。
 ああっ、とリシェはハンカチを取り戻そうとラスの腕から離れたその時。
 コツンコツンと生徒達の靴の音ではない足音がした。
「あっ」
 靴音が一旦止まる。リシェは飛ばされたハンカチがその靴音の主の足元に引っかかったのを確認すると、無事に拾われた事に安堵しながら顔を上へと向けた。
 スーツに真っ白い白衣姿の青年。
「こんにちは、リシェ。ここでお会いするなんて運命でしょうか?」
「あ…ロシュ、さま」
 言いながらリシェは何故様付けをしてしまうのだろうかと思わずにはいられなかった。謎の癖がついているのだ。
 保健医ロシュはハンカチの主がリシェだと知ると、その美しく端正な顔を笑みに変えた。その瞬間。
「ええええっ!?何、何してるんですか!?」
 彼はおもむろにそのハンカチを大切そうに両手で持ち、いきなり嗅ぎ始めてしまう。
 リシェはがああんとショックを受けた。
「だ、だってあなたの匂いがこもった所有物ですよ!?これを嗅がずにはいられますか!!」
「や、やめて下さい!!何で俺!?」
「私は慢性的なリシェ不足なんです!!むしろこれを下さい!!代わりに何かをお渡ししますから!!」
 ロシュはリシェのハンカチを胸元に押し付けながら懇願する。
 リシェの目には、ロシュは教師の姿をした変質者にしか見えなくなっていた。
「いっ、いらないです!!もうハンカチあげます!だから俺の前から居なくなって下さい、怖いから!!」
「そんな、リシェ!!居なくなれだなんて!」
「だって怖過ぎるんだ、人様のハンカチをいきなり嗅ぐなんて!!お願いだからやめて下さい、ロシュ様!」
 うわーんと泣き出すリシェ。
 二人のやり取りを見ていたラスとスティレンは、突然沸いてきたハイレベルなマニアに呆気に取られてしまう。
 しばらく様子を眺めていたが、スティレンは不意に口を突いて言葉を放った。
「ねぇ、ラス。あんたのしてる事はあれと同じなんだよ。分かる?」
 分かった?このド変態、と。
 スティレンに指摘されたラスは、心底嫌そうな顔であいつと一緒にしないでよ…と反論した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

悪役令息に転生したのに、ヒーローもヒロインも不在で、拾って育てた執事が最強なんだが……なんで?!

はぴねこ
BL
前世の弟が好きだったゲームの世界に、悪役令息として転生してしまった俺。 本来なら、ヒロインをいじめ、ヒーローが活躍するための踏み台になる…… そんな役割のはずなのに、ヒーローともヒロインとも出会えない。 いじめる対象すら見つけられない新米悪役令息とか、ポンコツすぎないだろうか? そんな俺に反して、子供の頃に拾って育てた執事は超優秀で、なぜか「悪役執事スキル」を着実に磨いている。 ……いや、違う! そうじゃない!! 悪役にならなきゃいけないのは俺なんだってば!!! 

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!

めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈ 社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。 もらった能力は“全言語理解”と“回復力”! ……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈ キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん! 出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。 最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈ 攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉ -------------------- ※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!

【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】

彩華
BL
 俺の名前は水野圭。年は25。 自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで) だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。 凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!  凄い! 店員もイケメン! と、実は穴場? な店を見つけたわけで。 (今度からこの店で弁当を買おう) 浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……? 「胃袋掴みたいなぁ」 その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。 ****** そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

処理中です...