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そのにじゅういち
イメチェンの弊害
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髪型がいつもより奇抜になってしまったリシェは、スティレンの「そのふざけた頭何なの?」と直球で問い質す。
「ふざけたって…ラスが勝手にやったんだ。長くなってきたから後で切りに行こうっていう話の流れで」
「お前みたいな根暗な奴がそんな頭したって、隠キャなのは普通にバレるから!もうちょっと身の程を弁えた髪型でも良かったんじゃないの?」
それはラスに言ってくれよ…とリシェは席に座ったままで頭をかくりと落とす。別にこうしてくれとリクエストした訳でも無いのだ。
どう考えてもラスの好みにセットしているに違いない。
「だから普通でいいって言ったのに」
「あいつの普通の基準はお前の言う基準とは全然違うでしょ。あいつはお前とジャンルが異なってるんだから」
生徒達は朝のホームルームを終え、一時間目の授業の準備を始めていた。一時間目は保健体育の授業なのだが、今日は体育教師であるヴェスカの出番では無く保健の担当であるロシュが教室にやってきて授業を行う予定だ。
体を動かすだけではなく、体の仕組みを学ぶ機会なのだがやはり自由に動けない分生徒達には退屈な授業の一つだった。
座席は各々好きな席に座ることが出来るので仲間同士で固まり席に着いていた。
「リシェ、席くっつけてよ」
スティレンがリシェの隣の空いている机を引っ張りながら言い出す。単独でも全く気にしないリシェはそれを聞いた瞬間嫌そうな顔を見せていた。
「何で」
「いいからくっつけろっての!俺をぼっちにさせるつもり!?」
別にいいじゃないか、と大人びた思考をしているリシェは言いかけたものの、スティレンは一人が嫌なのだろう。
「幼稚な奴だな」
「うるっさいな!お前は元からぼっちだからいいだろうけどね、俺は嫌なの!だからお前は黙って言う事聞いていればいいんだよ!」
はぁ、とつい溜息を漏らす。
始業の鐘が校舎内に鳴り響き、生徒が席に着いた所でようやく担当のロシュが靴音を鳴らしながら教室内に入って来た。
遠目で見ても中性的な美しさを持つ彼は、大人しく席に着いていた生徒らを見回して優しげに微笑む。男所帯の学校のせいか、その不思議な容貌のロシュを見るだけで妙な気分に陥ってしまいそうな者も居た。
号令が終わった後、教卓のロシュは「それでは授業を始めますね」とにっこりと微笑む。
…確かここのクラスにリシェが居るはずだけど。
邪な気持ちを常に抱えているロシュは、教室内に居るはずの最愛の少年の姿を探そうと目を向ける。しかし、見当たらない。
「欠席の人は居ますか?」
まさか休みなのだろうか、と何気なく聞いてみる。
「今日休みの人は居ないでーす」
「はあ…そうなんですね」
おかしいなあ。
このクラスじゃなかったのかな?と名簿に視線を落とすものの、名簿にはちゃんとリシェの名前は記載されていた。
うんん??居るはずなのにな。
変だなあ、と頭を掻いた。
一方でスティレンは自分の教科書を忘れていた事に気が付き、隣にいるリシェに教科書見せなと小声で命令していた。
「忘れて来たくせに物を頼むような態度じゃないな」
「仕方無いだろ!普通に体育だと思ってたんだからさ!」
「偉そうに言うな」
渋々教科書を席のまんなかに寄せる。
「お前は何を頼もうと偉そうだ。少しは申し訳なさそうにしおらしくしてろ」
派手にされた髪型で真面目な言葉を返すリシェの頰を、スティレンはぐにょりと引っ張った。唐突な痛みに顔をしかめ、「痛い!!」と叫ぶリシェ。
その叫び声は教室全体に聞こえたらしく、一気にこちらに目線が向けられた。
「どうしましたか?えっと…」
ロシュはこちらを見ながら不思議そうに問う。
…あれ?あの子はスティレンじゃないですか。じゃあその隣に居る子は?
元の世界の彼の姿も良く知っていたロシュは、そのスティレンの隣に居る黒髪の華奢な少年にも視線を配らせた。
「何でもないです!」
引っ張っていた頰から手を離して何もないと説明するスティレン。その横でうううと涙目になる少年の顔を、ロシュは教卓からまじまじと眺めてしまった。
「…リシェ?」
ロシュの声が聞こえたのか、リシェは頰を擦りながら教卓の方に目を向ける。
「は…?」
その呼び声にリシェも反応する。そこには、ロシュが知るいつもの彼の姿ではなく無駄に派手な感じの少年が居た。顔を良く見れば、自分がこよなく愛するリシェだ。
見間違えるはずはない。
…リシェ??本当にあのリシェなのですか?そんな。
ロシュはかたかたと震える。
「え…えええええ…!!!?」
全身の力が抜けていきそうな感覚に陥っていった。
「先生!?」
「ロシュ先生、どうしたんですか!?」
ぐらぐらとふらつき。教卓に体を預ける程脱力するロシュに生徒らは異変を感じて声をかける。大丈夫です、と言いながら彼はよろよろ立ち上がった。
何て事だ。何なんだあの派手な子は。
あまりのショックで、ロシュはまともに彼を見ることが出来ない状態になってしまう。
リシェが…あの真面目なリシェが不良になってしまった!!
「う、うぅ…す、すみません、ちょっと本調子では無いようです。よって今日は自習にします…あああ…」
その言葉に生徒らはやった!と嬉しそうにはしゃぐ。
そんな中、何とも微妙な気分になるリシェ。
「俺、何かしたかな」
ふらふらと教室から出て行ったロシュを見届けた後、リシェは眉を寄せて従兄弟に問う。
「さあ?よく分からないけどお前が悪いんじゃないの?」
多分全部お前が悪いんだよ、とスティレンは勝手に物事を決めつけていた。
「ふざけたって…ラスが勝手にやったんだ。長くなってきたから後で切りに行こうっていう話の流れで」
「お前みたいな根暗な奴がそんな頭したって、隠キャなのは普通にバレるから!もうちょっと身の程を弁えた髪型でも良かったんじゃないの?」
それはラスに言ってくれよ…とリシェは席に座ったままで頭をかくりと落とす。別にこうしてくれとリクエストした訳でも無いのだ。
どう考えてもラスの好みにセットしているに違いない。
「だから普通でいいって言ったのに」
「あいつの普通の基準はお前の言う基準とは全然違うでしょ。あいつはお前とジャンルが異なってるんだから」
生徒達は朝のホームルームを終え、一時間目の授業の準備を始めていた。一時間目は保健体育の授業なのだが、今日は体育教師であるヴェスカの出番では無く保健の担当であるロシュが教室にやってきて授業を行う予定だ。
体を動かすだけではなく、体の仕組みを学ぶ機会なのだがやはり自由に動けない分生徒達には退屈な授業の一つだった。
座席は各々好きな席に座ることが出来るので仲間同士で固まり席に着いていた。
「リシェ、席くっつけてよ」
スティレンがリシェの隣の空いている机を引っ張りながら言い出す。単独でも全く気にしないリシェはそれを聞いた瞬間嫌そうな顔を見せていた。
「何で」
「いいからくっつけろっての!俺をぼっちにさせるつもり!?」
別にいいじゃないか、と大人びた思考をしているリシェは言いかけたものの、スティレンは一人が嫌なのだろう。
「幼稚な奴だな」
「うるっさいな!お前は元からぼっちだからいいだろうけどね、俺は嫌なの!だからお前は黙って言う事聞いていればいいんだよ!」
はぁ、とつい溜息を漏らす。
始業の鐘が校舎内に鳴り響き、生徒が席に着いた所でようやく担当のロシュが靴音を鳴らしながら教室内に入って来た。
遠目で見ても中性的な美しさを持つ彼は、大人しく席に着いていた生徒らを見回して優しげに微笑む。男所帯の学校のせいか、その不思議な容貌のロシュを見るだけで妙な気分に陥ってしまいそうな者も居た。
号令が終わった後、教卓のロシュは「それでは授業を始めますね」とにっこりと微笑む。
…確かここのクラスにリシェが居るはずだけど。
邪な気持ちを常に抱えているロシュは、教室内に居るはずの最愛の少年の姿を探そうと目を向ける。しかし、見当たらない。
「欠席の人は居ますか?」
まさか休みなのだろうか、と何気なく聞いてみる。
「今日休みの人は居ないでーす」
「はあ…そうなんですね」
おかしいなあ。
このクラスじゃなかったのかな?と名簿に視線を落とすものの、名簿にはちゃんとリシェの名前は記載されていた。
うんん??居るはずなのにな。
変だなあ、と頭を掻いた。
一方でスティレンは自分の教科書を忘れていた事に気が付き、隣にいるリシェに教科書見せなと小声で命令していた。
「忘れて来たくせに物を頼むような態度じゃないな」
「仕方無いだろ!普通に体育だと思ってたんだからさ!」
「偉そうに言うな」
渋々教科書を席のまんなかに寄せる。
「お前は何を頼もうと偉そうだ。少しは申し訳なさそうにしおらしくしてろ」
派手にされた髪型で真面目な言葉を返すリシェの頰を、スティレンはぐにょりと引っ張った。唐突な痛みに顔をしかめ、「痛い!!」と叫ぶリシェ。
その叫び声は教室全体に聞こえたらしく、一気にこちらに目線が向けられた。
「どうしましたか?えっと…」
ロシュはこちらを見ながら不思議そうに問う。
…あれ?あの子はスティレンじゃないですか。じゃあその隣に居る子は?
元の世界の彼の姿も良く知っていたロシュは、そのスティレンの隣に居る黒髪の華奢な少年にも視線を配らせた。
「何でもないです!」
引っ張っていた頰から手を離して何もないと説明するスティレン。その横でうううと涙目になる少年の顔を、ロシュは教卓からまじまじと眺めてしまった。
「…リシェ?」
ロシュの声が聞こえたのか、リシェは頰を擦りながら教卓の方に目を向ける。
「は…?」
その呼び声にリシェも反応する。そこには、ロシュが知るいつもの彼の姿ではなく無駄に派手な感じの少年が居た。顔を良く見れば、自分がこよなく愛するリシェだ。
見間違えるはずはない。
…リシェ??本当にあのリシェなのですか?そんな。
ロシュはかたかたと震える。
「え…えええええ…!!!?」
全身の力が抜けていきそうな感覚に陥っていった。
「先生!?」
「ロシュ先生、どうしたんですか!?」
ぐらぐらとふらつき。教卓に体を預ける程脱力するロシュに生徒らは異変を感じて声をかける。大丈夫です、と言いながら彼はよろよろ立ち上がった。
何て事だ。何なんだあの派手な子は。
あまりのショックで、ロシュはまともに彼を見ることが出来ない状態になってしまう。
リシェが…あの真面目なリシェが不良になってしまった!!
「う、うぅ…す、すみません、ちょっと本調子では無いようです。よって今日は自習にします…あああ…」
その言葉に生徒らはやった!と嬉しそうにはしゃぐ。
そんな中、何とも微妙な気分になるリシェ。
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ふらふらと教室から出て行ったロシュを見届けた後、リシェは眉を寄せて従兄弟に問う。
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